【年収別】将来の年金額と老後資金の不足額 足りない分をまかなう3つの方法

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サラリーマンは、年収別で年金受給額と老後資金の不足分がどのぐらい異なるのでしょうか。すべての層で「少なくとも数千万円が足りない」という現実に驚く人が多いかもしれません。本記事では、年金だけでは足りない老後資金をどのようにまかなうのか、現実的な3つの方法を紹介します。

【年収別の一覧表】将来の年金受給額と老後資金の不足分

「年金だけだと老後の生活費がいくら足りないか」は、それぞれの世帯で変わってきます。なぜなら年金受給額が以下の要素で変わってくるからです。

  • 現在の年齢
  • 現役のときの年収
  • 働いている期間(年金を納めている期間)
  • 独身か配偶者がいるかなど

これを踏まえて一般的なサラリーマンの年金受給額と老後資金の不足分の一覧表を見ていきましょう。「ここまで足りないの?」と感じる人もいるかもしれませんが、これが厳しい現実です。まずは、単身世帯(独身者)の内容を確認していきましょう。

[シミュレーション条件]

  • 単身世帯、夫婦世帯共に現在の年齢40歳に設定
  • 単身世帯は生活費を毎月28万円、夫婦世帯は生活費を毎月35万円に設定
  • 単身世帯、夫婦世帯ともに65歳時点の保有金融資産3,000万円を想定
  • 夫婦世帯は配偶者の年収を300万円に固定
  • 老後資金の不足分は100歳まで必要な額を算出
  • 22~60歳まで就業

●単身世帯のシミュレーション(65~100歳までの35年間)

年収年金受給額(月)不足額(月)不足分の合計(35年間)
400万円13万1,000円14万9,000円6,258万円
600万円16万5,000円11万5,000円4,830万円
800万円19万2,000円8万8,000円3,696万円
1,000万円19万2,000円8万8,000円3,696万円
1,200万円19万2,000円8万8,000円3,696万円

次に夫婦世帯の年金受給額と老後資金の不足分です。

●夫婦世帯のシミュレーション(65~100歳までの35年間)

年収年金受給額(月)不足額(月)不足分の合計(35年間)
600万円22万9,000円12万1,000円5,082万円
800万円26万3,000円8万7,000円3,654万円
1,000万円29万7,000円5万3,000円2,226万円
1,200万円30万7,000円4万3,000円1,806万円
1,400万円30万7,000円4万3,000円1,806万円

※三井住友銀行「年金試算シミュレーション」にて算出

前提として老後資金の不足額は、単身世帯・夫婦世帯ともに「65歳時点で3,000万円の金融資産がある」想定で計算。もし保有する金融資産が3,000万円を下回ればその分が老後資金の不足額として加算されます。例えば年収800万円の夫婦世帯で65歳時点の金融資産が1,000万円しかなければ、老後資金の不足額は5,654万円(3,654万円+2,000万円)です。

「年収別の年金一覧表」を見て分かる3つのこと

上記の年金受給額の一覧表を見て確認できることは以下の3つです。

  • 年収により受給額に大きな差がある
  • 単身世帯のほうが不足額としては大きい
  • 年金だけで老後を生活することは厳しい

1.年収により受給額に大きな差がある

同じサラリーマンでも現役のときの年収によって将来の年金受給額はかなり差があります。例えば単身世帯の年収400万円と800万円では、年金受給額が月あたり約6万円も異なるのです。夫婦世帯で見ても世帯年収600万円と1,200万円では年金受給額が月あたり約8万円も違います。

[単身世帯]
年収400万円:年金13万1,000円
年収800万円:年金19万2,000円
年金の差額:6万1,000円

[夫婦世帯]
年収600万円:年金22万9,000円
年収1,200万円:年金30万7,000円
年金の差額:7万8,000円

2.単身世帯のほうが不足額としては大きい

夫婦世帯よりも単身世帯のほうが老後資金の不足分が大きい傾向です。これは「世帯に入ってくる年金受給額が少ない」「夫婦世帯のほうが生活費を効率化しやすい」などが関係しています。

3.年金だけでは“老後破綻”になるかも!?

世帯構成や現役の年収が多い少ないにかかわらず、全層で「年金だけで老後生活をおくるのは難しい」ことが分かります。表現を変えれば、ごく一部の資産家でない限り「老後資金が足りない現実と向き合わなければならない」ということです。そこから目を背けてしまうと“老後破綻”のリスクが高まります。

年金だけでは足りない老後資金をまかなう3つの方法

ここからは「年金だけで足りない老後資金をどのようにまかなえばよいか」について考えていきます。現実的な方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • リタイアまでに目標の金融資産を積み立てる
  • 老後も働き続ける
  • 老後に不労所得を得る

1.リタイアまでに目標の金融資産を積み立てる

金融資産を積み立てていく一般的な手段としては、預金や投資信託(長期積立)などがあります。仮に、現在40歳で保有する金融資産が1,000万円の人が65歳までに金融資産5,000万円を作ることを目指したとしましょう。預金と投資信託どちらを選択するかで毎月の積立額、メリット・デメリットは大きく変わってきます。

具体的な方法預金(利回りほぼ0%)投資信託(想定利回り3%)
毎月の積立額13万円9万円
メリット元本割れのリスクがない
(ペイオフの範囲内の場合)
想定利回り通りに運用が進めば
預金よりも積立額が少なくて済む
デメリット毎月積み立てる金額の負担が重い元本割れのリスクがある

預金と投資信託で金融資産を増やそうとしている場合のそれぞれの詳細は以下の通りです。

・預金で金融資産を増やす場合
現在40歳で保有する金融資産1,000万円の人が65歳までに金融資産5,000万円を目指す場合、使える期間は25年です。その間に貯めなければならない金融資産は4,000万円になります。

・目標リタイア年齢65歳-現在の年齢40歳=使える期間25年間
・目標金融資産5,000万円-現在の金融資産1,000万円=目標金額4,000万円

25年間で4,000万円の金融資産をつくるには、毎月約13万円(毎年160万円)を預金していくことが必要です。

・4,000万円÷25年間=年間160万円(1年間に貯金する金額の目安)
・年間160万円÷12ヵ月=約13万3,000円(毎月の積立金額の目安)

預金のメリットは、ペイオフの範囲内であれば万が一金融機関が破綻した場合でも元本割れがないことです。毎月の目標、毎年の目標をクリアしていけば確実に目標金額を貯めることができます。預金のデメリットは、ほぼ利回りがないので毎月の積立額が重くなることです。

・投資信託の長期積立で金融資産を増やす場合
想定利回り年3%で毎月9万円ずつ積み立てていけば、25年後には4,000万円に到達します。預金に比べて約4万円も毎月の積立額が少なくて済む理由は、4,000万円のうち約1,300万円が利回りによる運用収益だからです。

引用:金融庁「資産運用シミュレーション」
※想定利回り年3%、毎月9万円で設定

投資信託のデメリットは、銘柄選びを間違えると期待していた利回りが得られなかったり元本割れしたりするリスクがあることです。

2.老後も働き続ける

サラリーマンを退職後も何らかの労働収入を得て年金の不足分を補う方法もあります。総務省が公表している「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)」によると、2019年度の労働力人口総数に占める65歳以上の割合は約13.2%でした。2010年時点では約8.8%だったため、約10年で4.4%も増えたことになります。

割合は高いとは言えないものの、人生100年時代を迎えて高齢者が働き続けるのが当たり前の時代が来てもおかしくありません。例えば60~75歳の16年間、年間150万円(月12万5,000円)の労働所得を得れば2,400万円をカバーできます。年金以外に必要なお金が5,000万円だと仮定すると、金融資産だけで構築することは非常にハードルが高いですが、老後の労働所得と組み合わせることで2,600万円貯めれば済むのです。

ただし「高齢になっても稼げる体力やスキルがあるか分からない」ということはデメリットと言えるでしょう。万が一、大病にかかれば一気に計画が崩れるリスクがあります。

3.老後に不労所得を得る

先述した2つの方法に加えて「老後に不労所得を得る」を組み合わせることで、年金だけでは不足する老後資金をまかなうのが非常に楽になります。一般のサラリーマンが退職後に得られる不労所得の代表は、上場株の配当金や不動産所得です。ただし上場株で老後の不労所得を得るのは、難易度が相当高いでしょう。

なぜなら一定のサイクルでやってくる不景気や企業の淘汰をくぐりぬけて数十年以上もコンスタントに配当金を得られるのはごく一部だからです。一方、不動産所得はマンションやアパートの家賃収入が元になります。サラリーマン大家の一般的なスキームとしては、ローンで賃貸物件を購入しリタイアまでに完済して老後に家賃収入を得るというものです。

毎月のローン返済の大半は家賃収入でまかない、足りない部分だけをカバーしていきます。ただし老後の不動産所得を実現させるには、主に以下の3つを押さえておくことが必要です。

・新築またはそれに近い築浅物件を購入する
中古物件を買ってしまうと老後を迎えたときに傷みの激しい築古物件が手元に残ります。例えば35歳で新築マンションを30年ローンで購入した場合、完済する65歳の時点で築30年。これなら数十年、不労所得を生むことが可能です。もし購入したのが築20年のマンションの場合は、65歳の時点で築50年となり、老後の不労所得を生むには築年数が経過しすぎています。

・今後増えていく単身世帯向けの賃貸物件にする
今後増加が見込まれる単身世帯向けの賃貸物件を視野に入れておきましょう。また木造アパートだと建物の寿命が短いのでワンルームマンションか鉄骨アパートを検討するのが賢明です。

・入居ニーズが高いエリアの物件にする
数十年〜半世紀経っても入居者ニーズのあるエリアの物件を所有することも重要です。求心力がずっとあるエリアと言えば首都・東京が無難と言えるでしょう。

老後資金の不足問題に目を背けず資産運用を検討しよう

本記事では、将来の年金受給額と老後資金の不足分を共有し足りない分をまかなうための3つの方法を提示しました。老後資金が足りない現実ははっきりしています。ただし不足する老後資金を「どの方法でまかなっていくか」は人それぞれです。「年金が足りない」と不満をもらしても現実は変わらないため、早い時期から行動を起こし未来を切り開いていきましょう。

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