ついに国も認めた「景気後退」、これからの不況を生き抜くマネー学

(画像=pathdoc/stock.adobe.com)

日本は2012年から景気拡大局面が続いてきました。しかし株式投資などを行っていない場合は「あまり実感がない」という人も多いかもしれません。ただ2012年6月ごろから日経平均株価の上昇が始まり、それまで1万円未満で低迷していた株価が2万円以上と2倍以上の成長を見せたことは事実です。

約8年という景気拡大の局面でしたが、新型コロナウィルスの影響もあって「終焉(しゅうえん)を迎えたのではないか」という指摘は各方面からあがり、ついに国も景気拡大の終了を認めました。「景気拡大が終了した」ということは、次にやってくるのは景気後退(リセッション)です。コロナ不況とも呼ばれる今後の景気後退局面を生き抜くには、どうすれば良いのでしょうか。

本記事では、ネガティブな話題が多くなりがちな“これからの時代を生き抜くためのマネー学”を紹介します。

景気拡大が戦後最長にはならず、「後退」へ

2019年10年に消費税の税率が8%から10%に引き上げられました。増税が景気を冷え込ませるとの指摘は多くあったものの、実際には決定的なダメージとはならず、駆け込み需要とそのあとの落ち込みが起きた程度でした。しかし2020年に入ってから想定外のコロナショックのダメージは、あまりにも甚大なものとなりました。

ただでさえ景気の足腰が弱っていたところへのダブルパンチとなり、ついに国も認める形で景気後退が始まったのです。景気拡大は戦後最長になるとの予想もあったのですが、結局最長記録となっている「いざなみ景気」の73ヵ月には及ばず景気拡大は71ヵ月で終了となりました。2020年8月の時点で、すでに多くの経済指標が悪化しています。

例えばアメリカの2020年4~6月期のGDPが、統計開始以来最悪の落ち込みとなったことは象徴的です。コロナショックのダメージから回復するのは並大抵のことではないため、不況が長期化することも覚悟しておくべきでしょう。

これからの日本経済はどうなる?

コロナショックが起き、景気拡大が終了したあとの「日本経済に起きること」「起こってくるかもしれないこと」を4つ展望してみます。

  1. 相次ぐ外出自粛による外食産業、商業施設への打撃
  2. インバウンド需要激減の長期化
  3. 円高の進行
  4. 日銀買い支えによる株価が持ちこたえられず暴落

上記はすべて景気を冷え込ませる要因ばかりです。3と4は未来予測なので市場の動向次第ですが、1と2についてはすでに起きていることです。特に2のインバウンド需要については、年間数千万人規模で発生していた経済効果が一気に消失したため、そのインパクトは甚大といえるでしょう。日本政府観光局(JNTO)の資料によると、2019年度は毎月約250~300万人あった訪日外客数が2020年4~6月は1ヵ月あたり約1,700~3,000人という状態です。

「今後日本経済がV字回復する」「黄金時代になる」という予想を見ることはほとんどありません。程度の強弱はあっても、今後の日本経済にあまり明るい見通しを持たないほうが賢明でしょう。

不況を生き抜く基本的な考え方

今後、日本が景気後退していくことを前提にした場合、不況を生き抜く考え方が必要になるでしょう。しかし「戦後2番目の景気拡大だった」といっても、冒頭で述べたように、今回の景気拡大を実感できた人はあまりいないのではないでしょうか。リクルートワークス研究所が2019年4月に公表した資料によると、2020年春卒業予定の大学生の求人倍率は1.83倍と依然として高水準でした。

このようにコロナショック以前の就職戦線は売り手市場であったため、就職活動をしていた人や株価上昇による恩恵を受けた投資家、公共投資も好調だったため、建設関係の人などは景気拡大を実感できた可能性があります。しかし「それが社会の大多数に波及した」という実感はあまりないのではないでしょうか。これらを踏まえると、未来への不安は感じる一方で、不景気を感じることはそれほど多くないのかもしれません。

景気後退で経済が落ち込んでいるときは、価値観が変わるタイミングともいえます。「会社に所属して定年まで面倒を見てもらう」という就職観がメインの人にとっては、景気後退により不安が大きくなる人もいるでしょう。しかしどこでも通用する人材であれば、それほど不安に感じることもありません。今回の景気後退では、さまざまな価値観の変革が起こる可能性があります。

そのため会社の給料だけに依存するのではなく、「自分のスキルを高める」「何か副業をする」「シェアリングエコノミーを活用して遊休資産を活用する」など、自分で道を切り開き、努力を惜しまない人が生き残る時代となるでしょう。景気後退におびえて節約にばかり目を奪われるのではなく、「それなら自分も何かやってみよう」という思考が求められるようになります。

ピンチをチャンスに変える思考を持とう

思考の転換によってピンチはチャンスに変えることができます。事実、コロナショックでは新しい産業が続々と誕生しました。大手家電メーカーがマスク製造に参入したことをはじめ、感染防止に役立つさまざまな商品が開発され、新たな市場を形成しています。投資の世界にもコロナショックをチャンスと捉えている人はたくさんいるのではないでしょうか。

2020年2月中旬以降は、コロナショックがすでに始まっていた時期です。同年3月中旬にかけては歴史的な株価の暴落が連日大々的に報道されていました。そんな時期に、実は証券会社の新規口座開設数が急増していたのです。こうした人たちは、「株安になったのであれば今こそ買うべきだ」と考えた可能性が高いでしょう。ここにもピンチをチャンスと捉えている人たちがいるのです。

お金の知識を深めたり活用したりすることを「マネーリテラシー」といいます。景気後退など経済的な逆境では、マネーリテラシーがあるか否かで大きな差が生まれやすくなるでしょう。不況下ではお金のことを考える機会も多くなるため、逆にマネーリテラシーを高めるチャンスともなり得ます。逆転の発想を持つことで不況はチャンスとなり、好況・不況に左右されない生き抜く力をも身につけられる絶好の機会となっていくのではないでしょうか。

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