パフォーマンスだけでない投資信託評価の基礎

(写真=bluedog studio/Shutterstock.com)

老後2,000万円不足するという報告書が金融庁ワーキンググループから出されてから、投資に対する関心が高まっています。老後資産を作る上で投資信託は一つの有効な手段です。税制上有利なiDeCoやNISAができる投資信託もあります。

数多くある商品を選択する場面では、トータルリターンや総資産額といった定量的な指標のほかに、ファンドマネージャーはどのような投資哲学を持ってこの投資信託を運用しているのかを知ることは大切です。今回は定性的な視点からファンド選定方法を解説します。

投資信託説明書(交付目論見書)には投資哲学や投資目的、投資戦略が書かれている

投資信託説明書(交付目論見書)には投資哲学や投資目的、投資戦略が記載されていますが、決まった定義はありません。

投資哲学は投資家から集めたお金をどのように投資していくかの根本的な方針で、投資目的は具体的なリスク・リターンの記述、投資戦略は技術的な方法論が書かれています。

それらは機関投資家が受託する運用機関に、どのように運用してほしいかを記載する「投資方針書」として提出するときに使われるものですが、逆に運用機関が投資家を勧誘するときの指針としても使われます。

1)投資哲学

投資哲学は投資の基本方針を説明します。多くの場合「余裕資金を増やすため」「老後の安定した生活資金の確保」など、資金の投資理由が書かれています。

2)投資目的

投資目的は投資哲学をもう一段具体化したもので、「高成長」「運用配当確保」「元本保全」といったリスク・リターンに関することが記載されています。投資信託の名前にもそれが反映され、どの程度のリスクとリターンが予見できるのか過去の実績も記載されています。

3)投資戦略

投資戦略は目標として設定された数値を達成するための大まかな投資計画や方法を記載したものです。

よくある例としてアクティブ戦略かパッシブ戦略かなどがあります。アクティブ戦略は市場インデックスをオーバーパフォームするために選択された銘柄を中心に組まれた投資信託であり、そのためにいろいろなスタイルをとる必要があります。

パッシブ戦略はコストをできるだけ抑えるため、基準となる市場インデックス並みのパフォーマンスを狙います。

例えば日本株でいえばTOPIX、世界株式であればMSCIオールカントリーワールドインデックスに連動するといった投資信託があります。

このほか「投資方針書」の中には、許容されるリスクの度合いを説明する「リスク許容度」や目標とするリターンを明示する「収益目標」、なにかしらの理由で投資対象としない銘柄を記載した「投資制約条件」などが記載されることがあります。

アセット・アロケーションの考え方

アセット・アロケーションとは、投資家から預かったお金をどの銘柄に配分するのかを決めることです。

具体的には、株式、債券、現物資産(金、コモディティ、不動産)などにどのように配分するか、といったことを決定します。

投資信託の収益を決める大きなポイントとなり、この配分によってリターンが決まります。アセット・アロケーションには、以下のような種類があります。

1)戦略的アセット・アロケーション

中長期的な視点からリスクとリターンが運用目的に合致したアセット・ミックスを決定する目的で行われます。

2)タクティカル・アセット・アロケーション

戦術的アセット・アロケーションと訳され、いろいろな手法を使って株式と債券のように種類をまたがる複数の商品の配分比率を変えながら収益を変えていきます。

3)投資スタイル

厳密にこの言葉の定義があるわけではなく、上記1、2で決めた大枠をより具体的に配分する手法です。

特に運用方針次第で大きく収益が変わる株式運用で用いられることが多く、今後の成長が見込める銘柄中心に投資する「グロース戦略」や、現状の株価が、割安に放置されている銘柄中心に投資する「バリュー戦略」、時価総額が小さい銘柄に投資する「小型株戦略」、安全資産にマーケットポートフォリオのリスクプレミアム、さらにファクターポートフォリオを追加した、アクティブ戦略とパッシブ戦略の中間をとった「スマートベータ戦略」、ヘッジファンドがよく使用する、銘柄の売りと買いをミックスした「ロング・ショート戦略」などがよく使われます。

自分にあった商品を選ぶことが大事

このように、投資信託を選択する際には、過去のパフォーマンスを見ることはもちろんですが、その投資信託が、どのような運用指針で収益を取ろうとしているのかをきちんと把握したうえで、ご自身の考えとマッチする商品を選ぶことが重要なのです。

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