この際一気に理解してしまおう 証券口座の種類と税金との関係

(写真=Naresuan261/Shutterstock.com)

個人で株式や投資信託に投資するとき、所得税がどのように課税されるかは重要なポイントです。中でも配当や売却益に対する課税は所得税法上まったく別の種類となります。また証券会社にはさまざまな口座があり、その選択に際して注意すべき点も説明します。

配当課税は原則20.315%

上場株式の配当所得に対しては原則20.315%(所得税15% 住民税5% 復興所得税0.315%)が総合課税されます。総合課税ですので、その他の所得で例えば給与所得、事業所得などと合算され、税額計算されます。さらに法人税との二重課税を排除するために配当控除(税額控除)が設けられています。

配当所得の計算式は下記の通りです。

配当所得=配当金などの収入金額-負債利子

また法人税との二重課税を避けるために、配当所得控除(税額控除)が次のように設けられています。

課税総所得金額等が1,000万円以下 課税総所得金額等が1,000万円超の部分
所得税 配当所得×10% 配当所得×5%
住民税 配当所得×2.8% 配当所得×1.48%

注意すべき点は、J-REITと外国株式の配当金には適用がないことです。また、配当金については申告不要制度があります。

1銘柄1回あたり配当金が10万円×(配当期間の月数/12ヵ月)以下の配当金については確定申告をしないことができます。配当金受取の際、源泉徴収されているので配当金に対して課税されていないわけではありません。

以上をまとめると以下のようになります。

確定申告する 確定申告しない=申告不要を選択
総合課税 申告分離課税
負債利子の控除 ×
税率 所得税の累進課税 20.315% 20.315%
配当所得 × ×
株式譲渡損との損益通算 × ×
合計所得金額 含まれる 含まれる(注) 含まれない

(注)源泉徴収口座内における損益通算の特例とは
源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当所得金額から、その年分に生じた上場株式等の譲渡所得等の損失金額、またはその年の前年以前3年以内に生じた譲渡損失の金額(前年以前にすでに控除したものは除く)を控除することができます(譲渡課税については次章で述べます)。

この表からわかることは、

・所得税の累進税率が15%以下の方は、総合課税+配当所得を選択
・株式や債券の譲渡損が発生した場合、申告分離課税で損益通算

することが税率上有利なことがわかります。

売却益課税

株式等の譲渡は、原則譲渡所得に該当します。その場合、申告分離課税が適用され、確定申告が必要となります。税率は、配当所得と全く同じです。

この場合の計算式は

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+負債利子+譲渡費用)

となります。

取得費は、その株式等の取得形態により異なりますが、主なものは次の通りです。

  • 購入した株式等
    購入代金+委託手数料(消費税含む)
  • 払込により取得した株式
    その払込金額
  • 相続・贈与に取得した株式等
    被相続人・贈与者が取得した金額を引き継ぐ。ただし、相続により取得した株式を相続税申告書の提出期限の翌日以降3年以内に譲渡した場合、譲渡した株式にかかる相続税相当額を取得費に加算できます。
  • 取得費が不明の場合
    譲渡価格×5%

ここで最近重要になってくるのが、相続により取得した場合です。この場合相続人は親などの被相続人がいくらで取得したかわからない場合が大半です。その場合は譲渡価格の5%しか取得費として認められなくなります。それを避けるために、証券会社に特定口座を開設することにより、取得価格をおさえておくことができます。特に多額の株式等をお持ちの高齢者の方は注意が必要です。

負債利子とは株式を信用取引などで取得した際に要した負債の利子で所有期間に対応した金額のみ控除できます。譲渡費用は証券会社へ支払った委託手数料(消費税含む)等です。

特定口座

現在、株式譲渡益課税については原則申告分離課税に一本化され、各個人が確定申告をする必要があります。しかしそれはとても煩雑になるので、この手続を軽くする目的で特定口座制度(簡易な申告制度)が作られました。

具体的には、証券会社に特定口座を開設しその口座を通じて売買した損益については証券会社がすべて計算を行います。更に特定口座は、源泉徴収無し(簡易申告口座)と源泉徴収あり(源泉徴収口座)を選択でき、後者を選択すれば確定申告は不要となります。ただし年の途中で源泉徴収有り無し口座を変更することはできません。

特定口座であっても、確定申告をすることも可能です。確定申告をしたほうが良いケースは

・選択口座内の株式譲渡損益がマイナスの場合
・他の特定口座の損益と通算する場合
・他の株式等の譲渡損益と通算する場合

が考えられます。

証券口座の種類と税金について知識をつけ、適切な選択をすることで余計なお金が出ていくことを防げるかもしれません。そのために、今回のような基礎的な部分は抑えておきましょう。

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