超富裕層が集う「オフショア」とは

(写真=Olena Z/Shutterstock.com)

投資好きな方の中には「オフショアファンド」や「オフショア投資」という言葉を耳にしたことがある人がいるのではないでしょうか。オフショアとは、極端な税率の優遇によって自治を成立させている特殊な地域のことです。本稿では、世界中の投資家や富裕層が集まるオフショアとはどのような場所で、一体何が行われているのか。オフショアについて説明します。

「オフショア」とはどのようなところか

オフショアの由来は「遠い沖」と言ったところですが、遥か海外には、租税を大幅に優遇している特殊な地域があります。「オフショア」または「タックスヘイブン(租税回避地)」とも呼ばれるこれらの地の由来は、たとえば大航海時代にヨーロッパの植民地となったものの、現在では自治が任された南国の小島や、資源がないため、国の政策によって設けられた地域などが代表的なものと言えるでしょう。

いずれにせよ、オフショアは自治を成り立たせるために、特別金融区画として、税制において優遇措置を積極的に設け、海外からの企業や投資などを受け入れています。具体的なオフショア地域としては、香港・シンガポール・マカオ・マン島・モナコ・ルクセンブルグ・ケイマン諸島・バハマ・パナマなどが挙げられます。

オフショアと税金

オフショア(タックスヘイブン)と一口に言っても、税率の観点からはいくつかの種類にわかれます。

・タックスパラダイス:所得に税金がまったくかからない地域
・タックスシェルター:国外源泉所得に関する税率が非常に低い地域
・ロータックスヘイブン:条約締結国に対する税制優遇が行われている地域
・タックスリゾート:特定の事業を行う場合、税制上の優遇を受けられる地域

オフショアの問題点

上述のようにタックスヘイブンは、非課税もしくは非常に低い税率を採用しているため、税金の支払いの回避を目的としている投資家や富裕層も少なくありません。このため、オフショアには実体のまるでないペーパーカンパニーだけが登記を連ね、なんら事業活動をしないまま、ただ莫大な資金だけが移動しているおそれもあります。

これはたとえば、1万円を年利30%で銀行に預けたと仮定してみましょう。一年後には3,000円の利息がつきますが、日本では利子に関する税率は約20%であるため、実際の儲けは2,400円になる計算です。一方、オフショアでは3,000円がそのまま利子として手に入るかたちになります。

またオフショアの特徴の一つに非常に高い秘匿性が挙げられます。誰がどのようにお金を動かしているのか、まったく見えないのです。実際、2016年にはオフショアの一つであるパナマから膨大な量の顧客リストが流出しました。パナマ文書と呼ばれるこの文書には、アイスランドやパキスタンの首相、ロシアのプーチン大統領の側近、中国の習近平国家主席の親族など、世界中の錚々たる顔ぶれがオフショアを用いて莫大な資金を動かしていたことを裏付けたのです。

オフショアに法人を登記しても

オフショアに法人を登記することはできるのでしょうか。結論から言えば、ある程度の金額を支払えばオフショアに法人登記すること自体は難しくはありません。ただし、それによって租税が回避できるかと言えば、これはほぼ不可能といえるでしょう。

日本で2017年に行われた税制改正ではオフショア対策が盛り込まれています。これは一般的には読んで字のごとく「タックスヘイブン対策税制」とも呼ばれているものです。具体的には日本の法人が外国に子会社を持った場合、その税率の差額を合算して課税すると言うものです。

世界中でオフショア対策が進んでいる現在、オフショアを利用して税金対策を考えることは夢の中だけに留めておいた方が無難なようです。

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