奨学金で知る「借金すること」の本質とは?

(写真=Nestor Rizhniak/Shutterstock.com)

社会人になってから、奨学金の返済に追われている人は多いことでしょう。「借金は嫌だ」とばかりに、ある程度お金が貯まったら限界まで繰り上げ返済して、借金を清算したくなる人もいるのではないでしょうか。

しかし、借金イコール悪ではありません。その使い方によって良くも悪くもなります。今回は、奨学金を通じて借金の本質についてお伝えします。

改めて自覚したい奨学金を借りた理由

奨学金を利用して学費を支払っている学生、あるいは学校の卒業後に奨学金の返済を続けている社会人は多いでしょう。日本学生支援機構の「平成28年度学生生活調査」によれば、大学昼間部に通う学生のうち奨学金を受給しているのは48.9%、大学院修士課程では51.8%、さらに大学院博士課程の場合は56.9%です。「申請したが不採用」「希望するが申請しなかった」を含めると、いずれも50%台後半から60%台後半の学生が、奨学金の受給を希望しているということになります。

また、日本学生支援機構の奨学金の平均貸与総額は、無利子の第一種奨学金で236万円、有利子の第二種奨学金で343万円です。日本学生支援機構のシミュレーションによれば、4年間貸与を受ける代表例の場合、毎月15,000円前後の返還を15年から20年ほど続けることが求められます。もちろん、学部時代から修士課程・博士課程まで引き続き奨学金を受給していた場合は、毎月の返還額や返還期間が長期化します。

奨学金の多くは、返還義務のない「給付型」ではなく返還義務のある「貸与型」です。そのため、奨学金を利用する大部分の学生にとって、奨学金は生まれて初めて自分自身に返還義務の生じる「借金」であり、卒業後には長くその「返済」に追われることになります。

こう考えると、奨学金を「借金」することの理由を改めて自覚する必要があるでしょう。奨学金という借金によって、自分が何を得られたのか厳しく考え直すということです。

奨学金から知る「良い借金」と「悪い借金」

借金と言うと、ネガティブなイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、借金が必ずしも悪いということではなく、その内容や使い方によって良くも悪くもなります。

簡単に言えば、将来の資産や利益につながるのは「良い借金」、消費や浪費にしか使われず負債にしかならないのが「悪い借金」となります。たとえば、奨学金を利用したことで大学を卒業でき、大卒の肩書きと高度な教育を受けたことで高収入な仕事に就けたのだとしたら、それは「良い借金」と言えるでしょう。しかし、奨学金を得て大学に進学しても、4年間遊んでいたために低収入かつ収入アップの望めない仕事にしか就けないということであれば、それは「悪い借金」としか言えません。

このように、借金を良くするも悪くするも、本人の目的意識と努力によります。良い借金であれば、借りた以上の利益を得られるために返済額がそれほど負担になりませんが、悪い借金であれば利益を得られず、返済だけが残るためにますます生活が苦しくなります。奨学金については賛否両論ありますが、こうした借金の本質を体感できる機会であるのは間違いありません。

住宅ローンもよい借金?

個人が奨学金より多額の「借金」をする機会と言うと、自宅や投資用不動産を購入するときに利用する住宅ローンや融資でしょう。これらの借金も、利用方法次第で良くも悪くもなると考えられます。

不動産を購入しても、収益が出ないようであれば悪い借金でしかないでしょう。ただし、自宅ならば、生活の質が上昇するという条件つきで良い借金になるかもしれません。投資用の不動産の場合は、家賃収入や売却益という形で収益を上げられるか否かが、借金の良し悪しを分けるポイントと言えるでしょう。

不動産購入用のローンは、数千万円から億におよぶこともあります。その返済期間は、20年や30年におよぶのも一般的です。そうなると、借りる際に「何のために借りるのか」「良い借金と呼べるか」を自問自答する必要があります。逆に、生産的な目的があるのであれば、借金という他人資本が資産増加のために働いてくれるということになり、これほど心強い存在はありません。

奨学金の存在は、借金というものの本質を私たちに教えてくれます。借金があるからと言って毛嫌いせず、その目的に応じてうまく活用できればよいのです。

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