配偶者が亡くなれば年金は減少。資産活用で老後貧困に備えよう

(画像=narongkhueankaew/EyeEm/stock.adobe.com)

「子どもの養育」、「マイホームの購入」、そして「老後の生活資金」は人生の大きな出費となります。養育費とマイホームの購入資金は比較的若いうちに生じるため、労働収入の多くを割り当てるほか、奨学金や住宅ローンといった資金の融資制度も整備されています。

しかし、老後の生活資金に関しては、労働収入が減少する晩年に生じ他の出費よりも資金繰りがシビアになるほか、不足分を補う融資制度も限られています。そのため、年金制度の理解不足が老後貧困へと直結しかねません。

万が一老後貧困に陥った場合、自身のみならず配偶者や家族にも影響が及ぶ恐れがあります。こうした事態を避けるためにも、老後生活の注意点と自身の資金計画を持つ重要性を解説していきます。

年金生活時の注意点

給与収入は定期昇給や昇進などにより、勤続年数と共に増加していきますが、役職定年や定年退職を迎えると大きく減少するため、山なりの曲線を描きます。

年金生活時は低下する給与収入を年金収入に肩代わりさせていくことになります。年金収入は現役時代の給与収入によって部分的に増減しますが、基本的に給与収入全てを補うことは困難です。

このため、年金生活時は年金収入と現役時代に築いた資産で生活する必要があり、資産形成が不十分であると老後貧困に直面してしまうかもしれません。

老齢年金の給付額はどれくらい?

日本の公的年金制度は階層構造をとっており、よく知られる「国民年金(基礎年金)」は1階部分、「厚生年金」は2階部分、そして「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「企業年金」は3階部分に位置しています。

公的年金では、階数が多いほど給付額が増加していきますが、基本的には専業主婦や個人事業主などは国民年金のみ。公務員や厚生年金に加入している事業者に雇用されている場合は、国民年金と厚生年金に加入していることになります。

国民年金の給付額は、20歳から60歳までの40年間(480ヵ月)で国民年金保険料を支払った回数によって変化します。40年間保険料を納め続けた場合は満額の年間78万900円(2021年度)を受け取ることができますが、大学生などで国民年金保険料の「学生納付特例制度」を利用し、その後保険料を追納しなかった場合は、未納期間に応じて給付額が減少します。

厚生年金の給付額は現役時代の平均年収と加入月数に左右されます。仮に2003年4月以降に就職し、平均年収を420万円(月額35万円)が40年(480ヵ月)続いた場合、35万円×0.005481×480ヵ月となり厚生年金の給付額は年額92万808円となり、夫婦2人の給付額合計は248万2,608円になります。
思ったよりも貰えると感じられるかもしれませんが、少子高齢化や経済成長率の鈍化により、今後の年金給付水準は低下すると見込まれています。

今後の老齢年金はどうなる?

年金の給付水準は、金額を単純比較するのではなく、現役時代の収入の何割を年金収入が代替できるかを示す「所得代替率」で評価する必要があります。

2020年度の夫婦2人分の標準的な年金額は、年額264万8,688円(月額22万724円)であり、所得代替率は62%となっています。しかし、所得代替率は経済成長や労働参加が内閣府の想定通り進んだとしても2046年度には51.9%程度まで低下すると見込まれています。

また、万が一想定を下回ってしまうケースでは、所得代替率は36%~38%まで低下してしまい、積立金も枯渇するため、現役世代から集めた年金保険料と国庫負担分を高齢者に給付する完全賦課方式へと移行する恐れもあるため、自分たちが年金を受け取る時の金額に合わせて老後の資金計画を準備していくことが重要です。

老齢年金の併給の仕組み

しかし年金収入を老後生活の柱とした場合、夫婦どちらか一方が亡くなると給付額が大きく変動するリスクからは逃れることができません。

仮に夫が国民年金と厚生年金を、妻が国民年金のみをそれぞれ受給している2人世帯の場合で、妻が死亡した場合は、妻の国民年金が全額支給停止となり、逆に夫が死亡した場合は夫の国民年金は全額支給停止し、厚生年金は遺族厚生年金として厚生年金時の給付額の3/4を受給することになります。

前述の厚生年金の年額92万908円と国民年金が78万900円の夫婦合計248万2,608円であった場合、妻が死亡した場合の年金額は170万1,708円、夫が死亡した場合は147万1,506円となり、23万円の差額が生じます。

また、老齢年金は受給開始年齢を後ろ倒しする「繰下げ受給」を行うことで給付額を最大42%(70歳受給開始)増額させることができますが、夫が死亡し遺族厚生年金に移行した場合、繰下げ受給による増額分は無効になってしまいますので、死亡後の収入保障については別に準備する必要があります。

老齢年金の減少と備え

「老後資金の必要額は単純計算で1,300~2,000万円になる」2019年に金融庁のワーキンググループが発表した報告書に書かれていたコメントは年金収入だけでは生活が維持できず自助による資産形成が必要であることを示すものでした。

この報告書は後に撤回されましたが所得代替率低下も見込まれており、自助による老後資金の準備は今後ますます重要性を増していくと考えられます。

2020年家計調査報告を基に、65歳~85歳の家計収支をひも解き、老後資金の統計上の必要額を算出してみます。

年齢 年金収入(月額) 非消費支出(年額) 消費支出(年額) 対象期間の収支合計
65~69歳 264万8,688円 50万3,820円 312万1,740円 -488万4,360円
70~74歳 40万3,332円 291万948円 -332万7,960円
75~85歳 35万5,164円 255万9,636円 -266万1,120円

この結果、夫婦がともに健在であれば、85歳までに必要な老後資金は約1,100万円になります。しかし、将来的には年金収入の所得代替率が低下するため、年金生活に入るタイミングによっては必要な老後資金が増加する可能性があります。

また、年金生活時には健康状態によっては医療費や介護費用が生じる恐れがありますが、こうした費用は一時に支払う必要があるため、少額ずつ定期的な性質である年金収入を充てるには不向きで、預貯金や退職金などで支払うことになります。

日々の生活費の赤字を補てんするために預貯金を取り崩してしまうと、万が一の際に資金が不足してしまうかもしれませんので、年金収入内で収まるよう家計を見直すことが望ましいといえます。

しかし、年齢を重ねたタイミングで、それまでの生活レベルを落とすことは体力的にも心理的にも決断し難いものがありますし、夫婦一方の死亡時の年金額の減少に備えて収入保障を検討する必要もあります。

投資用不動産の活用による安定収入の確保

老後資金の問題を解決する選択肢として、投資用不動産の活用した死亡時の収入保障と賃料による安定収入の確保する方法があります。

賃料収入により、100万円程度の安定収入が確保できれば老後生活時の赤字の軽減が期待でき、預貯金も維持できるため医療費などの突発的な出費にも対応できるようになります。

近年は不動産価格の高騰もあり、融資を利用しての購入だとプラスの利回りが出ないものもありますが返済を終えてしまえばキャッシュフローが改善するため現在は赤字の物件でも将来を見据えれば取得するメリットがあります。

年金収入だけに頼らず、複数の安定収入の確保が老後生活のポイント

老後生活において年金収入を柱とした場合、将来的に所得代替率が低下する恐れや、夫婦一方の死亡による給付額の減少リスクもあります。

老後生活においては資金管理が重要となり、万が一想定を見誤った場合、生活の立て直しが難しくなってしまうかもしれません。

厚生年金・国民年金・遺族厚生年金の給付の仕組みとおおよその給付額を確認し、年金額の減少に備えることや、若年層のうちに投資用不動産を取得することで年金以外の安定収入を確保することが今後迎える少子高齢化時代の老後生活をおくる上で重要なポイントといえるでしょう。

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