1人で2兆円寄付 アメリカ超富裕層が続々参加するギビング・プレッジとは

(写真=VDB Photos/Shutterstock.com)

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが離婚し、財産分与額が360億ドル(4兆円)に達したことで話題を呼びました。さらに驚いたのは、別れた妻マッケンジー・ベゾスが、財産分与額の半分を慈善団体に寄付することです。

アメリカでは、しばしば巨額の寄付が話題を呼びます。先日も、アフリカ系アメリカ人で最も金持ちとされるファンド運営者が、母校在学生の奨学金を全額肩代わりし喝采を浴びました。

今回の記事では、なぜアメリカ人には寄付文化が根付いているのか、キリスト教的思想の背景や日本の現状などを考えます。

米国の大富豪は寄付に熱心

「私には分不相応の額、慈善事業のために使いたい」マッケンジーが今回の寄付にあたって表明したコメントです。

寄付した慈善団体ギビング・プレッジは、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットが立ち上げた団体で、大富豪たちに「資産の半分を寄付」するよう呼び掛けています。

寄付に熱心なのは、マッケンジーだけではありません。元夫のジェフも、2018年にホームレスの自立や低所得家庭の教育支援を目的とした団体に20億ドルを寄付しています。高額寄付者には、スティーブ・バルマー元マイクロソフトCEOやマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長も名を連ねています。

最近ではアトランタ州のモアハウス・カレッジ(同校はアフリカ系アメリカ人が多数を占める)の卒業式挨拶で、招待客のロバート・F・スミス氏(黒人屈指の資産家として有名)が「卒業生全員の奨学金を私が肩代わりする」と表明しました。その額は4,000万ドルに達すると見込まれています。

奨学金の債務は、全米で社会問題になっています。話を聞いた卒業生と教師たちは一瞬あっけにとられ、中には感激のあまり泣き出す学生もいたそうです。

米国の寄付文化を支える背景

調査機関のレポートによると、2018年アメリカの寄付総額は前年比0.7%増の4,277億ドル(46兆円)でした。うち個人の寄付総額が全体の7割を占めています。お金を寄付するだけでなく、「世界的な課題解決」を目指して財団を立ち上げたビルゲイツのように支援活動にも積極的に係わっていくケースも増えています。

貧富の格差拡大に伴って、スーパーリッチへの反感が強まっていることも背景にありますが、もともとアメリカには寄付文化が根付いているようです。

とかく「お金持ちだから寄付している」「節税対策のためにやっている」と思われがちですが、決してそれだけではありません。

アメリカでは、それほど裕福でない家庭でも経済的に可能な範囲でNPO団体やキリスト教会に寄付するといいます。このような習慣の根底に流れるのが、キリスト教の思想です。

聖書には、「神と同じようにあなたの隣人を愛しなさい(マタイ福音書)」という話が随所に登場します。日常社会にも他者救済の価値観が根付いており、学校など地域社会でもバザーやホームレスへの炊き出しといった奉仕活動が活発に行われています。

地域社会全般に根付くこうした基盤があってこそ、数十兆円に上る寄付が成り立っているのでしょう。

一方、日本はどうでしょうか。個人の寄付総額は1兆円に満たず、アメリカとは2桁も違います。しかし、アンケート調査によると日本人の寄付に対する関心が低いわけではなさそうです。

今後は、支援される側の努力(現場情報の発信・寄付で集めた資金の使い道公開)が課題と言われていますが、それだけではないようです。

アメリカでは、NPOなどの団体が積極的に寄付したセレブを公開しています。それが寄付の呼び水になるからです。日本の場合、寄付者が公開されることは稀です。寄付が売名行為・偽善だとバッシングされかねない、というのがその理由です。

これから寄付文化が根付いていくには、私たち寄付する側の意識改革も欠かせないようです。

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