富裕層が「見た目を磨く」のはなぜか?

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

「山高きが故に貴からず、樹あるを以て貴しとす」江戸時代、寺子屋の教科書「実語教」の冒頭に登場するメッセージです。人は中身が大事と論じ、見た目で判断しがちな姿勢を戒めています。裏を返せばこのメッセージは、「人は見た目が9割」と言われるほど今も昔も変わらず外見で判断されがちな世情を物語っています。

第一印象は一瞬で決まりその後ずっと持続する

実際に、見た目はどれほど影響力があるのでしょうか。大手化粧品メーカーが一般企業の新卒採用面接官645人を対象に実施した調査結果によると、採用面接官の実に95.5%が「第一印象が選考結果に影響する」と答えているのです。同様に80.8%が、「髪型は第一印象に影響する」と答えています。一般的には清潔感やさわやかさがあり、表情が伝わる髪型がよしとされて、ここ最近は短髪・ツーブロックが好まれる傾向です。

前髪で表情が隠れるもっさりスタイル、不真面目な印象を与える明るめ茶髪はもちろんNGです。心理学でも相手への評価は第一印象でほぼ決まり、その後も続くとされています。こうした現象を、心理学用語で「初頭効果」と呼ばれています。第一印象が決まるのは最初の7秒間、その後の持続期間は半年間との説もあります。

見た目が良ければ仕事もできると勝手に思い込んでくれる

ハロー(後光)効果と呼ばれる心理的現象もよく知られています。後光とは仏像の光輪のことで、後光が差していると威厳・格が備わっているように錯覚します。「立派なスーツを着こなしているから仕事もそつがない」「笑顔が素敵だからきっと優しい性格だ」といった具合に、身なりや振る舞いの良し悪しから本来、無関係なはずの性格や仕事ぶりまで判断されてしまうのです。

髪型・スーツ・シャツ・靴・ネクタイ・メイクなど、第一印象に影響を及ぼす要素はさまざまです。たとえば、「足元を見る」のことわざ通り、人は履いている靴を見て相手の人となりを判断します。もちろん、お互いがより理解できるようになれば、こうした心理的影響も和らいでくるでしょう。ただし、そうなるには時間もかかるしエネルギーも必要です。やはり、初対面の印象を良くするに越したことはありません。

良い第一印象を与える富裕層の振る舞い

富裕層は、第一印象の大切さをわきまえています。まず「明るく、ニコニコしている」というのが彼らの第一印象です。ただ笑顔なだけでなく、関心の幅が広くて会話にも好印象を感じます。ミドル以上の層でも、カラオケで流行っている若い世代好みの歌もよく知っていて驚かされることも少なくありません。目下からのアドバイスを素直に取り入れるなどマインドもオープンです。

当然彼らは、身なりも整えます。もちろん、高価なものもあしらいますが、着飾るということではなくファストファッションも上手に組み合わせます。そして、彼らは「背筋がピンとしていて姿勢が良いこと」も好印象の大切な要素です。

まっすぐなキュウリと曲がったキュウリ、違うのは「見た目」だけでしょうか。人によっては曲がったキュウリでも味は変わらないと言います。専業農家によると、曲がったキュウリは栄養分が偏り、曲がった箇所の内側はおいしくないそうです。つまり、農家がキュウリをまっすぐに育てるのは、見た目を良くするためだけでなく、味を良くするためでもあるのです。

パーティーに出席した富裕層が、左手でグラスを持つのがなぜかをご存じでしょうか。彼らは別れ際に握手を求めることが多く、そのときに相手が「冷たい」と感じさせないために気を配っているのです。富裕層の洗練されたマナーは、「目立ちたい・自分を良く見せたい」ためではなく、「周囲が不快さを感じさせないため」です。

つまり、見た目を気遣うのは自分のためだけではなく、周囲を気遣っての振る舞いなのです。そうだとすれば、われわれも富裕層の「見た目を大切にする」習慣をぜひ見習いたいものです。

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