
あらゆる機能が詰まったスマートフォン、最近ではスマホで時間を確認する「腕時計を持たない派」も増え、その割合は4割に達しています。一方で、「腕時計を持つ派」も全体の5割近くを占めています。「スマホをカバンから取り出すのはみっともない」「腕時計はビジネスパーソンの身だしなみ」「ファッション・アクセサリー・ステータスシンボルとして身に着けたい」といった声は根強いようです。
高級化志向が進む腕時計
業界団体の調査結果によると、携帯電話の普及が始まった2001~2016年の16年間で時計の出荷台数は、一時期の超低迷期は脱したものの、2001年の1,143万個から2015年の942万個まで2割近く減らしました。一方で、出荷金額は出荷台数のようには落ち込んでいません。つまり、単価アップと高級化志向が進み、時計にお金をかける人の割合が増えているのです。
腕時計の購買層を対象にしたWEBアンケート結果でも、男性の6割以上が30万円以上をターゲットとしており、100万円以上も2割近くに達しています。高級腕時計の代名詞である機械式時計に、女性の場合6割が関心を寄せ、9割が購入の意向を示しています。国別では圧倒的にスイス製が支持を集め、その割合は4割を超えています。
250年間の歴史を誇るスイスの腕時計
現在はブランド・コングロマリットのリシュモンに連なるヴァシュロン・コンスタンタン、ジュネーブのサン・ジェルベ地区で腕時計店を開業したのは1755年です。アルプス山脈のふもとに位置するスイスは空気や水が清浄で、ホコリを嫌う精密部品の塊である時計の製造にふさわしい環境です。そんなスイスには、宗教弾圧を逃れてきたカルヴァン派の時計職人が続々と集まってきました。
こうした背景のもと、スイスの時計産業は成長を遂げ、世界のトップブランドとしての地位を築き上げます。現在、スイス時計産業の生産数量は年間3,000万個でシェア2.5%に過ぎませんが、売上高の5割以上はスイス製です。単価は800ドル近くとフランス製の倍以上、中国製(8.5ドル)の約100倍にあたります。単価11万円以上する時計の、実に95%がスイス製なのです。
では、どういったブランドが人気なのでしょう。知る人ぞ知る「時計の王者」パテック・フィリップは、多くの時計愛好家が「いつかは購入したい」憧れのブランドです。一方でその価格は、革バンドの最も安いモデルでも100万円超え、実用物での最高価格は1.2億円で、おいそれとは手が出ません。実際の購入意向は、ロレックス・オメガ・カルティエといったブランドに集まっています。
いずれも100年以上の歴史を誇る老舗が席巻する時計市場ですが、創業1980年の新興ブランドが最近話題を呼んでいます。
老舗を圧倒するクラフトマンシップとは
ウブロはとくに30代男性の支持を集め、2016年の「欲しい時計ランキング」では7位(11.2%)と、カルティエ・パテックを上回っています。2005年、ウブロはジャン・クロード・ビバー新CEOの就任とともに歴史的な転換点を迎えます、代表作「ビッグバン」の登場です。ビッグバンは、従来のウブロブランドの特徴だった舷窓デザインのケース・オレイユリング・ビス止めベゼルに加え、ビッグバンでは新コンセプト「FUSION」を打ち出します。
イエローゴールドの金属製ベルトという伝統的な素材に、「未来の素材」ラバーバンドという常識破りの組み合わせが話題を呼び、ウブロの売り上げは4倍まで急増します。新素材の融合はその後も進化を続け、カーボンファイバー・アルミニウム・キングゴールドなど13の素材を採用しています。2015年には、金とセラミックを組み合わせた傷のつきにくい素材として「マジックゴールド」をラインナップさせました。
そして、2012年にはマジックゴールドを採用した「ビッグバン フェラーリ」をデビューさせました。コレクターが喉から手が出るほど欲しいこのモデルは、卓抜した素材に加えて、330個の部品が精工に組み合わさった「ウニコ ムーブメント」を搭載しています。ウブロやロレックスのメンズモデルは、新品でも100万円で入手できます。少し値の張る買い物ですが、それ以上のバリューをあなたにもたらすかもしれません。
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