首都圏でリセールバリューの高いエリアはどこか 第6回、代官山

(画像=宏竹澤/stock.adobe.com)

リセールバリューとは、その資産を今売却したらどれだけの価値になるかを示すものです。今すぐ売る気はなくても、リセールバリューを知ることでその資産の現在価値がわかります。不動産は需給によって価格が決まるため、リセールバリューがどれだけあるのかは保有資産額を決めるだけでなく、その不動産を賃貸にしたときの家賃相場にも影響を与えます。

不動産市場調査大手の「東京カンテイ」が発表したランキングによると、2020年に首都圏で最もリセールバリューが高かったのは、渋谷区の代官山でした。調査対象は首都圏の412駅に及びますが、その中で1位だったのが代官山なので、その圧倒的な強さがうかがえます。その理由と、2020年のリセールバリューに見られる傾向から、不動産の物件選びのあり方について解説します。

2020年のリセールバリュー、第1位に輝いたのは「代官山」

東京カンテイが行った2020年のリセールバリュー調査では、首都圏の412駅が対象となりました。その中で代官山は1位に輝いたわけですが、調査対象である412駅のうち約半数にあたる214駅が100%を超えました。このパーセンテージは購入時と現在の市場価値(リセールバリュー)を比較したもので、100%を超えているということは購入時よりも資産価値が上昇していることを意味します。

2020年というとコロナ禍による経済への悪影響が大いに懸念された年でしたが、そんな環境下にあっても首都圏の不動産は半数以上が100%以上のリセールバリューを記録したことで、首都圏の不動産が依然として堅調さを維持していることが示されました。そのトップにある代官山のリセールバリューは164.3%となり、購入時よりも1.6倍程度もの価値に上昇していることがわかります。逆に資産価値が3割以上低下した駅が10駅もあったことを考えると、同じ首都圏であっても明暗がくっきりと分かれていることも浮き彫りになっています。

この理由を考察すると、以下のような要因が考えられます。

・代官山は渋谷から近く、渋谷の大規模再開発による影響が好感された
・東急東横線と東京メトロ副都心線の相互乗り入れによる利便性向上
・地名、地域そのもののブランド価値

そもそも人気エリアであった代官山に良好な外的要因が加わり、人気を集めたことが如実にリセールバリュー向上にもつながったと考えるべきでしょう。

首都圏のリセールバリューの平均値は101.9%で資産価値がプラスに

明暗が分かれた首都圏の各地ですが、首都圏全体で見るとリセールバリューの平均値は101.9%となっています。前年が94.3%、前々年が91.4%であったことと比較すると「プラ転」しているところに要注目です。

コロナ禍による影響が少なからずあった2020年でしたが、首都圏の不動産が依然として好調を維持していることは、投資家にとって大きな意味をもちます。

代官山に続くリセールバリューの高い駅は?

1位となった代官山に続く、リセールバリューの高い駅も見てみましょう。2位から5位までには、以下の駅が続きます。

2位 溜池山王
3位 桜木町
4位 高輪台
5位 水道橋

桜木町だけは横浜ですが、それ以外はいずれも東京都内の山手線内側、城南エリアが多くを占めていることがわかります。東日本大震災で交通マヒを経験し、コロナ禍で人混みを避ける必要性が生じたことから、長時間の電車通勤を必要としない「職住近接」がトレンドとなり、その傾向が都心の不動産価値を高めたといえます。

不動産投資の目線で見た「代官山」

リセールバリューが高いことは、不動産投資においてとても重要な意味をもちます。収益物件を売却するときのキャピタルロス(値下がり損)を防ぐ効果がありますし、リセールバリューが高いことで賃料相場も維持され、収益性をしっかりと確保できるからです。

こうした構図を踏まえ、不動産投資の目線で見ると代官山はどんなエリアなのでしょうか。

リセールバリューが高い点と不動産価格が高い点はイコールなので、すでに代官山エリアの不動産は価格が高止まりしています。もちろん安定的かつ高い賃料収入が見込めるものの、その一方で物件価格が高いため、あまり高い利回りは期待できません。その一方で賃貸需要は旺盛であり、代官山の家賃相場を許容できる人たちが入居者となるため、良質な「顧客」を見込むことはできます。

こうしたリセールバリューの高いエリアでの不動産投資は、家賃収入によるキャッシュの確保よりも長期的な資産形成に適しています。理由は簡単で、長期的に保有してもリセールバリューが高いことで資産価値低下のリスクが少なく、場合によってはキャピタルゲイン(値上がり益)も期待できるからです。

しかし、さすがにリセールバリューが160%を超えている代官山の不動産は高いと感じる方も多いと思います。その場合は同様の資産性維持が期待できるエリアを見つけるのも、不動産投資家としての「目利き」です。どんなエリアが代官山と同様のリセールバリューとなるか、もしくはこれからリセールバリューが向上していくかを見極めるポイントは、次章で解説します。

リセールバリューを意識した不動産の選び方

不動産投資においてリセールバリューを意識することの重要性はご理解いただけたと思います。それでは今後、どんなエリアのリセールバリューが向上すると考えられるのでしょうか。それを読み解くキーワードは、「職住近接」と「都心」です。

すでにご紹介したように2020年のリセールバリューランキングで上位になっているのは、職住近接を実現できる都心エリアがほとんどです。以前から山手線の内側は不動産価値が高いとされてきましたが、それはやはり、東京の中枢とされる都市機能の多くが山手線の内側に集積しており、その利便性がきわめて高いからです。

2020年のコロナ禍では、リモートワークが半ば強制的に普及した側面があります。リモートワークが普及すると自宅で仕事ができるようになるため、必ずしも利便性の高いエリアに住まなくてもよいと考える人が多くなりました。「東京脱出」という言葉も誕生し、地価が安く広い家を確保できる郊外に移住するライフスタイルも1つのムーブメントとなりました。これは個人だけでなく、企業にも見られる傾向です。

こうした傾向が起きた2020年に、代官山をはじめとする東京の都心エリアが軒並み高いリセールバリューを記録したことは、やはり都心がもつ普遍的な価値がそう簡単に揺らぐことはないことを改めて証明しているかにも見えます。これが前例となり、今後コロナ禍を上回るような重大事態が起きない限り東京の都心エリアのリセールバリューが大きく下がることは考えにくいと考えるのが自然でしょう。

2020年のリセールバリューランキングから見られる傾向としていえるのは、やはり大きなターミナル駅や、オフィス集積地からの距離感です。いうまでもなく、その距離が近いとリセールバリューも上昇しやすくなります。

代官山は渋谷からほど近く、オフィス集積地である中目黒と挟まれるような立地条件にあります。それでいて代官山周辺は閑静な住宅街としても魅力もあるため、人気が集まりやすいのは当然のことといえます。

代官山と同様の条件を備えているエリアは他にもあるので、今後そういったエリアの人気が高まり、リセールバリューが向上してくる可能性は高いでしょう。すでに価格が高止まりしているエリアでは高い利回りは望めませんが、価格面で出遅れ感があるようなエリアを見つけることができれば、高い利回りによる収益性と同時に、今後に向けて資産目減りのリスクに強い不動産を保有することによる資産防衛も実現することができます。

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