人気上昇中の多拠点生活で「勝者」となる不動産投資の形とは

(画像=Rawpixel.com/stock.adobe.com)

「多拠点生活」という新しい価値観が、静かに広がりを見せています。働き方改革やコロナ禍などが、これまで出社することが大前提だった考え方を大きく変える契機となりました。そんななかで生活拠点を1か所に特定するのではなく、住む場所もそのときの事情や季節、気分によって変えてもよいのではないかというのが、多拠点生活の基本的な考え方です。

さまざまな分野で人気を集めるサブスクリプションですが、今や多拠点生活を希望する人のために賃貸住宅のサブスクリプションも登場しています。定額料金を支払うとそのサービス業者が提供している好きな住宅を好きなときに利用することができます。

こうした流れは若年層だけでなく幅広い属性の人たちに広がりを見せており、今後の不動産投資に影響を与える可能性もあります。そこで今回は不動産投資家の視点から、多拠点生活について知っておくべきことをまとめました。

人気が上昇中の多拠点生活とは?

多拠点生活は都会だけでなく田舎の自然豊かな環境など複数の場所に拠点を持ち、季節や気分によって滞在する場所を変える自由な考え方です。いわゆる放浪生活とは異なり、それぞれの拠点に一定のウェイトをおいて疑似的な「自宅」としているところが多拠点生活の大きな特徴です。

この概念はITワーカーなど働く場所にあまりこだわりがない業種では以前からありました。特定のオフィスだけでなく、カフェやコワーキングスペースなどを転々としながら仕事をする人のことは「ノマドワーカー」と呼ばれてきました。そんな概念が広く浸透する契機となったのが、テレワークの普及です。IT系以外にもテレワークが可能な業種が増えると、「必ずしも1つの拠点にこだわる必要がないのでは?」と考える人が多くなったのです。

多拠点生活を好む人の中には、定住をリスクだと考える人もいます。確かに1ヵ所での定住だとご近所トラブルや周辺環境の変化によって住みづらくなるリスクがあります。多拠点生活であればそういったしがらみとも無縁になります。住み方に対する価値観も、時代に合わせて多様化しているのです。

多拠点生活を好む人が感じているメリットとデメリット

多拠点生活を好む人、すでに実践している人にとってのメリットとデメリットを挙げてみましょう。

<多拠点生活のメリット>
花粉がひどくなる時期は花粉が少ないエリアで生活する、夏は北海道で冬は沖縄と過ごしやすいエリアに移動する、そういった人もいるようです。

・季節に応じて住みやすい場所を変えられる
・定住に伴うリスクから解放される
・自由を好む人のライフスタイルに適合している
・地方の物件は家賃が安く維持費を抑えられる


<多拠点生活のデメリット>
定額制で固定費は抑えられたとしても、新拠点が遠いほど移動費や荷物の輸送コストがかかってしまう場合があります。

・複数の拠点の維持費がかかるが滞在できるのは1ヵ所のみ
・コロナ禍の緊急事態宣言など県境をまたぐ移動が制限される可能性がある
・拠点間の移動に関する時間的、金銭的コストが別途かかる

これらのメリットとデメリットから見えてくるのは、やはり多拠点生活という理想を手に入れるためには相応のコストとリスクが伴うということです。それだけの負担をしても多拠点生活を手に入れたいと考えている人が増えているのは、不動産投資家としても知っておくべき大きな流れといえるでしょう。

多拠点生活の広がりが不動産投資にもたらす3つの影響

今後、多拠点生活がさらなる広がりを見せていくとなると、不動産投資にはどのような影響が考えられるのでしょうか。考えられる3つの影響を考察します。

1.地方物件の活性化

大都市圏への人口流入が続き、地方の人口減少が進んでいることは周知の事実です。それに伴って地方の空き家が増加し、不動産物件の利用価値が低くなってしまう懸念があります。そこにやってきた救世主のようなムーブメントが多拠点生活です。これまで長らく空き家状態になっていた過疎地の住宅に需要が生まれるなど、地方物件が活性化されることが考えられます。

2.利回りの高い投資が実現する

多拠点生活を好む人の多くはもともと都市圏在住者で、田舎の古民家など都会の生活では得られないような体験、空間を好む傾向があります。郊外の不便な立地にある物件は不動産投資のセオリーでは空室リスクが高いのですが、多拠点生活者から見ると価値の高い不動産にもなり得ます。

地方の不便な地域には、すでに利用価値が低いと見なされて格安のまま放置されているような物件が多数あります。こうした物件を多拠点生活者向けに再生することができれば、格安物件でありながら安定的な賃料収入を見込むことができます。

不動産投資の利回りは賃料収入を取得価格で割って求めるので、物件を安く取得できるこのビジネスモデルを確立することができれば、とても利回りの高い運用が可能になります。

3.賃貸市場が拡大する

多拠点生活を支えるサービスとして有望な住宅サブスクリプションは、広義では住宅の賃貸サービスです。住宅に限らずサブスクリプションを好む人たちの多くは“モノを所有する”ことに価値をあまり感じておらず、必要なときにだけ借りて効率よく利用するべきであると考えています。もちろんこれは、住宅も然りです。

持ち家派の人は本来、賃貸住宅の顧客候補にはなり得ませんが、今後多拠点生活をはじめとする住宅サブスクリプションの概念が浸透していくと、持ち家派の人もターゲットになり得るため賃貸市場そのものが拡大していく可能性があります。

サテライトオフィスの普及も多拠点化を後押しする

住宅サブスクリプションとは別の動きとして、企業のサテライトオフィスがあります。大都市にある企業の本社に全員が出社するのではなく、住んでいる場所やライフスタイルに合わせて近郊や遠隔地に小規模なオフィスを設け、そこに出勤すれば仕事をこなすことができるようにする仕組みのことです。衛星(サテライト)のように周辺を取り巻いていることから、サテライトオフィスと呼ばれています。

実はこのサテライトオフィスは、国も推奨している流れです。総務省は「おためしサテライトオフィス」という事業を運営し、サテライトオフィスを設置したい企業と人口減少や過疎化に悩む地方自治体をつなぐマッチングサービスを行っています。

企業にとって、本社だけではなく支社や支店を出すことは特に珍しいことではありませんが、支社や支店を展開する目的は営業活動の利便性など企業側の事情によるものです。それに対してサテライトオフィスは社員の希望や利便性、ライフスタイルに合わせて設置されるものです。こうした背景を考えると、サテライトオフィスは「企業による多拠点生活」ともいえます。

今後は地方にもチャンスがある!?

企業がサテライトオフィスの充実を図ることにより、地方物件の活性化はより進むでしょう。すでに地方に物件を所有している方や地方での不動産投資を検討している方にとって、多拠点生活の浸透と並んで企業によるサテライトオフィス設置の動きは、ともに追い風となる可能性があります。

地方での不動産投資については先行きへの不透明感ばかりが取りざたされてきた感がありますが、こうした動きもあることを知ったうえで、今後の展開に注目していきたいものです。

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