コロナ禍で不動産投資のエリア選びに変化?都心駅近VS郊外・近距離県・地方

(画像=Андрей Яланский/stock.adobe.com)

コロナ禍に伴い「東京都心から郊外・近距離県・地方への人の動きが活発になっている」とも言われています。今までは不動産投資のエリア選びと言えば人口が集中していて空室リスクの少ない東京都心、23区の駅近が安定的と言われてきました。しかし都心や東京から人が大量に流出している状況であれば今までの常識を変える必要があります。

本記事では、東京都や都心3区などの人口推移データをもとに今後の不動産投資動向について検証していきます。

コロナ後、郊外・近距離県・地方への移動がトレンドに

コロナ禍によって私たちの働き方や生活は一転しました。代表的な変化は以下のようなものです。

・都心の会社へ通勤せずにリモートワーク
・通勤中の密を避けるための時差出勤
・3密を避けるため東京から地方への移住
・ファミリー世帯の郊外や近距離県の戸建て人気
・リゾート地で休暇を楽しみながら働く“ワーケーション” など

2020年夏以降、顕著なのは都心オフィスの縮小や移転です。一例では、パソナグループが東京の大手町から兵庫県・淡路島への本社機能移転を発表して大きな話題となりました。また東京都から千葉県や神奈川県などに移り住む人もメディアでよく取り上げられています。このような世の中の流れを見ていると、東京から郊外・近距離県・地方への大移動が起こっているようにも感じられるでしょう。

実際に東京でどれくらいの規模で人の移動が起こっているのでしょうか。もし大規模な移動の場合は、今後の不動産投資のエリア選びに影響が出てくることも十分あります。

コロナ後、人口が増え続けてきた東京都が転出超過に

東京から郊外・近距離県・地方への移動が起こっている根拠としてしばしばメディアで取り上げられるのが「コロナ禍での東京都の転出超過」です。転出超過とは、他の地域から入ってくる人を他の地域へ出て行く人が上回る状態のことでこれが続くとそのエリアの人口は減少していきます。東京都では2020年5月(1,069人超過)と2020年7月(2,522人超過)に転出超過となりました。

2013年7月以降で最大の転出超過となっています。近年では考えられない東京の転出超過を受けて「一極集中してきた東京都の人口増加が止まった」「時代の転換点」などと焦燥感を覚える人もいるのではないでしょうか。一方で東京都の人口は、約1,398万人(2020年9月1日時点)もいるため、そのうちの1,000~2,000人程度が減っても「東京への一極集中という構図は変わらない」といった冷静な意見もあるかもしれません。

いずれにせよ、判断するにはもう少し詳しいデータが必要です。

都心3区の人口はコロナ前よりも増加している

東京から郊外・近距離県・地方への移動が本格化しているのであれば、密になりやすい都心の人口減少が顕著なはずです。まずは、都心の中心部と言われる都心3区(千代田区・中央区・港区)にフォーカスしてみましょう。千代田区の2020年1~10月の人口推移は以下の通りです。

・2020年1~10月における千代田区の人口

1日段階の人口1月との比較
1月6万5,942人
2月6万6,079人+137人
3月6万6,131人+189人
4月6万6,467人+525人
5月6万6,617人+675人
6月6万6,575人+633人
7月6万6,520人+578人
8月6万6,759人+817人
9月6万6,865人+923人
10月6万7,042人+1,100人

参照:千代田区公式サイト※外国人含む

2020年6~7月は一時的に人口が減少しているもののコロナ前の1月とコロナ後の10月の人口を比較すると、人口は1,100人増加しています。同じ都心3区の中央区、港区のコロナ前後の人口推移も確認してみましょう。

・2020年1月・10月における中央区の人口

年月人口1月との比較
2020年1月16万8,361人
2020年10月17万123人+1,762人

参照:中央区公式サイト※外国人含む

・2020年1月・10月における港区の人口

年月人口1月との比較
2020年1月26万379人
2020年10月25万9,893人-486人

参照:港区公式サイト※外国人含む

3区合わせた2020年1月と10月の人口比較は2,376人の増加です。港区こそ人口は減っているものの他の2区は1,000人以上の人口増加となっています。

東京都全体で見ると、コロナ前よりも人口が約3万人増加

東京都のなかでも超一等地と言われる都心3区以外の人口はどのように推移しているでしょうか。副都心の代表、渋谷区の人口を確認してみましょう。

2020年1月・10月における渋谷区の人口

年月人口1月との比較
2020年1月22万9,671人
2020年10月23万898人+1,227人

参照:渋谷区公式サイト

渋谷区も2020年1月と10月を比較すると1,227人増加しています。では、視点を東京都全体に広げてみるとどのように推移しているでしょうか。東京都が毎月発表している2020年1~9月の人口推移は以下の通りです。

・東京都

1日段階の人口1月との比較
1月1,395万1,636人
2月1,395万3,577人+1,941人
3月1,395万1,791人+155人
4月1,398万2,622人+3万986人
5月1,400万2,973人+5万1,337人
6月1,399万9,568人+4万7,932人
7月1,399万9,624人+4万7,988人
8月1,399万3,721人+4万2,085人
9月1,398万1,782人+3万146人

参照:東京都の統計

東京都全体で見てもコロナ前の1月とコロナ後の9月を比較すると人口は約3万人増加しています。気になる点があるとすれば2020年5月をピークに人口減少傾向にあることでしょうか。ただ1,400万人という母数を考えると「大勢に影響がない範囲内」とも言えるでしょう。ここまでの内容をまとめると以下のようになります。

コロナ前(2020年1月)とコロナ後(9月・10月)の人口を比較した結果分かったこと
・都心3区の人口は港区を除いて増加傾向
・副都心の渋谷の人口は増加傾向
・東京都全体の人口は増加傾向(ただし5月をピークに微減)

このように東京都心や東京都の強さが顕著です。新型コロナ感染拡大という危機にあっても人口が安定していることは投資エリアとしての東京の信頼感を強めたと言えるでしょう。

単身狙いなら都心駅近、ファミリー狙いなら近距離県や郊外も

ここまで見てきたデータで東京都はコロナ禍でも人口が安定している(=入居者ニーズがある)ことは確認できました。一方、千葉県や神奈川県など近距離県に勢いがあるのも事実です。不動産サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーの調査によると、神奈川県の中古戸建て検索数が急増しています。

自治体名2020年7月の閲覧数の伸び(2020年1月対比)
葉山町2.1倍
逗子市1.7倍
鎌倉市1.5倍
相模原市南区1.5倍
二宮町1.4倍
横浜市金沢区1.4倍

一方東京都は、人口が安定しているとはいえコロナ以前から人口の伸び率が低下しているのも気になるところです。安定している東京都よりも勢いのある近距離県や郊外へ投資する選択は考えられないでしょうか。これについては、入居者のターゲット設定によって異なるでしょう。郊外や近距離圏の物件は多くがファミリー向けです。

ファミリー層を狙って不動産投資をしたい場合は、投資エリアを近距離県や郊外に選択することもありかもしれません。一方、単身世帯(独身者)狙いであれば東京都心や東京23区の駅近マンションが無難です。車の保有率の低い単身世帯は、やはり都心の駅近が便利でしょう。これはコロナ禍であっても変わりません。

特にサラリーマンであればリモートワークがいくら浸透しても人と直接会う機会がゼロになるわけではありません。移動時間や効率性を重視するために「利便性の高い駅近立地を選ぶ人が主流」という事実は変わらないでしょう。

・都心駅近ワンルームと近距離県ファミリー物件の比較

項目都心の駅近ワンルーム近距離県ファミリー向け物件
世帯数の推移今後、単身世帯が拡大今後、ファミリー世帯が縮小
出口戦略比較的売却しやすい売却しにくい
メリット初期費用を抑えやすい入居期間が長い傾向
デメリット利回りが低い傾向修繕コストがかかる

両者を比較するとファミリー向け賃貸物件にも「入居期間が長い傾向」といった妙味はありますが、難易度が高いのでプロの大家向けです。将来の老後資金づくりを目的に資産形成を進めていきたいサラリーマン大家は、今まで通りリスクのない都心ワンルームがセオリーと言えるでしょう。投資においては、その時々の雰囲気に流されず本質をしっかりと見極めていくことも大切です。

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