都心の区分マンションと地方の一棟アパートどっちがいい?

(画像=sasinparaksa/stock.adobe.com)

都心の区分マンションは、中古であれば比較的手頃な物件もあるため、関心を持っている人も多いかもしれません。一方で地方の1棟アパートは、高い利回りが気になる存在ではないでしょうか。これらにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特に初心者の場合は慎重に検討していきましょう。

都心の区分マンションのメリット

都心の区分マンションの主なメリットは、以下のとおりです。

  1. 入居者が集まりやすい
  2. 資産価値が下がりにくい
  3. 専有部分以外の管理が不要

都心の区分マンションは、投資物件としては比較的手頃なものも多いため人気があります。まずは、そのメリットを確認していきましょう。

メリット1:入居者が集まりやすい

都心は地方と比べると圧倒的に人口が多く、企業や商業施設など働く場所も集中しているため賃貸需要が非常に高いと言えます。不動産評価などの情報提供を行う株式会社タスが発表した2020年8月の「賃貸住宅市場レポート」によると、東京都全域の賃貸住宅空室率は2020年6月が13.35ポイント、1年前の2019年6月は13.09ポイントとなっています。前年と比べてあまり下がっていないことからも堅調な賃貸需要がうかがえます。入居者集めは地方アパートより容易で、立地さえ間違えなければ、古めの物件でも長期間の空室にはなりにくいでしょう。

複数の部屋があるアパートと違い、区分マンションは空室になると収入が途絶えるというデメリットがあります。しかし、都心に限ればそのデメリットはあまりないと考えていいでしょう。

メリット2:資産価値が下がりにくい

都心の区分マンションは、立地がよほど悪い場合を除いて資産価値が下がりにくく、売却価格と購入価格の差が小さいといえます。マンションはもともと立地重視で建てられるケースが多いため、大きな環境の変化がなければ価格は下がりにくいのです。

不動産に関するデータサービスを提供する東京カンテイの記事(2020年8月24日付)によると、2020年7月の東京都の中古マンション価格は前月比+0.9%となっています。企業にとってはコロナの影響が続く中でも、中古マンションの価格は下がりにくいことがわかるでしょう。

またマンションは鉄筋コンクリート造なので、耐用年数が木造に比べて非常に長くなっています。そのため築年数が経過しても木造が中心の1棟アパートに比べて評価が落ちにくく、売却時に買主側が融資を受けやすいというメリットもあります。

これらは、物件の出口戦略を考える際に有利になるメリットといえるでしょう。

メリット3:専有部分以外の管理が不要

区分マンションでは、共用部の修繕や清掃といった専有部分以外の維持管理は管理会社が行うため、オーナーが行うことはほぼありません。副業で不動産投資を行う人や、まだ物件運営に慣れていない初心者にとっては、ほぼ手がかからない点で大きなメリットといえるのではないでしょうか。

もちろん1棟アパートでも管理会社に任せることはできますが、継続して管理費がかかるため利回りを下げることになります。本業があるなど不動産投資をするための時間的余裕がそれほどない場合、区分マンションを選ぶケースが多いのはそのためです。

都心の区分マンションのデメリット

都心の区分マンションの主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 空室時は家賃収入が発生しない
  • 1棟アパートに比べて利回りが低い

「都心の区分マンションは初心者に向いている」と言われますが、まだ経験の浅い人こそデメリットをしっかりと把握しておきましょう。

デメリット1:空室時は家賃収入が発生しない

区分マンションは1室を所有するため、その物件が空室になれば家賃収入は発生しません。これは、複数の部屋があるため多少空室が発生しても収入が発生する1棟アパートとの大きな違いです。区分マンションは空室にしないことが絶対条件であり、そのためにも需要の多い都心を選ぶことが大切なのです。

デメリット2:1棟アパートに比べて利回りが低い

地方の1棟アパートに比べると、都心の区分マンションのほうが利回りは低いです。物件価格は区分マンションのほうが手頃ですが、家賃は1室分なので、複数の部屋から家賃を得られる1棟アパートよりも利回りが低くなります。

都心の区分マンションの利回りは低いですが、空室が発生するリスクは地方に比べて少ないため、堅実な投資先といえそうです。

地方の1棟アパートのメリット

地方の1棟アパートの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 区分マンションに比べて利回りが高い
  • 修繕や改装を自己判断で行える

区分マンションほどではありませんが、地方の1棟アパートは価格の低いものもあるので、気になる人もいるでしょう。実際に地方の1棟アパートを投資物件として見た場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1:区分マンションに比べて利回りが高い

地方の1棟アパートは、利回りの高い物件が比較的多い傾向です。投資物件を紹介するサイトを見ると8%前後のものが多く、中には10%を超えるものもあります。これは、部屋数が1棟で4~6部屋と多いため、地方で多少家賃が安いとしても、合計すればそれなりの家賃収入が得られるためです。

都心の区分マンションは物件にもよりますが、5〜6%のものが多くなっています。手を出しやすい2,000万円を切るような物件だとしても、1部屋のみの家賃なので利回りは低くなります。高い利回りは、1棟アパートの大きなメリットといえるでしょう。

メリット2:修繕や改装を自己判断で行える

1棟アパートはすべて自分で運営するため、修繕の箇所や時期、費用なども自由に決められます。内装や外装、設備をグレードアップし、入居者にアピールすることもできます。ただし、すべて自分で決められるということは、建物に問題が発生したときはすべて自己責任になることを意味します。

区分マンションでは、修繕費用を毎月の修繕積立金として支払います。工事時期や内容はあらかじめ決められているため、区分所有者の考えで変えることはできません。内装はある程度所有者が変えられますが、制約があってあまり自由にできない物件もあります。

地方の1棟アパートのデメリット

地方の1棟アパートの主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 地方は空室リスクが高い
  • 十分な融資を受けるのが難しい
  • 維持管理に手間と費用がかかる

投資物件情報では新築の広告も目にすることがあり、活況にも見える1棟アパートですが、どのようなデメリットがあるのかしっかり把握しておきましょう。

デメリット1:地方は空室リスクが高い

地域差はあるものの、地方では賃貸需要が都心ほど高くなく、特に築年数が経つと空室が発生しやすくなります。高い利回りも満室を前提としたものが一般的で、都市部以外で実際に満室の物件は、築浅かつ周囲に大きな工場などがあるといった条件の良い物件です。近年は大手企業の工場でも撤退する可能性があり、決して需要が安定しているわけではありません。

1棟アパートに限りませんが、地方の賃貸物件は人口の減少や地域経済の見通しなどをリサーチし、空室リスクを十分に検討してから購入するとよいでしょう。

デメリット2:十分な融資を受けるのが難しい

地方の1棟アパートは土地の評価額が低く、十分な融資を受けにくい傾向があります。建物は築年数が経った中古物件だとほぼ評価がつかず、土地の評価額を基準に融資判断されるからです。都心のアパートであれば土地の評価で融資が見込めますが、地方でしかも中古アパートとなると、多くの融資は期待できません。

まして2018年に起きた不正融資事件以降、融資審査は厳しくなっており、初心者の場合はなおさら多額の融資を受けることは難しいでしょう。資金面で考えると地方の1棟アパートは、十分な手元資金を用意できる人に向いている投資先だといえるでしょう。

デメリット3:維持管理に手間と費用がかかる

1棟アパートは、建物全体をオーナーが維持・管理するとなると、かなりの手間と費用がかかります。共用部の清掃や修繕は意外に時間がかかるため、本業がある場合は難しいかもしれません。また、こまごまとした修理の費用はその都度手持ち金から支払うことになるため、ある程度の資金も必要です。

1棟アパートでも管理会社にすべて任せることはできますが、毎月管理費がかかるため高利回りのメリットが薄まってしまいます。区分マンションであれば、月々の管理費と修繕積立金を支払えば、オーナーに手間や費用がかかることはほぼありません。1棟アパートの維持・管理に手間と費用がかかることは、不動産投資初心者や副業として考えている人には大きな負担になるでしょう。

初心者や副業での不動産投資なら都心の区分マンションを検討してみよう

総合的に判断すると、都心の区分マンションは利回りが低いものの堅実な需要があり、価格も手頃であるため、初心者や副業で考えている人に向いている選択肢といえそうです。

地方の1棟アパートは価格が高めですが家賃収入は多く、高い利回りが期待できます。ただし融資が厳格化している現在は、豊富な資金が手元にあることも条件となるかもしれません。需要をしっかり見極められる情報収集力と経験も必要になってくるでしょう。

リスクを抑えつつ長期的に確実なリターンを得たいなら都心の区分マンション、資金力と経験を生かしてハイリターンを狙うなら地方の1棟アパートという選択が考えられるのではないでしょうか。

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