空き家と空室は違う「空き家が増えているから不動産投資は怖い」は勘違い

(写真=Peshkova/Shutterstock.com)

「日本の空き家が急増している」という報道を見て、不動産投資の空室リスクを警戒する方もいるのではないでしょうか。しかし実際には、国内の賃貸物件の平均入居率(稼働率)はかなり高い状況です。「空き家」と「空室」は一見すると同じように見えますが、実は違います。本稿では、空き家が増えても“空室率が増えない謎”について解説します。

データで見る平均入居率は 首都圏95%、全国93%

日本賃貸住宅管理協会が153社の管理会社を対象に行った調査によれば(※1)、首都圏の賃貸物件の入居率は95.5%。人口減少がはじまっている地方を含めた全国で見ても93.2%と高稼働率をキープしています。
※1 第21回日管協短観2018年4〜9月の入居率

この結果は、不動産業界の有力団体のものだけに信頼性が高いといえるでしょう。賃貸ニーズの高い東京都心になれば、さらなる高稼働率が期待できます。たとえば、都心のマンションを得意とする管理会社の入居率を見ると、98%以上の稼働率も目立ちます。

これに対して、総務省の調査によれば(※2)、総住宅に占める空き家率は 13.6 %(846万戸)と過去最高。この空き家のうち半分(50.9%)を共同住宅 、つまりマンションやアパートなどが占めています。
※2 総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」

このように空き家増加は深刻な社会問題になっています。それにも関わらず、管理会社ベースでは入居率が9割超なのは「空き家」と「空室」とではそもそも意味が違うからです。

空き家とは、経営する気のない、ほったらかしの住宅を指す

空き家と空室の定義の違いを確認してみましょう。両者に厳密な定義はありませんが、入居率ベースで考えた場合、以下のような違いがあると考えられます。

  • 空室の共同住宅……オーナーに入居者を獲得したいという意思があり、宣伝や修繕など何らかの施策を行っている物件
  • 空き家の共同住宅……オーナーに経営をする気がなく、ほったらかしの状態

NPO法人空家・空地管理センターによれば、空き家の定義とは「人が住まなくなって1年以上経過した住宅」であり、マンション・アパートなどの共同住宅は、全室が空き室にならないと空き家にならないと解説しています。

つまり、不動産投資の空室率と空き家率はまったくの別モノということです。もし、空室率の推移を気にするのであれば、冒頭で参考にした日本賃貸住宅管理協会のデータを参考にするとよいでしょう。

空き家になっている共同住宅は特殊な問題を抱えている

ひとつ気になるのは、アパートやマンションを所有していても、ほったらかしにして放置している人が多い点です。なぜ、せっかく所有している不動産を活用しないのでしょうか。これについてはケースバイケースですが、たとえば、下記のような理由が考えられます。

  • 管理を永年怠ったために建物が廃墟化している
  • 賃貸住宅を相続したものの、ノウハウがなく運用できない
  • 売却したいが築古物件なので難しい
  • 工場や大学キャンパスの撤退で賃貸ニーズがなくなった など

空き家として放置されている共同住宅の背景には、このように特殊な理由があります。いずれにしても、利便性の高い立地にあり、しっかり管理している賃貸物件の空室リスクは限定的です。「空き家が増加しているから不動産投資は危険」と勘違いして、本来得られるはずのリターンを逃さないよう注意したいものです。

空室リスク回避を優先的に考えるなら東京圏の不動産

日本では人口減少が本格化しているため今後、空室率が上昇してくる可能性は高いです。空室リスク回避を優先的に考えて収益物件を購入するなら、東京圏の不動産にするのが賢明でしょう。

冒頭で述べた通り、首都圏の賃貸物件の入居率は95.5%と高い水準です。中でも東京圏の利便性の高いエリアのマンション入居率は安定しています。不動産投資をしようと考える方は、この現実をしっかり見据えつつ、空室リスクが限定的な収益物件を選択するのがベターです。

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