
「ヴィンテージ(Vintage)」は、直訳すれば「年代物」という意味です。当たり年に生産されたワインは、醸造から年月を経るほどに独特の味わいが出て、それが評価されて価値が高まるため「ヴィンテージワイン」と呼ばれるようになったそうです。
もとはワイン用語として使われていたわけですが、それが年代を経て価値が高まるものの総称として広がり、家具や骨董のほかマンションにも使われるようになりました。マンションの場合は、建設から20年、30年と長い年月を経ても価値を失うどころかむしろ評価が高まり、いまなお高い人気を得ている希少性の高いマンションを指すと言っていいでしょう。
ヴィンテージマンションの定義とは
不動産に関する民間の調査機関である東京カンテイでは、首都圏のヴィンテージマンションについて次のような定義を行っています。
・少なくとも建築後10年が経過していること
・もっぱら住宅地(用途地域における住居用地域または近隣商業地域)にあること
・物件の平均専有面積が100平方メートル前後であること(少なくとも90平方メートル以上であること)
・物件から発生する中古流通事例の90%以上が坪(3.3平方メートル)300万円以上であること
ヴィンテージマンションは一にも二にもまず立地
坪(3.3平方メートル)300万円以上ということは、100平方メートル≒30坪のマンションだと9,000万円以上ということになります。ヴィンテージマンションでは億ションは当たり前です。
こうした条件に当てはまるヴィンテージマンションのほとんどは都心にあります。なかでも多いのが3Aと呼ばれる赤坂、青山、麻布エリアのほか、六本木、広尾、白金といった高級住宅地のある港区、次いで松濤、南平台、代官山などがある渋谷区で、この2区で東京のヴィンテージマンションの6割近くを占めています。
ヴィンテージマンションの条件としては、面積などの条件のほかに何よりも立地が重要だということです。現実に住めるかどうかは別として、誰もが一度は住んでみたいと思う人気住宅地にあるからこそステータスなのです。逆にいえば、簡単に住める場所ではないからこそ価値が高い、とも言えるでしょう。
実際、港区広尾にある総戸数が1,000戸を超える大規模マンションは、建築後30年以上が経過した現在でも高い人気を誇り、分譲時価格を上回る価格で取引されています。大規模物件ばかりとは限りません。50戸前後の比較的規模の小さなマンションでもヴィンテージマンションは少なくありません。大手不動産会社が分譲した物件が多いのですが、なかでも大手不動産会社の最上級ブランドである「パークマンション」「ザ・パークハウス グラン」「グランドヒルズ」などの名称を冠したマンションが目立ちます。
ヴィンテージマンションだからこその管理の充実
ヴィンテージマンションのもう一つの特徴が管理の充実です。戸数が少なくてもコンシェルジュサービスなどの管理が充実していますが、管理費・修繕積立金に駐車場料金などを合わせると月額10万円以上になることも珍しくありません。
それを負担できるアッパークラスの人たちが住むので、住んでいる人たちのレベルが高く、管理規約の遵守など居住マナーに優れ、マンションを自分たちの財産として大切に扱う傾向が強いと言われています。また、社会的な地位の高い人たちが多く、マンション内での交流がビジネス上の人脈構築にもつながるなどの副次的効果もあります。一種の社交界が形成されているわけです。
建築後の経過年数が長くなると、建物・所有者双方の高齢化が進んで維持管理が難しくなる物件が多いのですが、富裕層が多いヴィンテージマンションなら心配不要です。このような長い目で見た場合の安心感が今後は重要なポイントになってくるかもしれません。
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