民泊は不動産投資に合うのか?忘れてはいけない法律とリスク

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(写真=PIXTA)

不動産投資の中でも、民泊運営に興味を持っている人もいるでしょう。一般的な不動産投資より手軽に稼げるとも言われる民泊ですが、物件運営と組み合わるなどしてうまく事業展開できるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。今回は、民泊に潜むリスクと民泊新法について解説します。

「楽に儲かる」の実態とは?民泊運営のリスク

民泊運営は、一般的な不動産投資よりも「楽に儲かる」として人気を集めました。確かに、金銭面や手続き面で民泊には2つのメリットがあります。

まず、手軽に始められるという点です。売り手や買い手だけではなく、不動産会社や税理士・弁護士、行政などと書類のやり取りを行う不動産投資に対し、民泊運営は法的にグレーゾーンで、特別な手続きをせずとも運営開始が可能という実態がありました。

また、不動産投資最大のリスクである空室対策になるとされています。一部屋単位で運営できるので、一時的に空室になってしまった部屋を効率的に稼働させられるのです。結果として、収益率が高まりやすいとされました。特に、所有物件で民泊を運営する場合は、間接経費を省くことも可能です。加えて観光面のコンサルティングなど周縁サービスを引き受ければ、さらなる高収益も狙えたわけです。

しかしながら、民泊運営には大きなリスクがあります。その最大のものが、近隣からの苦情リスクです。特に訪日外国人が宿泊した場合は、夜中まで部屋や近隣で大騒ぎしたりゴミをまき散らしたりと、迷惑になる可能性があります。国の生活習慣の違いにより、水漏れや水詰まりなどを起こすようなトラブルも報告されています。中には、犯罪やトラブルにつながったケースも散見されます。

さらに、悪質な宿泊客によって家具や電化製品の破壊や窃盗などの被害を受けるリスクもあります。宿泊客の素性を事前にスクリーニングすることが困難なため、どのような人物や団体が泊まりに来るか分からないわけです。

民泊新法によるルールの明確化

民泊に対するニーズが高まる一方で、安全性や近隣トラブルなどのリスクが社会問題化したこともあり、2017年にいわゆる「民泊新法(正式には住宅宿泊事業法)」が成立しました。一定のルールの下で、民泊サービスの健全な成長が期待されています。

この民泊新法によって、これまでグレーなところもあった民泊のルールが明確化されました。たとえば、営業は年間180日以内(しかも自治体の条例でさらなる短縮も)と定められたほか、家主や管理者のみならず、エアビーアンドビー(Airbnb)のような民泊マッチングサイトまで登録が義務づけられました。部屋が空いたから、という理由でスポット的に民泊を行うことは難しくなっています。個人が軽い気持ちで民泊を運営しにくくなっていることは確かです。

一方で、これまで一部の特区でしか展開できなかった民泊を、都道府県知事に届出を出せば全国的に展開できるようになったことから、ある意味では規制緩和とみなすこともできるでしょう。新たな不動産投資のチャンスが拡大したとも考えられます。訪日客が特に増える桜の季節や紅葉の季節、クリスマス前後などのシーズンだけ民泊として運用し、需要の低い時期は家具付き賃貸やレンタルスペースとして活用するなど、民泊以外の手段も交えた運営が可能です。ただし、ウィークリーではなくマンスリーでの活用が必要です。

民泊新法には、罰則規定も設けられています。たとえば、住宅宿泊管理業を営む人は国土交通大臣の登録を受けなければいけない決まりになっています(第22条)。これに違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられると明記されているのです(第72条)。

法的リスクの回避なら一般的な不動産投資

以上を踏まえると、本格的に事業として民泊運営に乗り出すならまだしも、軽い気持ちで空室を民泊として貸し出すのは避けた方が無難でしょう。民泊新法を読み込んで、弁護士などに自らの事業の適法性を確認した上で運営を開始するのは、なかなか個人レベルではハードルが高いと言わざるを得ません。文化も習慣も異なる外国人を宿泊させることによるトラブルへの対応も、個人レベルでは難しいのではないでしょうか。

以上を踏まえると、一般的な不動産投資に注力するのが個人投資家には適していると考えられます。法的な枠組みや業界の仕組みがすでに整備されているため、よほどのことがなければ法を知らぬ間に犯す危険性はありません。法的・社会的に問題のない形で資産を築いた経験者=前例がたくさんいるので、多くの事例を参考に行動を進められるのも強みです。まずは、不動産投資の勉強や行動を開始するがよいでしょう。

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