どちらを選ぶべき?ロボアドバイザーサービスとラップ口座

(画像=monster-ztudio/stock.adobe.com)

運用初心者においては、自身の運用方法や資産管理について何らかのアドバイスやフォローがあると非常に心強いものです。そのようなニーズに応えるサービスとして、ロボアドバイザーやラップ口座(金融機関に投資を任せるサービス)があります。利用の際には両者のサービスの内容や特徴をしっかりと理解し、自分に合ったサービスを活用するようにしましょう。

ロボアドバイザーとは?

ロボアドバイザーは別名「ロボアド・サービス」で、インターネットを通して簡単な質問に答えることで、自動的に自分に合った運用方法を提案してくれるサービスのことです。特徴は、資産運用でわからないことの解決方法を教えてくれたり、AIを活用して自分に最適な運用方法を提供してくれたりすることです。

パソコン・スマートフォンに対応し、場所や時間を問わず手軽にサービスを利用できることもメリットの一つです。金融機関の窓口に行く時間がなく、ネット操作に慣れている若い現役世代にとっては非常に魅力的なサービスといえるでしょう。

このサービスが日本で利用されるようになったのは2014年ですが、急速にサービスが拡がったのは2016年以降で、まだまだ新しいサービスです。現在ではロボアド・サービス専業の会社で大手といわれる「ウェルスナビ」やドコモが提供している「THEO+(テオプラス)」以外にも、楽天証券の「楽ラップ」や松井証券が提供している「投信工房」など一部の銀行や証券会社などでも提供しています。

アドバイス型と投資一任型

ロボアド・サービスを利用する際には、最初にインターネットを通して、年齢や年収、現在の貯蓄残高、毎月の積立額、さらに運用目的といった簡単な質問に答える必要があります。具体的な質問内容は以下のようなものです。

・「現在何歳ですか?」
・「年収および金融資産はいくらですか?」
・「毎月の積立額はいくらに設定しますか?」
など

これらをAIが分析し、属性やリスク許容度に基づいた、その人に最適な運用方法が掲示されます。

ロボアド・サービスには、資産配分割合などの助言だけをしてくれる「アドバイス型」と、実際の運用まで全て任せることができる「投資一任型」の2つのタイプが存在します。

・アドバイス型の特徴
アドバイス型では、資産配分とともに、具体的な運用手段としてインデックスファンドやバランス型の投資信託などが掲示されます。アドバイスの内容を見るだけであれば、手数料がかからないのが特徴です。アドバイス型のため、投資信託の実際の購入手続きは自分で行う必要があります。

・投資一任型の特徴
投資一任型の運用は、一般的に上場投資信託(ETF)やインデックスファンドを使った運用が行われています。アドバイス型と異なり、投資信託の商品の購入やリバランスについても全て任せることから、利用の際には運用資金を入金するだけで済むところがメリットとなっています。

最低投資金額については、ロボアド・サービス専門会社や金融機関によって異なりますが、1万円~10万円程度です。このように少額で利用できるところもメリットと言えるのではないでしょうか。ちなみに投資一任型の手数料については、預かり資産残高に対して年1%程度と設定されているケースが多いことも覚えておきましょう。

ロボアド・サービスの賢い使い方

ロボアド・サービス専門会社や金融機関が増えているのは上に述べたとおりですが、同サービスの結果が全て同じになるわけではありません。それぞれで属性の設定や使用するAIデータが異なることから、利用の際には複数の提案結果を比較することが大切です。そして、自分が一番納得できる資産配分であり、かつ運用内容についても違和感が少ないものを選ぶようにするとよいでしょう。

また、現状のロボアド・サービスでは、リスク資産(海外のETFなど)での運用内容を提案することが基本となっていることから、それとは別に安全資産(国内債券)をどのくらい用意し、どのように運用していくかについては自分で決める必要があります。また、リスク資産においても全て提案どおりに運用せず、一部の提案だけを取り入れてしまうと、必ずしも最適な運用結果にならない可能性もあります。

ロボアド・サービスを利用する際には、まずは複数社で比較を行い、その結果を自分が納得できるまで専門知識のある人に相談することが大切です。つまり全てをロボアドバイザーに任せるのではなく、人間とロボアドバイザーを上手に組み合わせて活用していくスタイルが今後は必要となってくるといえます。

ラップ口座とは?

ラップ口座のラップは「wrap」、つまり「包む」という意味であり、ラップ口座とは銀行や証券会社などと投資一任契約を結ぶことで受けることができるサービスです。ここでいう投資一任契約とは、銀行や証券会社などの投資運用業者に対して投資判断の一部もしくは全部を任せ、投資運用業者の判断に基づいた投資を行う権限を委託するものです。この契約を結ぶことにより、口座に預けている資金の管理、運用、売買、投資アドバイスなど包括的なサービスを受けることができます。

ラップ口座は、最低投資金額が少ない代わりに運用対象となる商品が口座専用のファンドに限定され、複数の商品を組み合わせて運用する「ファンドラップ」と、債券や株式のほか投資信託などさまざまな商品に投資することができる代わりに最低投資金額が大きい、いわゆる富裕層向けの「SMA」の2つに分けられています。

ラップ口座利用の流れと利用状況

ラップ口座を利用する際には、まず金融機関と面談し、投資目的や投資期間、リスク許容度を把握する必要があります。そのあと、金融機関から自分に合った投資戦略およびポートフォリオなどが提案され、その内容に納得すれば投資一任契約を結びます。契約締結後は、その契約内容に基づいて金融機関が運用する流れになります。

一般社団法人日本投資顧問業協会が2020年9月に発表している「統計資料」内のラップ業務に関する資料を見ると、2020年6月時点の投資⼀任契約におけるラップ⼝座の契約件数は110万件を超え、契約金額も9兆7,000億円を超えるなど、年々増加傾向にあることがうかがえます。

<ラップ業務の契約件数と契約金額の推移>

  契約件数 契約金額(億円)
2011年3月 43,509 5,890
2012年3月 42,467 5,799
2013年3月 51,758 7,689
2014年3月 105,706 13,760
2015年3月 307,346 38,973
2016年3月 482,217 57,776
2017年3月 564,622 65,702
2018年3月 716,614 79,843
2019年3月 868,092 88,272
2020年3月 1,027,345 87,774
2020年6月 1,108,661 97,780

参照:一般社団法人日本投資顧問業協会「統計資料」

ラップ口座の魅力とは?

ラップ口座の魅力は、なんといってもお金を預けた後は「運用に関する業務をプロに一任できる」ことでしょう。どの商品を選べばいいのかわからない、そもそも資産運用にかける時間がないという方には非常に魅力的なサービスといえます。

多様化するサービス内容

最近では、ラップ口座においても手数料などのコストを削減するために、ロボアドバイザーを利用して1,000円程度で上場投資信託(ETF)に投資できる商品も出てきています。さらには、事業承継型ラップといわれる相続機能のあるファンドラップやSMAなども登場しています。

例えば、野村証券には以下の3種類のラップ口座があります。

  最低投資金額 概要
野村ファンドラップ 500万円 アクティブ運用もしくはインデックス運用の2つのプログラムから自身の好みの運用方法を提案してもらえるサービス
野村SMA
(エグゼクティブ・ラップ)
3,000万円 より高度で幅広い知識を持つ金融のプロによる充実したサポートを受けることができるサービス
ラップ信託
(遺言代用信託)
3,000万円 野村SMAで運用しながら、万一のときにあらかじめ指定された相続人等にそのまま運用を引き継いでもらえるサービス

事業承継型ラップの特徴は、相続が発生するとファンドラップが現金化され受取人の口座に振り込まれる仕組みになっている点です。受取人については複数人の指定も可能です。現金化し、直接相続人の口座に振り込まれることで、いわゆる「争族」が起こりにくいというメリットがあります。現金化せずに運用商品のまま相続できるタイプのファンドラップもあることから、今後においてもさまざまな特徴を持ったラップ口座が登場することが予想されます。

ロボアドバイザーとラップ口座の違い

投資一任型のロボアド・サービスはラップ口座とサービス内容が似ていますが、ロボアド・サービスはインターネットを通しての取引となることから、ラップ口座よりも低コストで利用でき、さらに最低投資金額についてもラップ口座に比べると大幅に小さいという特徴があります。

また、ロボアドバイザーにおいてはインターネットを利用することが原則となりますので、インターネットの利用に慣れていない人には使いにくいというデメリットがあることも理解しておきましょう。

利用の際の留意点とは

ロボアドバイザー、ラップ口座の両方に共通するデメリットは「手数料がかかる」ということです。特にファンドラップの場合であれば、預けている資産に対して一定の料率の手数料がかかる固定報酬型といわれるものと、成功報酬によって手数料が異なる成功報酬型、さらにはその両方を組み入れた手数料体系の金融機関も存在します。総コストを考えると3%程度になる金融機関もあることから、手数料については事前に確認しておくことが大切です。

<信託報酬を含む手数料>
・ラップ口座:3〜4%程度
・ロボアドバイザー:0.3〜1%程度

ロボアドバイザー、ラップ口座のサービスの利用は今後も増えていくことが予想されます。ただし、運用をAIもしくは専門知識のある人に任せるとはいえ、金融情勢次第では損失が出る可能性があります。損失は、サービスを利用した自分の責任であるということを事前に納得しておく必要があります。

利用の際にはそれぞれのサービスの内容や手順、手数料が発生する仕組みを十分に理解し、さらには複数のサービスを比較検討することを忘れないようにしましょう。運用は自己責任であることを理解し、最終的には自分の判断で運用ができる域に達することを目標にしながら、これらのサポートサービスを上手に活用するようにしてください。

【オススメ記事】
今イケてるカフェは「喫茶室ルノアール」 イメージ脱却を遂げるその戦略とは
過去最高を更新し続けるディズニーランド対USJ 次の一手は何か
Googleやゴールドマンサックスなどの先進企業も取り入れているマインドフルネスとは
出世する社員は自ら変化を作り出す チェンジリーダーのスキルとは
日本は国際的にみて相対的に貧困化している?