西の渋谷と東の日本橋 ベンチャー企業のランドマークとなるのはどちら

(写真=Byjeng/Shutterstock.com)

1990年代後半、ITムーブメントの拠点「ビットバレー」ともてはやされた渋谷には、今でもサイバーエージェントをはじめ、都内最多のIT企業(588社)が集積しています。しかし、これまで渋谷はオフィスビルを含めた都市インフラが十分に整備されてきませんでした。そんな渋谷が、東急グループ主導の大規模な再開発で生まれ変わろうとしています。

一方で日本橋は、三井不動産が中心となって日本橋の再開発を主導、バイオ・ヘルスケア系先進企業を呼び込みます。

この戦いの結果は周辺地価に大きく影響することもあって、個人不動産投資家の関心を集めています。

活況が続く都市再開発

1969年に制定された「都市開発法」は、今年で50周年を迎えます。これまでの再開発事案の総床面積は、80万ヘクタールを超えます。それでも再開発の勢いはとどまることを知らず、三大都市圏だけでなく札幌・仙台・福岡といった地方都市でも再開発が活況を呈しています。

中でも東京は国際競争力強化の拠点として、約2,700ヘクタールが特定都市緊急再生整備地域に指定され、東京駅周辺エリア大改造(有楽町・大手町・丸の内)や八重洲・京橋・日本橋エリア開発、都有地を活用した渋谷都市再生ステップアッププロジェクトなど多くのビッグプロジェクトが進められています。

一時懸念された大量供給によるオフィス空室も、結果的には杞憂に終わりそうです。業績好調の波に乗った増床ブームやインバウンドの影響によるオフィス需要は旺盛で、特に新築の大型オフィスビルはたちまち満床になるといいます。

グーグル移転で活気づく渋谷

「オフィスビルが少ない」ことは、渋谷がずっと抱えてきたボトルネックです。LINEが新宿ミライタワーに移ったのも、渋谷では増床が難しかったことが理由と言われています。加えて家賃高騰もあり、多くのスタートアップ企業が五反田に移っていきました。そんな状況が、東急グループの推進する再開発によって変わりつつあります。

2018年から2019年にかけて、渋谷ではアベマタワーズ(地上21階)、渋谷ストリーム(地上35階)、渋谷スクランブル・スクエア(地上47階)と大型ビルの開発が相次ぎます。

再開発によって渋谷駅構内の動線は大幅に改善し、「ダンジョン」と呼ばれてきたアクセスの悪さが解消される見込みです。今まで暗渠だった渋谷川にも遊歩道が整備されるなど、街全体の魅力が飛躍的に向上します。

今年5月にはグーグル日本法人が六本木ヒルズより渋谷ストリームに移転することもあって、IT企業の渋谷回帰は今後加速しそうです。

日本橋が目指す「ライフサイエンスバレー」

中山道・東海道・日光街道・奥州街道・甲州街道の起点である日本橋は、江戸時代より物資の集積地として発展してきました。その歴史と文化を活かしつつ、新しいまちづくりを目指したのが「日本橋再生計画」で、計画を主導したのは日本橋で創業した三井不動産です。三井は、コレド日本橋・コレド室町・日本橋三井タワーなどを手掛け、街に賑わいを取り戻しました

三井不動産は周辺の再開発をさらに加速し、LINK-J(ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン)のもと、ヘルスケアやバイオのスタートアップ企業をコレド室町に呼び込もうとしています。

日本橋は薬問屋が軒を連ねてきたことでも有名で、今でもアステラス・タケダ・第一三共などが本拠地を置いています。LINK-Jがこうした大手企業とスタートアップ企業の提携を仲立ちし、ゆくゆくは日本橋を「ライフサイエンスバレー」に育てようという壮大な構想です。

経済がグローバル化する中で、メガ都市の国際競争力は経済成長そのものを左右すると言われています。

その意味で、IT企業を軸として今後の成長が期待されるビットバレー渋谷、製薬企業との連携も見込まれるライフ・サイエンスバレー日本橋、2つの「バレー」の成否は「TOKYO」がNYやアジア新興都市との競争に打ち勝てるか否かを左右します。今後の動きから目が離せません。

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