経営者の老後を助ける「小規模企業共済」とは

(写真=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

中小企業の経営者の方々が退職するとき、退職金がまったくない場合を想像してみましょう。厚生年金に加入していない第1号被保険者の方は、基本65歳から老齢国民年金が支給され始めますが、それだけで老後の不安を解消するには心もとないのが現実です。そこで、経営者の方々におすすめなのが「小規模企業共済」という制度です。

これは経営者の方が引退するときの退職金として使うための積み立て共済です。小規模企業共済制度は、小規模企業共済法によって運営され、運営元は中小企業基盤整備機構という国の独立行政法人です。現在約128万人の方が加入しています。

小規模企業共済のポイント

・誰が制度に加入できるか
常時雇用する従業員が20名以下(宿泊業・娯楽業を除くサービス業・商業では5人以下)の個人事業主および役員が加入できます。さらに、小規模企業である個人事業主に属する共同経営者も加入可能です。(個人事業主1名に対して2人まで)

・毎月の掛け金は?
毎月の掛け金として1,000~7万円まで、500円刻みで積み立て可能です。さらに、月額金額は自由に増額、減額できます。また、払い込みの方法も月払いだけでなく、半年払い、年払いも選択可能です。

・税法上のメリット
小規模企業共済の最大のメリットとして、毎月の掛け金が「小規模企業共済等掛金控除」として所得税法上控除を全額受けることができます。例えば、最大7万円を毎月積み立てる場合、年間84万円の所得控除を受けられます。

・共済金の受取方法
共済金として退職時、廃業時に受取可能です。その時期は任意ですので、満額という概念もありません。その受取方法は、「一括」「分割」「それらの併用」が可能です。一括受取時、所得税法上は「退職所得」扱い、分割受取は「雑所得」扱いとなります。一般的に一括受取の退職所得扱いの方が、取られる税金は、少なくて済みます。

・低利の貸付制度
積み立てた金額の範囲で、事業資金の各種貸付金制度が受けられます。一般貸し付けの場合、年利1.5%です(2018年8月現在)

小規模企業共済のデメリット

もちろん、小規模企業共済にもデメリットがあります。以下そのポイントを挙げてみましょう。

・元本割れの可能性がある
さまざまな理由で、掛け金を解約する必要性に迫られることもあるかもしれません。それが任意解約の時は、20年未満の場合、元本割れの可能性が出てきます。しかし、個人事業主の廃業や契約者死亡時、65歳以上になったとき、個人事業主から法人成りした後に、役員にならなかった場合などは、20年以下でも満額以上返還されます。

・掛け金を途中減額すると、その分は運用されない
小企業企業共済は通常1%もしくは1.5%の予定利率で運用されています。しかし、緊急の出費が必要となった時点で、毎月の掛け金を減額した場合、その減額部分は、運用されません。しかし、資金繰りが回復して、毎月の掛け金を復活させた場合、実際にかけた期間分は、運用してくれます。したがって運用開始時には、無理のない積立金額を設定することが大切です。

・法人保険と異なり、万が一の保障がない
会社が掛け金を支払う法人保険は、経営者が万が一のことがあった場合、保険金が支払われますが、この小規模企業共済は、あくまで経営者の退職金準備のものですので、死亡時の保険金は支払われません。

iDeCoとの比較

最後に退職金の準備として使われるiDeCoと小規模企業共済の比較をしてみましょう。掛け金をかける立場からは、「一体どちらが最終的に多くもらえるのだろうか」という点が一番気になるかもしれません。今のところ、小規模企業共済の予定利率は1~1.5%、一方iDeCoは選ぶ商品によって異なります。しかし、仮に全世界の株式市場の動向を示す代表的なMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという商品に投資をした場合、過去10年平均は約6%のハイパフォーマンスとなります。

これはあくまで過去の統計によるもので、将来のこのような結果が出るかどうかはまったく予想できません。しかし、小規模企業共済は商品の性格上、債券、特に日本国債中心で運用していますので、その金利の差が歴然と現れています。また、もう一つの考え方として、iDeCoと小規模企業共済の併用をすることで、税額控除の最大化を狙うことも可能です。

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