半損、1/3損、全損、今増えている法人保険とは

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

各種生命保険に個人で加入する場合は、死亡保険、医療保険、がん保険などで、死亡や病気、がんなどの経済的負担に対応することが主な目的です。しかし、中小企業が代表者や役員などを被保険者として加入する場合は、別の目的もあるのです。

それは企業の財務戦略、特に法人税対策として生命保険を使うというものです。

「定期保険」は、保険期間が満了した後は保険金が受け取れない、いわゆる「掛捨て型」の保険です。しかし保険期間中に解約すると、「解約返戻金」が戻ってくるタイプの保険があります。これを企業の財務戦略に活用するのです。

法人が加入する生命保険には、会社の資金で保険料を支払うことができる「入り口効果」と、解約返戻金をもらうときに発生する「出口効果」があります。

保険の本来の存在意義は、万が一の時の保障であることには間違いありませんが、法人保険に関しては、それだけを期待して加入する経営者は少数といえるかもしれません。
保険料を損金算入することで節税メリットを享受する入り口効果と、解約返戻金を使って退職金の支払いや、税引き前利益を調整するなどの財務戦略に使う出口効果が、経営者が法人保険に加入する最大の目的なのです。

法人保険と法人税

法人保険と法人税は密接な関係があります。経営者が、可能な限り節税をしようとするのは当然です。

決算期末間近になって予想していた以上に利益が出ることがわかり、そのままだと多額の税金を払うことになってしまう、あるいは経営が安定してきたので、そろそろ経営者の退職金準備をしたいと考える際、その手段となるのが法人保険なのです。

法人税を考えるうえで、押さえておきたい用語があります。それは「益金」と「損金」です。益金とは収益のことで、損金とは費用を指します。

財務会計での収益費用と税務会計での法人税には認識時期にずれが生じることが多々あります。ですから同じ意味の言葉でも財務会計と税務会計では呼び名が異なるのです。

法人税について経営者が考えることは、いかに益金を下げ、損金を上げるかです。したがって節税目的で法人保険を利用する場合、保険料がどのくらいの割合で損金として計上できるかが大きなポイントとなるのです。

法人保険の損金に落とせる割合

経営者が加入する法人保険の種類として、全損保険のほかに、1/2保険、1/3保険があります。全損保険とは、文字通り保険料が全額損金として計上できるものであり、1/2保険は保険料のうち半分を損金計上し、残りの半分を資産計上するもの、1/3保険は、保険料の1/3を損金計上し、2/3を資産計上するタイプの保険です。つまり、全損タイプの法人保険のほうが高い節税効果があるということになります。

もう一つ注意すべき点は、いわゆる「掛け捨て」保険だと支払った保険料が損金になるだけなので、「逓増定期保険」などのような解約返戻金が発生する保険商品を選択する必要があることです。

全損保険が徐々に復活してきた理由

これまで生命保険会社が経営者に提案してきた商品は、逓増定期保険やがん保険などの全損タイプが主流でした。しかし、国税庁ががん保険、長期障害保険、逓増定期保険などの保険料の損金算入割合を見直し、全損処理ができなくなってきました。

ところが、日銀の低金利政策の副作用で従来の貯蓄性生命保険商品の魅力がなくなったため、生命保険会社は少しでも法人に使い勝手の良い保険を開発し、いわゆる「ドアノック商品」として全損保険を猛烈に売り出してきました。しかし、あまりにも法人サイドに有利な条件の保険商品であるため、これらが一気に解約されると、生命保険会社は解約返戻金の支払いで財務状況が悪化する可能性もあります。

法人が注意すべき点

企業が条件の良い全損もしくは半損の生命保険に加入できたとしても、解約時期に関しては、加入者である法人が管理する必要があることは言うまでもありません。解約返戻率の良い商品は、そのピークの時期が極めて短いため、解約のタイミングを逃すと無意味な保険となってしまうので、注意が必要です。

【オススメ記事】
今イケてるカフェは「喫茶室ルノアール」 イメージ脱却を遂げるその戦略とは
過去最高を更新し続けるディズニーランド対USJ 次の一手は何か
Googleやゴールドマンサックスなどの先進企業も取り入れているマインドフルネスとは
出世する社員は自ら変化を作り出す チェンジリーダーのスキルとは
日本は国際的にみて相対的に貧困化している?