経営者は知っておきたい「逓増定期保険」のメリット・デメリット

(写真=ITTIGallery/Shutterstock.com)

会社が成長するにつれて、経営者の責任が重くなり、さらに万が一のときに会社に与えるインパクトが増してくることはごく自然のことです。このような補償をカバーする目的で、逓増(ていぞう)定期保険は法人契約向けの保険商品として開発されました。法人保険の代表格でもある、逓増保険の仕組みを見ていきましょう。押さえるべきポイントは下記の2つです。

・保険金が5倍まで増えていく
・比較的短期間で支払保険料の90~100%近くのお金が貯まる

保険金が5倍まで増えるとは

企業は、成長前提で設立されるものです。また、会社の成長とともに代表者に万が一のことが起こったとき、必要な保険金の額も大きくなるという前提で設計されています。

短期間で支払保険金の90~100%まで貯まるとは

逓増定期には解約返戻金があります。解約返戻金の解約金額をグラフで表すとちょうどなだらかな丘のイメージとなります。例えば、その頂点に経営者の退職金支払いのタイミングを合わせることで、いわゆる出口戦略が使えることとなるのです。

また、逓増保険には「3分の1損金型」「2分の1損金型」「全額損金型」などがあります。それぞれ、ピークとなるタイミングが異なり、3分の1損金型が15~20年後、2分の1損金型が5~10年後、全額損金型が5年後ぐらいの目安です。したがって、財務上の出口戦略を考えるとき、どの商品を選択するのかが重要になってきます。では、このような逓増保険の仕組みを押さえたうえで、メリットとデメリットを再度まとめてみましょう。

逓増定期保険のメリット

1.一定期間後に保険金が5倍まで増額
例えば、契約当初保険料が1,000万円、基本保険料が1億円だった場合、契約満了時点では保険料はそのままで基本保険料が5億円まで増額することとなります。

2.保険料の掛け金が損金算入できることで、節税することが可能
特に決算期末の節税対策に有効な商品です。

3.退職金や事業資金に充当可能
解約返戻金のピークを前もって把握することで、そのタイミングで経営者の退職金を払ったり、大型の設備投資を行ったりすることが可能です。

4.解約返戻金を急な出費に充てることが可能
解約返戻金は部分解約もできますので、どうしても一時的な資金繰りの悪化の際に取り崩して、急な支出に備えることができます。

5.契約者貸付制度を使うことが可能
一時的に資金繰りがタイトになった場合など、解約返戻金を使うのではなく、場合によっては保障を継続しながら、急場の資金需要に備えることも可能です。

6.節税が可能
特殊な例ではありますが、ある一定期間保険料を法人で払い、その後法人契約を個人契約に変えることで、法人側では法人税、個人側では所得税の節税ができます。

逓増定期保険のデメリット

1.キャシュアウトが固定される
一度契約してしまうと、最低でも4~5年は契約を継続しないと、メリットが受けられない商品設計が多いのが実情です。すなわち、経営者は出口までのキャッシュが十分に賄えるかを判断したうえで、契約する必要があります。

2.解約時のピークをしっかり把握することが必要
一度設計をすると、保険会社から解約のピークのタイミングなどは、基本的にはされないので、きちんと企業側でそのタイミングを把握しておく必要があります。

3.解約のタイミングを誤ると節税にならない
解約のタイミングで、解約返戻金は益金(法人税法上、収益とみなされる)となりますので、そのタイミングで、赤字になるような損金の要素を作って、相殺することで節税になります。タイミングを誤るとメリットを享受できないため注意しましょう。

まとめ

このように逓増定期預金は損金のタイミングを先取りでき、企業の財務戦略を考える保険としてはとても魅力的な商品であることは間違いありません。ただ、その設計の良し悪しで、成否が決まります。そのため、企業財務や財務諸表に精通した担当者から説明を受けたうえで、購入することを検討していきましょう。

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