ソフトバンク上場は前兆か 勢いを失いつつあるIPO(新規公開株式)相場の今後

(画像=StockEU/Shutterstock.com)

メルカリをはじめ活況を呈していたIPO(新規公開株式)相場に陰りが見え始めました。きっかけはソフトバンクの超大型上場で、あれだけの話題を集めながら初値が公開価格を下回ったのです。

2019年に入ってから公開した21銘柄のうち、12銘柄は初値を割りました。上場でストップ高を記録したメルカリ株も、一時は初値どころか公開価格の3,000円すら下回りました。

今後も会計ソフトfreeeなど注目の上場が控えていますが、今後の市場動向はとても楽観視できるような状況ではなさそうです。

2018年末まで好調が続いたIPO市場

2018年のIPO銘柄数は91社に達しましたが、これは史上2番目の数字です。ベンチャーキャピタルの後押しもあり、メルカリ・HEROZ・RPAホールディングスといったIT系を中心に上場の動きが活発で、公開による資金調達額は2,300億円に達しました。

株式相場全体の急落もあり、上場後に初値割れのケースが目立ったものの、少なくとほとんどの銘柄(リート系の投資法人を除く)で上場時初値は公開価格を上回りました。

上場時の初値騰落率も、話題になったメルカリ(+66.7%)以上に大きく値を上げた銘柄が目立ちました。将棋AIの開発でも話題を呼んだHEROZ(988.9%)、オフィス向けソフトウエアロボットの先駆けRPAホールディングス(+300.0%)など、2倍以上に上昇した銘柄も37社に及びました。

年末に潮目が変わる

ところが、年末に入り潮目が変わります。折からの米中貿易摩擦やアメリカFRB金融引き締めへの警戒感から相場は軟調に転嫁します。さらに大型上場で注目されたソフトバンク(SB)株(12月19日上場)は、ついに初値が公開価格を下回りました。

主幹事の野村がつけた1,500円の公開価格が高すぎたのではないか、との声もあります。

そもそも大型と呼ばれたメルカリでさえ吸収金額が1,300億だったのに、SBはその20倍の2.6兆円で、当初より市場消化が危ぶまれていました。主幹事の強力な営業で何とか売り切りましたが、顧客には不満が残ります。初値で損切したケースも、少なくないようです。

SB株はその後も低迷を続け、一度も公開価格を上回っていません。指数銘柄の採用の可能性待ちで売るに売れず、次の投資に踏み切れない投資家も大勢います。

SB株の不調のあおりを食ったせいか、2日後に上場された自律制御システムは▲16.8%、ポートは▲37.2%も公開価格を下回りました。

今年に入って復調しているが

その後、相場全体が持ち直したこともあってIPO市場も勢いを取り戻しつつあります。上場23社のうち初値が公開価格を割り込んだのは1社にとどまります(4月19日現在)。ただし好調なのは初値までで、長続きしません。その後初値を割り込んだ銘柄は14社に上り、うち4社は公開価格すら下回っています。

もともとIPO市場は、抽選に当選した投資家が上場と同時に初値で利益確定することが多いため「初値天井」になりやすいのは確かですが、最近はその傾向が顕著です。

今後はIPO銘柄の選別が始まる

要因の1つは、利益確定を急ぎがちな地合い、そしてもう1つはスタートアップ企業の業績・将来性に対する不信感です。

例えば、中小企業オーナー向けにインターネット接続サービスを提供する東海は、初値こそ3割近く公開価格を上回りましたが、その後あっという間に公開価格を割り込んでしまいました。

利益確定の売りに押されたこともありますが、そもそも「インターネット接続」というテーマ性の乏しい、ビジネスモデルに投資家が大きな期待を持てない面も否めません。

今年は、海外でライドシェアのウーバーテクノロジーやピンボード風写真検索のピンタレストなど大型IPOが目白押しです。

国内でもSansan(名刺管理アプリ)やfreee(会計クラウドサービス)など話題性の高いIPOが計画されています。それでもIPOに対する投資家の寛容度は確実に落ちており、今後は成長性・テーマ性のしっかりした銘柄だけが生き残るのかもしれません。

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