今イケてるカフェは「喫茶室ルノアール」 イメージ脱却を遂げるその戦略とは

(画像=akiti/Shutterstock.com)

1996年に銀座松屋通り1号店をオープンした後、スターバックスはコーヒー好きな日本人の心をつかみ、順調に店舗を展開していきました。

そして4年前にシャミネ鳥取店をオープンし、47都道府県を制覇しました。日本における店舗数は1,363店舗に達し、都内23区でもスタバがないのは荒川区だけです。

カフェ市場はスタバに席巻されたのか

実質的な創業者ハワード・シュルツがスターバックスに入社したのは1982年ですが、今やスタバは世界で2万店を超え、売上高50億ドルを誇るグローバル・チェーンです。

「カフェはただコーヒーを飲む休憩所ではない、素晴らしい体験をする劇場なのだ」という信念でグループを率いてきたシュルツのトップマネジメントと、顧客や従業員を大切にする優れた経営風土を強みとするスタバは、他のコーヒーショップチェーンの追い上げを簡単には許しません。

タリーズやエクセルシオールなどの競合も、店舗数や1店当たり売上高などの面で、未だスタバを脅かす存在にはなっていません。

このままカフェ市場は、スタバに席巻されてしまうのでしょうか。

根強い人気の「喫茶室ルノアール」

そんな中、根強い人気を維持しているのが「喫茶室ルノアール」です。

喫茶室ルノアールといえば、サラリーマンのおじさんが休憩がてら新聞を片手にタバコをくゆらせているイメージが強いでしょう。取引先との商談で、ルノアールの会議室を利用したことがある人もいるかもしれません。

「ゆっくり休憩したい」というニーズを捉えた、最近のカフェにはない、ふかふかのソファーやゆったりしたスペースに魅力を感じる人が多く、根強い人気を維持しているようです。

ルノアールは、徐々に店舗数を増やし、現在では東京23区を中心に100店舗近くを展開しています。グループ会社「銀座ルノアール」もここ数年は増収基調で、2018年度決算では売上高が80億円に達しました。
最近では仕切りで喫煙室を完全に分離し、排気設備によって煙が禁煙室に流れ込まないようにするなどの対策で完全分煙化を実現しています。また、「昭和モダン」をイメージした改装によって、店内の雰囲気を明るくしました。

こうした経営努力が功を奏し、男性中心だった客層にも変化が見られ、1割前後に過ぎなかった女性客が3割にまで増加しました。

差別化で頑張る喫茶店チェーン

最近は、ルノアールのような「カフェではない喫茶店タイプの業態」が健闘しています。

街を歩くと、「上島」「星乃屋」「椿屋」などの落ち着いたタイプの喫茶店が目立つようになりました。

例えば星乃屋珈琲店は、こげ茶色をベースにした古き良き「大正・昭和レトロ」を表現したデザインで、重厚な雰囲気を醸し出しています。

また、郊外型のコメダが首都圏に進出し、名古屋式モーニングが人気を博しています。

スタバが日本に進出して20年近く経った今、消費者の間には「セルフカフェ疲れ」が見られ、ゆっくり休めるフルサービス型喫茶店への回帰が起こっているようです。比較的自由な時間の多い定年退職者の増加も、喫茶店人気を後押ししています。

ちなみに、星乃屋の母体はドトールグループ。ドトールの拡大によって衰退したとされる街の喫茶店を、ドトール自身が手掛けるのですから、何とも皮肉な巡り合わせです。

拡大基調のカフェ・喫茶店需要

ここ数年でカフェ・喫茶店需要は右肩上がりを続け、5年間で3割以上伸びました。スタバが火付け役となり、業態の多様化が需要を掘り起こしたと言われています。

地場の喫茶店も負けていません。茨城県を中心に11店舗を展開するサザコーヒーは、コロンビアに自家農園を所有する気合いの入れようで、地元では全国チェーンに負けない人気ぶりです。

さらにはコメダの影響で、ご当地名古屋駅や周辺(栄・伏見など)のモーニングが出張の多いサラリーマンに注目されています。

みなさんも今度の休日、カフェや喫茶店巡りをしてみてはいかがでしょうか。お好みの店が見つかるかもしれませんよ。

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