住所等変更登記の申請義務化はいつから?違反するとどうなる?

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不動産名義人の住所や氏名に変更があった場合は、「住所等変更登記」をしなくてはなりません。これまでは任意でしたが、法改正により今後は申請が義務化されます。申請を怠って義務に違反すると、罰則が科される可能性もあるので注意が必要です。

本記事では、住所等変更登記の申請義務化の内容や義務化される理由、やり方などについて解説します。

住所等変更登記とは

住所等変更登記とは、不動産所有者の住所や氏名に変更があった場合に行う登記手続きです。結婚や転居などにより、不動産登記簿上の住所・氏名に変更が生じた際に申請する必要があります。

これまで住所等変更登記の申請は任意でした。しかし、2021年4月に改正不動産登記法が成立し、今後は義務化されることになりました。

申請が義務化される理由

住所等変更登記の申請義務化は、所有者不明土地問題の解消が目的です。所有者不明土地とは、次のいずれかの状態になっている土地をいいます。

・不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
・所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地

所有者不明土地が増えると所有者の探索に時間がかかり、公共事業や復興事業、民間取引などの阻害要因となります。また、土地が管理されずに放置されると、隣接する土地への悪影響が生じる可能性もあります。

全国の所有者不明土地の割合は九州本島の大きさに匹敵する規模にまで拡大しており、今後は高齢化の進展などによってますます問題が深刻化する恐れがあります。

所有者不明土地の発生原因のうち、「住所等変更登記の未了」が全体の約3割を占めていることから、問題解消のために申請が義務化されることになりました。

住所等変更登記の申請義務化の内容

次に、住所等変更登記の申請義務化の内容について見ていきましょう。

申請義務はいつから?

住所等変更登記の申請義務化は、2026年4月までに施行される予定です。改正不動産登記法の公布日は2021年4月28日で、「公布日から5年以内に施行」と規定されています。

申請義務のルール

不動産登記簿上の所有者は、その住所等を変更した日から2年以内に住所等変更登記の申請をしなければなりません。変更日から2年を超えてしまうと、義務違反となってしまうので注意しましょう。

施行日前の住所等変更も申請義務の対象

住所等変更登記は、施行日前に住所等の変更が生じていたケースについても申請義務の対象となります。ただし、施行日前の住所等変更については、「施行日から2年間」を申請義務の履行期間とする経過措置があります。

例えば、住所等変更の発生日がX1年9月、施行日がX2年4月の場合、申請義務の履行期間は以下の通りです。

住所等変更の発生日 施行日 申請義務の履行期間
X1年9月 X2年4月 X4年3月まで
※施行日から2年間

違反すると過料の適用対象となる

正当な理由なく住所等変更登記の申請義務に違反すると、「5万円以下の過料」の適用対象となります。「正当な理由」の具体的な類型や過料を科す手続きについては、通達などで明確化される予定です。

職権で変更登記をする仕組みも導入へ

住所等変更登記の申請義務化と併せて、法務局が職権で変更登記をする仕組みも導入されます。住所等変更登記の手続きの簡素化、合理化を図ることが目的で、2026年4月までに施行される予定です。

個人は「住基ネット」、法人は「商業・法人登記システム」と連携し、登記官が取得した情報に基づいて職権で変更登記を行います。ただし、個人の場合は本人の了解があるときに限られます。

住所等変更登記が必要なケース

住所等変更登記が必要なケースは以下の通りです。

登記簿上の所有者の転居

不動産登記簿上の所有者が転居し、住所が変更されているケースです。不動産投資をしているなど、居住用以外の不動産を所有している場合は申請手続きを忘れないように注意しましょう。

登記簿上の所有者の氏名変更

結婚や離婚などで、不動産登記簿上の所有者の氏名が変更されているケースです。氏名の変更が生じた場合は、速やかに申請手続きを行いましょう。

住居表示の実施

住居表示の実施とは、土地の分筆や境界変更などによって地番が複雑になっている状態を解消するために、市区町村がわかりやすい住所に設定し直すことです。住居表示が実施された場合も、住所等変更登記が必要になります。

申請時に市区町村が発行する「住居表示実施証明書」を添付すると、登録免許税が非課税になります。

住所等変更登記をしないデメリット

住所等変更登記をしないと、以下のような不都合が生じる恐れがあります。

不動産を売却できない

不動産を売却する場合、不動産の名義人と売主が一致していなくてはなりません。住所等変更登記をせずに放置していると、登記簿で売主の名義を確認できないため、売買契約を締結できなくなってしまいます。不動産を売却する予定があるなら、変更が生じた時点で速やかに登記申請をすることが大切です。

不動産を担保にした借入ができない

住所等変更登記をしないと、不動産を担保に金融機関から融資を受けられません。金融機関は、抵当権を設定する際に不動産登記簿で名義人を確認します。登記簿で正確な所有者を確認できないと、融資を申し込んでも断られてしまいます。

申請義務を履行できない

上述したように、今後は住所等変更登記の申請が義務化されます。住所や氏名に変更が生じた際に登記申請を行わないと申請義務を履行できず、過料が科される恐れがあります。申請義務は施行日前の住所等変更にも適用されるので、変更が生じたら速やかに手続きをしておきましょう。

住所等変更登記のやり方

ここでは、住所等変更登記の申請手続きの流れや必要書類、費用について解説します。

手続きの流れ

住所等変更登記は必要書類を準備した上で、不動産の所在地を管轄する法務局で手続きを行います。通常は申請書を提出してから1週間程度で登記が完了し、登記完了証が発行されます。自分で行うのが難しい場合は、司法書士に代行を依頼することも可能です。

必要書類

住所等変更登記の主な必要書類をまとめました。

・登記申請書
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・住民票の写し

登記申請書は法務局のホームページからダウンロードするか、窓口で入手します。登記事項証明書は法務局の窓口のほか、オンライン請求で取得することも可能です。登記申請の際は、登記事項証明書の情報を確認しながら申請書に必要事項を記載しましょう。

また、住所等変更の証明書類として住民票の写しも必要です。住民票は市区町村の窓口やコンビニなどで発行できます。

費用

住所等変更登記の申請では、登録免許税がかかります。登録免許税額は、土地または建物ひとつにつき1,000円です。土地付き建物の場合は2,000円となります。登録免許税は申請時に現金で納付するか、税額分の収入印紙を準備します。

住民票を発行する際は、1枚数百円の手数料がかかります。

司法書士に代行を依頼する場合は、登録免許税の他に司法書士報酬の支払いも必要です。司法書士報酬は1~2万円程度が相場ですが、司法書士によって異なるため、見積もりをとって確認しましょう。

まとめ

転居や結婚などで、不動産登記簿上の住所・氏名に変更が生じた場合は住所等変更登記が必要です。住所等変更登記は申請義務化が予定されており、施行日前の変更も申請義務の対象となります。不動産の売却や融資にも影響が出るので、変更が生じたら速やかに申請手続きを行いましょう。

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