インフレとデフレはどっちがいいのか?生活への影響や資産を守る方法を知っておこう

(画像=thodonal/stock.adobe.com)

2022年に入り、米国をはじめとする先進諸国ではインフレが進行しています。インフレでは物価が上昇し、反対にデフレになると物価は下落します。私たちの生活や資産運用の観点からは、インフレとデフレのどちらが望ましい状態なのでしょうか。

本記事では、インフレとデフレの違いや生活への影響、資産を守る方法について解説します。

インフレとデフレの違い

まずはインフレとデフレの概要や、どちらが望ましい状態といえるのかを確認していきましょう。

インフレとは

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの値段(物価)が上がることです。インフレは「良いインフレ」と「悪いインフレ」の2つに分けられます。

良いインフレは、需要拡大によって発生するインフレです。「ディマンドプルインフレ」と呼ばれる状態で、需要が供給を上回ることによって物価が上昇します。

物価が上がってもモノやサービスが売れるため、企業の業績が向上し、社員の給与が増えます。生活コストは増えるものの、収入も増えるため、「さらにモノやサービスが売れて企業業績が向上し、社員の収入がアップする」という好循環に入るのが特徴です。

悪いインフレは、生産コストの上昇によって発生するインフレです。「コストプッシュインフレ」と呼ばれ、原材料価格や資源価格、輸入物価の上昇により値上げをせざるを得ない状態を意味します。

需要は拡大していないため、企業業績の向上や給与の増加は期待できません。「収入は変わらないのに生活コストが増加して家計を圧迫し、さらに需要が下がる」という悪循環をもたらします。

2022年に入ってから進行しているインフレは、新型コロナウイルス感染症拡大による人手不足、ロシアのウクライナ侵攻による原材料や資源価格の上昇が背景にあるため、悪いインフレの可能性があります。

デフレとは

デフレ(デフレーション)とは、インフレとは反対に物価が下がることです。デフレになるとモノやサービスが売れなくなり、景気や企業業績が悪化します。従業員の給与が減り、失業者が増えるため、「さらにモノやサービスが売れなくなる」という悪循環に陥りやすくなります。

また、デフレになっても貨幣の額面金額は変わらないので、実質的に預貯金の価値が上がるのも特徴です。

インフレとデフレはどっちがいいのか

日本銀行は、2013年に物価安定の目標として「消費者物価の上昇率2%をできるだけ早期に実現する」と表明しています。

日本では長くデフレ状態が続いてきたこともあり、「長期国債やETF(上場投資信託)の買い入れ」「マイナス金利」といった金融緩和政策が導入されました。つまり、日銀は「緩やかなインフレが望ましい」と判断しています。

ただし、コストプッシュ型の悪いインフレは、給与が増えないため家計への負担が大きくなります。物価が緩やかに上昇しながら、企業の売上や給与も増えていく状態が理想といえるでしょう。

インフレが生活に与える影響

インフレが発生すると、人々の生活に以下のような影響を与えます。

金利が上昇しやすい

インフレになると、金利が上昇しやすくなります。急激なインフレは経済への悪影響が大きいため、政府や日銀は物価上昇を抑えるために、市場金利を上げる「金融引き締め」に転じます。市場金利が上昇すると企業や個人への貸出金利も上がるので、経済活動が抑制されて物価が下がりやすくなります。

円安になりやすい

インフレによって円の価値が下がると、為替相場においても円の価値が下がるため、円安に動きやすくなります。

円安は輸出企業の業績向上につながりますが、輸入品の物価が高くなるため、エネルギー価格や食材などの原材料価格が上昇し、家計の圧迫要因となります。また、外貨に交換するにはより多くの円が必要になるので、海外旅行の代金が割高になります。

家計への負担が大きくなる

インフレは生活コストが増加して、家計への負担が大きくなります。給与が増えれば生活コストの増加を吸収できますが、物価だけが上昇して収入が変わらないと、家計は支出だけが増えてしまいます。インフレでは貨幣の価値が下がるため、預貯金しか保有していない場合は実質的に資産が目減りします。

デフレが生活に与える影響

一方で、デフレは人々の生活に以下のような影響を与えます。

景気が悪くなる

デフレになると、需要が減少して景気が悪化します。モノやサービスが売れなければ、企業は在庫を処分するために、さらに値段を下げて販売せざるを得ません。「物価を下げることでさらに物価が下がる」という悪循環に陥ると、デフレからの脱却が難しくなり、景気低迷が長く続くことになります。

給与が減り、失業者が増える

デフレでモノやサービスが売れないと、企業業績が悪化します。企業は利益確保のためにコスト削減に取り組むので、従業員の給与が減って失業者が増えます。従業員は消費者でもあるため、収入が減少すると消費が冷え込み、さらなる景気悪化を招きます。

借金の負担が重くなる

デフレでは貨幣の価値が上がる一方で、借金の負担は重くなります。デフレ時は通常金利が下がりますが、物価下落と金利低下にはタイムラグがあるため、適用金利が下がるまでの間は金利負担が増えてしまいます。

また、デフレになり収入が減っても借金の額は変わらないので、借金をしてからデフレになると損をします。

インフレ時に資産を守る方法

インフレ時に資産を守る方法は以下の通りです。

株式や不動産に投資する

一般的に、株式や不動産はインフレに強い資産と言われます。インフレ時は企業活動が活発になり、株価や不動産価格が上昇しやすくなるので、株式や不動産の保有は資産価値下落への対策となります。個別株式や現物不動産はもちろん、株式や不動産が投資対象の投資信託を保有するのも選択肢です。

外貨建て資産を保有する

インフレ時は円安になりやすいので、外貨建て資産を保有することも有効です。外貨建て資産は円安が進行すると為替差益が発生し、円ベースでの資産価値が上昇します。保有資産の一定割合を外貨や外国株式にしておけば、インフレによる円安に対応できるでしょう。

借り入れは固定金利を検討する

インフレになると、急激な物価上昇を抑制するために市場金利が上昇します。市場金利が上がると貸出金利も上昇するので、変動金利で借り入れをしている場合は返済額が増えてしまいます。近いうちに市場金利が上昇すると見込まれる場合は、固定金利を検討するといいでしょう。

デフレ時に資産を守る方法

デフレ時に資産を守るには、以下の点を意識することが大切です。

預貯金を多めに確保する

デフレになるとお金の価値が上がるため、預貯金を多めに確保するのが有効です。額面金額は変わりませんが、物価が下がれば預貯金の価値は実質上がるので、保有資産の目減りを防止できます。

債券に投資する

債券は、保有中は一定の利子が支払われ、満期を迎えると額面金額が投資家に払い戻されるのが特徴です。満期まで保有すれば、債務不履行とならない限りは元本割れしません。また、金利が下がると債券価格は上昇するため、デフレに強い資産といえます。

債券は、発行体によって信用度が異なります。一般企業が発行する社債よりも、国が元本と利払いを保証する国債のほうが信用度は高いといえるでしょう。

借り入れは急いで返済しない

「借金はなるべく早く返済したい」と考えるかもしれませんが、デフレ時は急いで返済しないほうが資産を守ることにつながります。

デフレになると借金返済の負担は大きくなるので、無理に返済すると資金繰りに影響します。デフレ時は収入が下がる可能性もあるので、手元資金を多めに確保して資金繰りに困らないようにしておくことが大切です。

まとめ

インフレとデフレでは、生活に与える影響や資産を守る方法が変わってきます。インフレ時は株式や不動産などへの投資、デフレ時は預貯金や債券の保有が有効な資産防衛策です。インフレとデフレの両方に対応できるように、さまざまな資産をバランスよく保有することを検討しましょう。

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