つみたてNISAとiDeCoの違いとは? 投資の目的に合わせて制度を選ぼう

(画像=Dilok/stock.adobe.com)

資産運用における代表的な節税制度には、「つみたてNISA」と「iDeCo」があります。株式投資信託で得た利益に20.315%の税金がかかるので、運用益にかかる税金を非課税にできる節税制度を利用することは、資産運用の結果に大きな差を生みます。

しかし、投資信託に長期投資をする際に「つみたてNISA」と「iDeCo」のどちらの制度を利用するのがよいのでしょうか。本記事では、それぞれの制度の概要と違いについて解説した上で、どちらを選ぶべきかを解説します。

つみたてNISAとiDeCoの制度概要

つみたてNISAとiDeCoの制度を簡単に比較すると、以下の表の通りです。

つみたてNISA iDeCo
運用商品 投資信託 投資信託、保険商品、定期預金
運用期間 2018年〜2042年 70歳まで(積立は60歳まで)
投資の方法 自由に投資商品を購入する 毎月一定額を積み立てる
出金の自由 いつでもできる 60歳まで不可

それぞれの制度の概要について詳しく解説します。

つみたてNISA

NISAは投資における売却益を一定の制限の元で非課税にする制度で、証券会社などで1人1口座開設できます。NISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つの制度に分かれており、つみたてNISAは一般NISAと比較して長期投資に特化した内容です。

つみたてNISA 一般NISA
非課税期間 最大20年 5年(※)
非課税枠 年間40万円 年間120万円
非課税枠の合計 800万円 600万円
投資対象 投資信託 株式・投資信託

(※)期間終了後、新たに非課税投資枠への移管で継続的に保有できます。

年間の非課税枠の額が少なく、投資対象が投資信託に限定されている代わりに、つみたてNISAは一般NISAの4倍の期間の間、非課税で運用できます。株式に投資をしたい方や、想定する投資期間が5年以内の方は一般NISAが向いていますが、投資信託などに10年以上の長期投資がしたい方はつみたてNISAが向いているといえるでしょう。

投資できる金額は毎年最大40万円で、20年間のうち800万円の投資にかかる税金が非課税になります。また、つみたてNISAへの加入が2022年と仮定し、2042年中に購入した投資信託は20年後の2062年までは課税されることなく運用できます。投資信託の購入した年から数えて20年間、非課税で運用できる制度となっています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは公的年金に加えて給付が受けられる私的年金制度の一つです。iDeCoに加入すると毎月任意の掛金を積み立てることで投資商品の運用が可能になり、掛金と運用の結果によって給付を受けられ、運用益が発生した場合は課税されません。

投資対象はiDeCo口座を開設した金融機関が指定する投資信託・保険商品・定期預金です。掛金は最低5,000円以上で、加入者の年金への加入状況によって掛金の限度額が変わってきます。

加入者の条件 掛金の限度額
厚生年金・国民年金基金に加入していない(自営業等) 68,000円
厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施 12,000円
企業型年金のみを実施 20,000円
企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない 23,000円
公務員・私学共済制度の加入者 12,000円
国民年金第3号被保険者(専業主婦・主夫等) 23,000円

iDeCoは20歳から60歳まで積立できるので、加入者の現在の年齢と年金の加入状況によって非課税で投資できる合計額が変化する制度です。

つみたてNISAとiDeCoの違い

制度の概要を踏まえて、つみたてNISAとiDeCoの違いは5つあります。

・非課税となる投資対象
・運用できる期間
・投資できる金額
・受けられる税制優遇
・引き出せる自由度

それぞれについて詳しく解説します。

非課税となる投資対象

つみたてNISA iDeCo
投資対象 金融庁が認可した投資信託 投資信託・定期預金・保険商品

つみたてNISAは金融庁によって認可された投資信託が対象となりますが、iDeCoは投資信託に加えて定期預金や生命保険も選択することができます。ただし、つみたてNISAは2021年10月時点で投資できる投資信託が201本と幅広くなっている一方、iDeCoは金融機関で取り扱う場合、投資商品の選択肢を3以上35以下に設定する必要があるため、取り扱う投資信託の種類は少ないのが特徴です。よって、投資できる投資信託の種類においては、つみたてNISAのほうが幅広くなります。

運用できる期間

つみたてNISA iDeCo
投資可能期間 最大20年(2018年~2042年) 最大40年(60歳まで)
運用期間 最大20年 最大50年(70歳まで)

つみたてNISAの投資ができる期間は2018年〜2042年までで、最大20年間運用できます。一方iDeCoは、20歳から60歳まで積立することが可能で70歳まで運用できます。積立期間を比較するなら、40歳未満であればiDeCoのほうが長く積立できますが、つみたてNISAの場合、40歳以上の方なら投資期間が長くなります。

投資できる金額

つみたてNISA iDeCo
毎月の投資金額 制限なし(一括投資も可能) 5,000円以上
年間の上限額 40万円 14万4,000円~81万6,000円

つみたてNISAは年間40万円であり、一律で非課税投資枠が決まっていますが、iDeCoは加入者の年金加入状況によって積立できる金額が変わってきます。毎月の掛金の限度額は1万2,000円〜6万8,000円で変動しますが、年単位に換算すると14万4,000円〜81万6,000円です。よって、加入者によってiDeCoのほうが積立額は高くなるケースと低くなるケースが発生するといえるでしょう。

受けられる税制優遇

つみたてNISA iDeCo
運用益が非課税
小規模企業共済等掛金控除の対象 ×
公的年金等控除・退職所得控除の対象 ×

つみたてNISAは投資した商品の売却益のみ税金がかかりますが、iDeCoの場合、確定申告または年末調整によってさまざまな恩恵を得ることができます。iDeCoで拠出した掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、受給する際は年金として受給すると公的年金等控除、一時金として受給すると退職所得控除の対象になります。そのため、iDeCoのほうが幅広く税制優遇を受けられます。

引き出せる自由度

つみたてNISA iDeCo
引き出し いつでもできる 60歳まで不可

つみたてNISAはいつでも投資商品を売却して資金を引き出すことができますが、iDeCoは原則60歳まで資金を引き出せません。そのため、60歳までの間に資金が必要になった場合、運用商品を売却して出金することは特別な事情があるケースを除いて認められないのが特徴です。そのことから引き出しの自由度において、つみたてNISAのほうが優れているといえるでしょう。

つみたてNISAとiDeCoは投資の目的に合わせて選ぶのがおすすめ

つみたてNISAとiDeCoの違いを踏まえた上で、どちらを選択するか決めるなら投資の目的に合わせて選ぶようにしましょう。例えば、つみたてNISAは20年以内に住宅の購入や子供の教育資金を確保したいといった目的を持つ場合、iDeCoよりもつみたてNISAが向いているといえます。一方、老後に備えて資産を形成する場合は60歳まで資金を引き出す必要がないため、iDeCoを選んだほうがメリットは大きいでしょう。

加入者自身の年齢や年金の加入状況によってもメリットが変化してきますので、毎月の投資額と最終的な運用期間も考えながら制度を選びましょう。

つみたてNISAとiDeCoは併用する選択肢もある

ここまでつみたてNISAとiDeCoのどちらを選択するべきか解説しましたが、2つの制度は併用可能なので両方利用して投資する選択肢もあります。投資の節税制度には一般NISAとつみたてNISAのように併用不可能な制度もありますが、つみたてNISAまたは一般NISAとiDeCoのように併用できる制度も存在します。

ただし、両方とも上限まで投資すると年間の投資額も高くなる場合があります。特にiDeCoは途中で引き出せないので、資産の範囲内で余裕を持って積立することが重要です。資産に十分な余裕がある場合は、併用することも選択肢に入れましょう。

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