秋の都道府県価格調査に注目!新型コロナの不動産価格の影響が明らかに

(画像=cassis/stock.adobe.com)

「不動産投資に興味がある」「すでに不動産投資を始めている」という人は、新型コロナによる不動産価格への影響が気になるのではないでしょうか。例年9月に国土交通省が公表する「都道府県価格調査」により公的な不動産価格調査では、はじめて新型コロナの影響が明らかになります。今回は現段階の調査で判明している新型コロナの不動産業界への影響や都道府県価格調査の概要、不動産価格の下落が予想されるエリアについて解説します。

現在の調査で明らかになっている新型コロナの不動産価格・取引への影響

2020年8月5日22時時点で1日の感染者数1,347人、国内感染者数累計4万2,098人と依然として新型コロナの拡大の勢いは継続しています。「不動産業界への影響はどのようになっているか」について、さまざまな機関の調査結果から「コロナショック」の影響を紐解いていきましょう。不動産総合研究所の「第17回不動産市況DI調査」によると、土地価格動向実感値は全国で▲16.8ポイントでした(2020年4月)。

この数字は3連続でマイナスとなっており、特に関東地方で▲23.3ポイント、近畿地方で▲21.6ポイントと、これまで堅調に価格の上昇を続けていた都市圏の下がり幅が目立ちます。地区別の土地価格・取引件数の動向のアンケート結果は以下の通りです。

(参照:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会 不動産総合研究所「不動産価格と不動産取引に関する調査報告書~第17回不動産市況DI調査~」)

全国的に「横ばいである」と感じている不動産関係者が63.2%と多いものの、3ヵ月の予測では「やや下落している」が最も多く53.2%という結果となりました。

続いては取引件数のアンケート結果です。現在の動向について3ヵ月前と比較して「大きく下落している」という回答が関東29.6%、近畿27.5%と3割近い数字となりました。関東・近畿以外では「横ばいである」「やや下落している」という回答が大半を占める結果です。3ヵ月後の予測では「大きく下落している」が関東50%、近畿50%と都市圏では半数を占めています。

なお主要住宅企業10社の2020年6月の受注速報値は2社がプラス、8社がマイナスでした。先月よりマイナス幅が縮小した企業が多いため、受注環境に関しては「2020年5月が底ではないか」といわれています。最後に国土交通省が四半期ごとに発表している「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」の内容を確認していきましょう。

このレポートは、地価動向を不動産鑑定士が調査対象地区の不動産市場の動向に関する情報収集、不動産鑑定評価に準じた方法で地価動向を把握した結果を取りまとめた精度の高い地価調査です。2020年1~4月の地価動向は、0%超3%未満のやや上昇・横ばいの地区が多く、全地区・関東圏・関西圏の結果は以下の通りになっています。

(参照:国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課「主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~」

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い多くの地区で需要者の様子見など取引の停滞が見られ、地価の上昇傾向が鈍化した
  • 地価動向の変化が大きかった地区では、特にホテル、店舗需要の比重が高く、感染症の影響が大きい

上記のようなコメントがあることから商業地区においての地価への影響が深刻といえるでしょう。ただし全体的な結果としてはやや上昇・横ばいの結果となり、地価LOOKレポートの不動産価格への影響は2020年5月以降に現れると予測されます。

路線価は上昇、9月の都道府県地価調査とは?

不動産査定の基準となる価格に関しては「固定資産税評価額」「路線価」「公示価格」などがあります。7月1日に国税庁は、道路(路線)に対する宅地1平方メートルあたりの土地評価額となる「路線価」を発表しました。路線価は、相続税・贈与税の算定基準となり、1年間の地価変動などを考慮し時価の80%程度を目途に評価しています。

2020年度の路線価は5年連続で上昇しましたが1月1日時点の地価基準に評価しているため、まだ新型コロナの影響は受けていません。2020年9月に公表される予定の「都道府県地価調査」で同年7月1日時点の地価が明らかになりますが、「都道府県地価調査」とは一体どのような調査なのでしょうか。

都道府県地価調査とは?

都道府県地価調査とは、都道府県知事が1年に1回、土地取引の価格審査などで適正な地価の形成を図るため、7月1日時点における土地の標準価格を判定および発表しているものです。全国で約2万地点の基準地を、不動産鑑定士などが鑑定・評価し「基準地価」を算出します。例年3月に発表する「公示価格」も年に1回です。

しかし半年で市場価格が変化している可能性があるため、公示価格を補完する役割を果たしています。公示価格は一般の土地の取引に対しての指標だけではなく「不動産鑑定・公共事業用地の取得価格算定の規準」という重要な役割を担っていることが特徴です。

都道府県地価調査で不動産価格の下落が予想されるエリアとは?

新型コロナの影響で、都道府県地価調査において不動産価格の下落が予想される地域は一体どこでしょうか。前述の調査結果でも表れていたように、商業地は地価の下落が予想されるでしょう。海外・国内ともに多くの企業で、前年同月比の売り上げが落ち込んでいます。特に新型コロナで影響を大きく受けた飲食店・宿泊業、フィットネスクラブ、映画・劇団などでは売上が減少した企業の割合が95%以上です。

そのため温泉街や観光地をはじめとした、娯楽産業での商業地の動向に注目しておきましょう。一方で上記の業種では非オフィスワーカーが多いことから、オフィスビルの価格は下げ幅が低いと予想されます。ただオフィス賃貸の賃料は、リーマンショックの時期に競争激化も重なり下落したことから、今回のコロナショックにおいても影響がある可能性があるでしょう。

住宅賃貸や不動産賃貸、住宅の分譲もリーマンショックの際大きな下げ幅が見られなかったことから、堅調に推移すると推測されます。飲食業・宿泊業・娯楽業の価格の下落が予想されるオフィスビルは、家賃が下がる可能性はあるものの、価格は大幅に下がることはないといえるのではないでしょうか。需要が下がりにくい賃貸住宅・住宅の分譲も価格が大きく値崩れする可能性は低いでしょう。

都道府県地価調査の結果次第では国税庁では路線価の補正を検討

2020年9月の都道府県地価調査で大幅な下落が見られた場合、国税庁では路線価の減額を検討しています。路線価に一定の係数を乗じることで相続・贈与を受けた人の税負担を軽くする見込みで、過去には東日本大震災で最大8割減の地区もあるのです。土地だけではなく条件を満たした場合、株式にも時価を問わず「震災後を基準とした価額」を定められた計算式に当てはめて算出し、相続税・贈与税の軽減が図られました。

相続・贈与の予定のある人はお住まいの地域の路線価の補正率(調整率)にも注目してみましょう。

時期に関わらず優良物件を見つけたら申し込みをしておこう

都道府県地価調査をはじめ公示価格や路線価などは不動産取引の指標となるため、毎年の発表で地価をチェックしましょう。不動産投資を新規で行う予定の人は、新型コロナの影響が少ないと予測されるオフィスビルや賃貸住宅に注目しておくとよいかもしれません。時期にかかわらず、好条件と思われる物件を狙うことが不動産投資の基本でもあるため、見つけた際にはできるだけ買い付けを申し込むのがよいでしょう。

融資状況は政府や日本銀行の政策も関係してきますが、個人の属性・物件の条件という要素も大きいため、コロナ禍でも優良物件を見つけた際には融資を検討しみてはいかがでしょうか。

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