家賃に関わる新型コロナ支援制度の申請難易度と引っかかりポイント

(画像=taa22/stock.adobe.com)

新型コロナの影響で家賃の減額など入居者からさまざまな要望を受けるなど、今までにない経験をしている不動産オーナーは多いのではないでしょうか。しかし新型コロナ支援制度は多岐にわたるため、分かりにくいという声も少なくありません。

不動産オーナーがしっかりと制度の内容を押さえておくことで、家賃減額や家賃滞納のリスクを回避しやすくなるでしょう。

そこで本記事では、新型コロナ支援制度のなかでも「家賃に関わるもの」を中心に申請の難易度を「低(自分だけで申請しやすい)」「中(提出書類が多く間違えやすい)」「高(専門家にサポートしてもらうのが無難)」の3段階で紹介します。

併せて“引っかかりポイント”をテーマに、前半は「入居者向け」、後半は「テナント向け」の支援制度についても確認していきましょう。

入居者向けの新型コロナ支援制度

家賃を支払えないほど経済的に苦しい入居者が知っておきたい支援制度は、「住居確保給付金」と「緊急小口資金 特例貸付」です。緊急性の高い制度だけに手続きは簡単ですが、引っかかりポイントもあります。

住居確保給付金:申請の難易度(低)

「住居確保給付金」は、新型コロナ以前の2015年から「生活困窮者の自立支援」を目的として存在していた制度です。もともとは、離職または廃業後2年以内の人に対して、家賃に相当する額を一定期間(3~最長9ヵ月)支給するものでした。

これが2020年の新型コロナ感染を機に、“離職・廃業に近い状況”の人でも受けられることになったのです。手続き自体の難易度は低く、用意するのは以下のような書類になります。

  • 生活困窮者住居確保給付金 支給申請書
  • 生活困窮者住居確保給付金 申請時確認書
  • 本人確認書類
  • 離職等関係書類(証明できる書類がない場合は『離職状況等に関する申立書』)
  • 離職票または収入が減っていることを証明できる書類 など

引っかかりポイントがあるとすれば「給付金の対象になるほど生活が苦しくない」と判断されることでしょうか。例えば、収入がなくなっても十分な貯金があったり、一緒に住んでいる家族の収入があったりするといったケースです。

緊急小口資金 特例貸付:申請の難易度(低)

住居確保給付金が振り込まれるまでのつなぎ資金としても使えるのが、「緊急小口資金 特例貸付」です。こちらも従来からある制度で、生活の維持が困難な人に対して公的機関が無利子・保証人なしで10万円を貸付してくれるというもの。

また、新型コロナの影響で収入が急減した個人事業主などには20万円以内の貸付に拡充されています。

こちらも新型コロナに関連するほかの支援制度と比べると、簡略的な手続きです。基本的な必要書類は以下のような書類になります。

  • 緊急小口資金特例貸付借入申込書
  • 緊急小口資金特例貸付 借用書
  • 緊急小口資金特例貸付に関する重要事項説明書
  • 収入の減少状況に関する申立書
  • 本人確認書類
  • 住民票(発行後3ヵ月以内)
  • 預金通帳(銀行名、支店名、口座番号、名義が確認できればキャッシュカードも可)
  • 収入減少を証明するための給与明細(場合によっては必要)など

この制度に引っかかりポイントがあるとすれば、先ほどと同様、対象になるほど生活が苦しくないと判断されることでしょう。また自己破産手続き中など債務整理をしている人の申請が、不可となっているところは留意したい点です。

このほか緊急性が高い人に生活費を貸し付ける制度として、「総合支援資金」もあります。

テナント向けの新型コロナ支援制度

テナントビルを経営するオーナーが知っておきたい制度です。個人事業主や企業向けの家賃支援制度としては、「特別家賃支援給付金」があります。資金繰りをバックアップする「持続化給付金」や「実質無利子融資」を組み合わせることで、コロナが長期化しても退去や倒産リスクを抑えやすくなるでしょう。

特別家賃支援給付金:申請の難易度(高)

この制度の対象は直近の売上が減っている中堅企業、中小企業、個人事業主などのテナントで、半年間家賃の一部を国が補償するものです。2020年5~12月の売上が以下のように前年同月比で減少している事業者が対象になります。

  • いずれか1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
  • 連続する3ヵ月の売上高が前年同期比で30%以上減少

給付される上限額につきましては以下の表をご参照ください。

ただし、補償額は全額ではなく家賃実費の3分の2を補てんするものです(一定額を超えると3分の1)。例えば、1店舗の法人で月の家賃が30万円の場合は、月額上限は30万円×3分の2=20万円になります。また20万円×6ヵ月=120万円が給付額です。

必要な書類は、他の企業向け支援制度と同様、売上減収を示すもの(申請書、確定申告書、売上台帳の写しなど)に加えて、賃貸借契約書、賃料支払いを確認できる領収書の写しなどになります。

手続きの提出書類が多いので難易度は高くしています。慎重に手続きを進めましょう。

持続化給付金:申請の難易度(中)

持続化給付金は、個人事業主や中小企業向けの代表的な支援制度です。ネット上で「簡単に振り込まれる」という意見を目にしたことがある人もいるかもしれません。

しかし、実際には書類の不備などで引っかかるケースもかなりあるようです。とはいえ提出する書類自体は、確定申告書や売上台帳の写し、身分証明書、通帳1ページ目コピーなどで済みます。

このなかで引っかかりやすい書類は「売上台帳」です。「申請書に記入した内容と売上台帳の数字が一致しない」などケアレスミスが起きないよう注意しましょう。

このほか持続化給付金公式サイトでは、よくある不備として以下のような例を挙げています。

  • 画像が不鮮明で判読できない
  • 確定申告書の収受日付印がない(e-Taxの場合は受信通知がない)
  • 通帳の表紙や1~2ページ目以外が添付されている など

新型コロナウイルス感染症特別貸付:申請の難易度(高)(※コロナ以前の経営が堅調だった場合は難易度低)

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」も代表的な支援制度です。直近1ヵ月の売上高が、前年(または前々年)の同期と比較して5%以上減少している個人事業主や中小企業が対象になります。

「5%以上減少」という部分だけを見て「条件がゆるい」と判断する人もいますが、政府系でも金融機関の融資のため「本当に返済能力があるか」を厳密に審査される点は押さえておきましょう。

融資審査で重要な材料になるのは、直近の確定申告書です。その意味では、売上や利益がしっかり出せている人や企業にとっては審査の難易度が低いでしょう。

しかし、コロナウイルス以前から経営が厳しい場合は難易度が高くなると考えられます。個人事業主であれば6,000万円、中小企業であれば3億円が融資枠の上限です。

また特別利子補給制度として売上高マイナス20%以上などの条件を満たす場合、個人事業主は借入金の3,000万円以下、中小企業は借入金の1億円以下の部分に関して当初3年間は基準(災害)マイナス0.9%の金利となります。

例えば、運転資金として1,500 万円(5年返済)の融資、基準の利率が1.36%とした場合、当初3年間は0.46%(基準のマイナス0.9%)で、3年経過後からは1.36%(基準)の利率となります。

借入枠上限まで借り入れできるわけではないため、常識的に考えて売上や利益に見合った融資額を設定するようにしましょう。

未曾有の危機のとき、不動産分野には手厚い保護がある

このように、入居者やテナントをサポートする新型コロナ支援制度はかなり充実しています。不動産は国民の生活や産業の根幹を支えるものなので、未曾有(みぞう)の危機のときでも比較的国の手厚い保護が受けられます。

そのため、「すでに不動産投資をしている」「これから不動産投資を始めたい」といった人にとっては、大きな安心材料といえるでしょう。

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