株安なのに証券会社の口座開設申し込みが増加している4つの理由

(画像=panuwat phimpha/Shutterstock.com)

2020年3月、新型コロナウイルスの影響で世界的な株安が起こりました。暴落する株価を目の当たりにすると、「投資は危険だから控えよう」と考える人が多いかもしれません。しかし、意外にもネット証券会社の口座開設申し込みが増加しているといいます。なぜ今投資を考える人が増えているのか、4つの理由から考察してみましょう。

理由1. 老後資金2,000万円問題が影響か

「老後資金の2,000万円問題」が一時社会的な話題になり、老後の備えに不安を持った人も多いのではないでしょうか。この数字は総務省が発表した「家計調査報告(家計収支編)2017年」を根拠に算出されました。同調査では、「夫65歳、妻60歳の高齢夫婦無職世帯」の家計収支がモデルケースです。毎月の収支は、年金などがあっても約5万5,000円不足するとされています。

・20年で不足する額
毎月5万5,000円×12ヵ月×20年=1,320万円

・30年で不足する額
毎月5万5,000円×12ヵ月×30年=1,980万円

20年後は約1,320万円、30年後は約1,980万円が不足し、預金の取り崩しなどでまかなう必要があるのです。年金を掛けていなかったり、厚生年金がなかったりする人は、当然これ以上に不足金額が増大すると見込まれます。こういった背景から、投資を考える人が増えたのでしょう。

理由2. NISAやiDeCoの普及も追い風

政府や金融機関のPR活動により、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)が普及してきたことも口座開設数増加には追い風となっています。NISAを利用すれば、年間120万円までの投資から生じる売却益や配当金が非課税です。2019年6月25日付の日本経済新聞の報道によると、ネット証券では20~40代を中心にNISA口座の申し込みが急増しているといいます。

またiDeCoは、公的年金に上乗せすることを目的に自分で資金を運用する制度です。自分で窓口となる金融機関へ申し込みを行い、投資商品の中から運用先を選んで掛け金を拠出します。その掛け金と運用益の合計額を、60歳(10年以上掛け込みした場合)から年金給付として受け取る仕組みです。

2020年4月時点でメガバンクの定期預金1年物の金利は0.002%となっています。100万円を1年預金しても、20円(税引き前)しか利息が付きません。預金は安全資産ではあるものの、資産運用としてはほとんど効果のない金融商品のため、NISAやiDeCoといった税制優遇を受けられる両制度の利用を考える人が増えていると考えられます。

理由3. 株価急落で「積立投資信託」を始めるチャンス

新型コロナウイルスの問題で株価が大幅に下落したことで、「積立投資信託」を検討している人もいるのではないでしょうか。積立投信は毎月一定額を購入していくため、株価が高いときは少ない口数を、逆に安いときは多くの口数を購入します。今回のような未曾有の大暴落があったときは、口数を増やすチャンスという見方もできるわけです。

そこに着目した人が投資信託や割安になった個別株の購入を検討するため、新たに証券会社の口座を作っているということも要因の一つでしょう。ネット証券最大手のSBI証券は2020年2月26日のプレスリリースで、口座開設数が500万口座に達したことを発表しています。SBI証券は、「若年層や投資初心者の口座開設が増えており、株式投資未経験者が80%を超えるなど個人投資家層の裾野が着実に広がっている」と分析しています。

理由4. ポイント利用で投資が身近になった

投資への裾野を広げている要因の一つが、お金ではなく“共通ポイント”で投資する仕組みです。「ポイント投資」と呼ばれていますが、例えば楽天証券では楽天カードの買い物などで貯めた楽天スーパーポイントを買い付け代金の一部、または全部に充当できます。かつては投資信託だけが対象でしたが、個別株も楽天スーパーポイントで買えるようになりました。楽天証券で口座開設する人の大きな動機付けになっているといえるでしょう。

2019年4月からはSBI証券も、子会社SBIネオモバイル証券を通してTポイントで個別株に投資できるサービスを開始しています。こちらは単元未満株投資の仕組みを利用して1株から購入できるため、少ないポイントでも投資が可能です。Tポイントを投資に回したり、少額で投資に参加できたりすることから、初心者に向いている投資法です。

初めから現金のみで投資するのは不安という人の背中を押す意味で、両証券のポイント投資は今後もユーザー数を伸ばしそうです。

ピンチをチャンスに変えるタイミング

「貯蓄から投資へ」という政府の方針は2001年6月の小泉政権時の「骨太の方針」が最初ですが、20年近く経過してようやく国民に浸透してきたといえます。「老後資金2,000万円問題」を解決するために資産運用を始める場合は、長期投資が原則です。NISAやiDeCoの制度を利用して着実に資産を増やしながら、ショッピングで貯まったポイントでリスクの少ない投資を楽しむのもよいのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの問題が落ち着くまでは、株式市場は今後も乱高下する可能性があります。しかしピンチをチャンスに変えるためには、いつでも行動できる体制を整えておくことは重要です。株式投資は証券口座がないと取引ができませんので、これを機に証券口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。

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