会社を買う 最低限のファイナンスの知識 その1 値付け

(画像=fizkes/Shutterstock.com)

新聞やWebなどでも言われている通り、少子高齢化に伴って日本の中小企業は大廃業時代を迎えました。

中小企業庁が2019年4月26日に発表した「中小企業白書」によると、経営の担い手である59歳以下の経営者の割合は、1992年から2017年にかけて約45%も減少しています。一方で60歳以上の経営者は、同じ期間で25%増加しています。2018年時点の経営者の平均年齢は69歳であり、確実に高齢化が進んでいます。

日本の中小企業は今後10年で126万社が廃業し、そこで働く650万人もの従業員の雇用が失われると予想されています。

このような状況の中、定年前後のサラリーマンが会社を購入するケースが散見されるようになりました。以前は規模が小さすぎて買収の対象にならなかった会社でも、インターネットで企業買収(M&A)の情報に容易にアクセスすることができるようになってきたことで、買収対象になり始めたのです

会社を買うという選択において重要なことは、その会社が買収するに値するかどうかです。それを判断するためには、最低限のファイナンスや会計の知識が必要です。

ここではシリーズで「値付け」「キャッシュフロー」「借入金」「倍率(マルチプル)」という4つのポイントについて解説していきます。今回は、「会社をいくらで買うか」という最も重要な「値付け」について説明します。

値付け

「いくらで会社を買えるのか」、これが企業買収で最初に考えるポイントでしょう。中小企業を買収する場合、そのほとんどが相対取引です。すなわち、売る側と買う側の交渉で価格が決まります。まず、売り手が金額を提示し、買い手が高いと思えばそれを下げる交渉を行います。これは物を買う場合と何ら変わりなく、売り手と買い手それぞれの思惑と事情で妥協点が決まります。

値付けをシンプルに考えるとすれば、

「純資産+営業利益3~5年分」

が会社の値段の相場と考えていいでしょう。

純資産とは、貸借対照表(B/S)の資産から負債を差し引いたもので、会社が創業以来積み上げてきた利益と資本金、資本準備金の合計です。

企業価値を別の角度から見ることもできます。上場企業であれば、そもそも企業の値段は時価総額そのものです。時価総額は以下の計算式で算出できます。

株価×発行済株式

仮に100万株発行している会社で、その時のマーケットの価格が1,000円だとすると、10億円がその会社の価値と言えます。しかし、上場している会社の株式をすべて購入するのは基本的に不可能であり、そこにはプレミアムがつきます。このように買収を行うことをTOBといいます。

では、株式市場に上場していない会社(未上場企業)の価値はどのように算定すべきでしょうか。

まず純資産を使います。純資産は資産から負債を引いたものです。ということは、不動産を所有していてもローンがついていれば、それを差し引かないと実質的な資産価値がわかりません。

さらに、貸借対照表に載っている不動産などの価格は、簿価といって購入時の価格であることに注意しなければなりません。例えばその不動産が都心にある場合、現在価値は購入時より上がっている可能性があります。地方であれば、反対に価値が下がっているかもしれません。したがって正確に算出するためには、特に固定資産などは時価評価をしたうえで資産価値を算出する必要があります。

もう一つの要素である「営業利益」は、その会社が1年間で稼ぐ力です。売上から、仕入れなどにかかる売上原価、販管費(人件費や租税公課など)を差し引いたものが営業利益で、損益計算書(PL)に記載されています。

まとめ

会社の価値は、現状の価値(これは貸借対照表で見る)と将来稼ぐ力の3~5年分(これは損益計算書で見る)を合わせたもので判断すべきです。さらに正確に算出するためには、貸借対照表の資産を時価で評価しなおす必要があります。その上で、その会社が買収するに値するかどうか見極めていきましょう。

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