日本は財政破綻する?未来に備える4つの方法

(写真=tomertu/Shutterstock.com)

「日本は借金まみれだ」「日本人一人当たりの借金が○○万円」など、日本が莫大な債務を抱えていることは誰でも知っているかもしれません。しかし、もし日本が債務不履行となり財政破綻に陥ったら、どうすればよいのでしょうか。「財政破綻なんて起こりっこない」と高をくくりながら、そのリスクから目を背けている人が大多数でしょう。

もし財政破綻に陥ったら、現在の私たちの生活は大きな打撃を受けることになります。そのとき、公共機関や社会を頼ることはできず、個人の自助努力で生き抜かなければなりません。今回は、財政破綻の影響や対策について説明します。

日本は財政破綻する?意見は真っ二つ

2017年度末の時点で、国および地方の長期債務残高は1,000兆円を大きく超える水準にまで達しています。日本のGDPの2倍近い金額にまで膨れ上がっており、今後も年々増加することが予測されているのです。普通国債に限定しても2017年時点で865兆円であり、税収がピークを迎えた1990年度以降の30年弱で約692兆円も増加していることが財務省から示されています。

2017年度の歳出と歳入を見ると、いわば「借金の返済」に苦しむ日本政府の姿が浮き彫りになってきます。税収および、その他収入を合計すると63.1兆円であるのに対し、国債費(国債の元本返済や利子の支払いに充てられる費用)は23.5兆円です。政府の収入の3分の1以上が借金返済で消えてしまうという状況になります。

人間にたとえると、年収の手取りが450万円なのに借金返済が150万円以上もあることになります。日本政府は、毎年国債を発行して資金を調達しないとやりくりできない財政状態にあるわけです。こうした現状を前に、「日本は財政破綻する」「いや、財政破綻はありえない」と意見が真っ二つに割れています。

財務省は、「財政破綻」という言葉はさすがに使っていないものの、債務残高の増大によって国債費も膨れ上がり、教育、公共事業、防衛などの政策に使えるお金が圧迫されて経済・社会の大きな足かせになります。

その一方、日本の信用力が高く、国債を買ってくれる個人や企業などがいる限り国債の発行による資金調達ができるので、財政破綻など起こらないという説を唱える人もいます。しかし、私たち個人としては、何が起こっても幸せに暮らせるようにどうすればよいのでしょうか。国債費の増大や財政破綻が生活にどのような影響を与える可能性を持つのか理解し、自分の資産と生活を守る対策をするべきなのです。

今さら聞けない「財政破綻」の意味

そもそも、「国や地方自治体が財政破綻する」とはどういう意味なのでしょうか。個人の場合は、借金の返済がしきれずに自己破産するケースが多いでしょう。この場合は、財産の喪失やブラックリスト入りなどのデメリットと引き換えに、借金返済義務が免除されます。また、企業の場合は債務の支払いができなくなったり、経済活動ができなくなったりしたときに倒産となり、経営がストップします。

国や地方自治体の財政破綻は、個人の自己破産や企業の倒産と共通しているところと相違しているところがあります。共通点は、財政破綻の条件が債務不履行=デフォルトであることです。新しい債券を発行しても買ってもらえないために資金調達ができず、古い債券の元本返済や利息の支払いをしきれなくなってデフォルトに陥ります。

2012年のギリシャや、2006年の北海道夕張市なども莫大な債務を返しきれなくなり、財政破綻を表明する結果となりました。相違点は、国や地方自治体が財政破綻を起こしても、消滅はしないということです。破綻したらすべて「チャラ」にできるわけではなく、財政再建に向けた身を切るような改革が矢継ぎ早に行われるでしょう。

詳細は後述しますが、高税率と低福祉で国民生活に大きな負担を強いる政策になるはずです。実際、夕張市では財政破綻後に公共サービスの引き下げや公務員の給与カット、税金などの大幅アップなどが実施されました。

財政破綻と日本社会への影響

仮に日本政府が財政破綻すると、日本社会にはどのような影響がおよぶのでしょうか。大まかには、金利の上昇=国債価格の暴落とハイパーインフレの2つが挙げられます。この2つはお互いに関係し合っています。金利の上昇とは、要するに日本が借りているお金の利息が大きく増えるということです。日本の信用がなくなると、国債の購入量が大きく減ります。

国債という商品に対する需要が下がるわけですから、おのずと国債の価格も下がるでしょう。国債の価格が下がれば、金利の上昇につながります。たとえば、国債が100円で利息が1円ならば、金利は1%です。国債価格が暴落して50円になったら、利息が変わらないので金利が2%に跳ね上がる計算となります。

国債の暴落とは、貨幣価値の暴落に他なりません。つまり、急激な円安の進行となります。円安によって、日本政府の対外債務が膨れ上がるでしょう。1ドル=100円なら、1兆ドルの債務は100兆円分になりますが、1ドル=150円の円安になれば150兆円の債務となります。国債価格の暴落は、そのまま債務負担の増大を意味するのです。

さらに、貨幣価値の暴落は物価の上昇、つまりハイパーインフレでもあります。労働者の給料や年金支給額が実質的に急減し、生活が成り立たなくなります。財政破綻が個人の生活に与える影響を3つに分けて説明してみましょう。

影響1:円安で財産が目減り

円安によって対外債務が増大すると説明しましたが、個人にとってはあまり実感のない話かもしれません。円安の生活に対する直接的な影響としては、円建て財産の目減りが上げられるでしょう。円安で1ドル=100円から200円へ移行すれば、100万円の財産が1万ドルから5,000ドルへ減少するのと同じことになります。

円の価値が他の通貨よりも相対的に切り下がれば、当然円で持っている財産の価値も下がります。現金はもちろん、株式や債券、投資信託、そして不動産まで円建てで持っている資産が目減り対象となります。また、円安によって輸入品価格が高騰します。現状でもエネルギーや食料品の大部分は海外からの輸入に依存しているため、価格の高騰は国民生活に大きな打撃を与えるのは間違いありません。

一方、円安は輸出産業にとって追い風になるというメリットがあります。通貨が安いので、低コストで製品を製造できるためです。長らく海外企業に苦しめられてきた日本の製造業ですが、日本が財政破綻したら復活を遂げるという皮肉なシナリオが実現する可能性もあります。円建て資産の価値が下がる一方で、外貨建て資産は円安の影響を受けません。そのため、通貨リスクをヘッジするために資産の国際分散を図る投資家も少なくありません。詳しくは、対策の部分で説明します。

影響2:インフレで預貯金の価値が下落

ハイパーインフレとは、モノの値段が大きく上昇することです。モノの値段が大きく上がるのですから、逆に現金=預貯金の価値が下落するということでもあります。資産運用をしておらず、金融機関にお金を預けっぱなしの人にとってハイパーインフレは不倶戴天の敵といっても過言ではありません。

モノの値段が大きく上昇するため、第一次産業に従事する人にとっては有利かもしれません。特に、食料品のような生活必需品を産みだす仕事をしていれば、高いお金で買ってもらえるため高収入が期待されます。ただし、お金の信用がそもそもないこと、自分がモノを買うときも高いお金を費やす必要があることには注意しなければなりません。

第一次産業以外に従事する人でも、金融商品や不動産などインフレに強いとされる資産を持っておくとインフレ対策になります。要は分散投資です。こちらも、詳しくは対策の部分で説明します。

影響3:年金削減・税金アップなど悪影響

急激な円安やハイパーインフレによって、年金削減や税金の上昇、公共サービスの引き下げといった悪影響が出てきます。これは、日本でもすでに夕張市で起きていることが全国規模で起きるようになるということです。やはり、収入が減るのに支出が増えるという形で生活を苦しめます。

まず、お金の価値や円の価値が下がるため、仮に年金や賃金といった収入の額面が変わらなくても、実質的には大幅な減少を強いられます。仮に「パン1個1万円」という世の中になったら、手取り20万円で生きていくことはきわめて困難となります。特に、公的な年金に生活を依存している障害者や高齢者などといった「弱者」にとっては厳しい社会にならざるをえません。

そもそも、年金や公的補助の金額が保証される可能性自体小さいでしょう。自己破産すれば債務負担が免除される個人とは異なり、国はデフォルトに陥っても返済に向けた努力を強いられます。その場合、年金や公的補助に充てられていたお金の一部または大部分が国債の償還に振り向けられる可能性もあります。障害や経済的な不利が社会的にサポートされず、すべて「自己負担」とされるような時代が到来するかもしれません。

個人の資産を分散させてリスクヘッジ

国の財政破綻による生活への影響をまとめると、資産や収入が減って支出が増え、公的サービスが切り下げられるということになります。個人レベルでそのような厳しい社会への対策をとるのであれば、「資産の分散」以外はないでしょう。資産の運用先や収入源などをグローバルに分散させることで、日本で発生した財政破綻の影響を最小限にとどめるわけです。具体的には下記のようなことになります。

・預貯金を日本円だけでなく外貨で持っておくこと
・株式や債券などの金融商品も国内だけでなく海外のものを買っておくこと
・海外の不動産投資を試みること
・海外企業への転職も含めて外貨で収入をえること

日本に住んでいる以上、どうしてもすべてが日本に集中せざるをえません。そのため、意識的に海外へ目を向けることがリスクヘッジの手段として考えられます。

対策1:金融資産の購入でインフレ対策

まず、現金や預貯金だけで資産を持たないことです。株式や債券、投資信託、あるいは不動産などを購入すると、いずれもインフレによって価格が上昇する傾向を持っています。そのため、インフレが起こっても現金のように価値の下落=実質的な目減りを引き起こす心配がありません。

特に、インフレに応じて価格が変動する商品がインフレによるリスクヘッジになります。債券の中にも、「物価連動国債」のようにインフレ率によって元本が変化する商品が存在します。また、不動産もインフレに応じて価格上昇を引き起こす可能性があるので、資産に余裕のある人は不動産投資にチャレンジしてもよいでしょう。

ポイントは、資産を分散させることです。そのため、できれば「預貯金だけ」「株式だけ」と単一の商品に全資産を投じないように、リスク分散を心がけることが重要といえます。

対策2:外貨建て資産購入で円安対策

次に、金融資産を購入するにしても日本以外へ目を向けるようにしましょう。日本に住んで日本で収入をえている多くの人にとって、現金資産は円建てのはずです。したがって、株式や債券、不動産などは外貨建てのものを多めにするとリスクヘッジになります。国の金融資産をつかさどる金融庁ですら、複数の地域や通貨、特性の異なる資産を組み合わせる分散投資が「リスクを減らす一つの方法」であるとしています。

もちろん、日本のみならず世界的な恐慌に襲われたら外貨建ての資産も価値を下げるかもしれません。しかし、日本の財政破綻に伴う急激な円安には、外貨建ての資産を持つことが有効です。外貨建て預金や外国株式、外国債券、海外不動産などを購入するとともに、外国株式の中でも先進国株式と新興国株式など、成長度の違いに応じて分散させる手もあるでしょう。

対策3:外国で働けるよう自己投資

金融資産だけではなく、収入自体を外国でえる考え方もあります。仮に日本が財政破綻すると、製造業を中心とする輸出産業は別として倒産やリストラの嵐が吹き荒れ、希望する仕事に就くことが難しくなるかもしれません。「日本でしか働けない」というのも、一つのリスクになり得るわけです。

したがって、「英語を学習する」「世界的にニーズのあるスキルを身につける」などして、外国でも働けるように自己投資するのがリスクヘッジになります。世界的にニーズのあるスキルとしては、プログラマーやデータアナリスト、マーケターなどプログラミングやビッグデータ、AIに関連した職種などです。日本人であることを生かして、寿司職人やラーメン店など飲食業も有望かもしれません。

対策4:お金以外に人間関係のリスクヘッジも重要

お金や仕事以外に、人間関係(人脈)の面でもリスクヘッジの考え方が必要になるかもしれません。仮に海外移住や外国企業への転職を検討するにしても、そのきっかけが知人や友人のつてということは少なくありません。世界的に活用されているビジネス向けSNSにLinkedInがありますが、オンライン・オフライン両方を用いて外国人との人脈形成を意識する必要があるでしょう。

海外とのネットワーキングができていれば、国の財政破綻というような緊急事態に際しても対策がとりやすくなります。前述の自己投資を続けてニーズの高いスキルや知識が身について入れば、日本よりも高い給与で海外の企業に転職することもできるでしょう。また、一時的にでもフリーランスとして海外企業や個人を相手に働くこともできるかもしれません。

人間関係も「資産」であるとすると、金融資産と同じように国際分散を心がけることが個人の生存戦略上で重要になります。

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