老後に必要な生活費の内訳(夫婦二人暮らし編)

(写真=kudla/Shutterstock.com)

老後の穏やかな夫婦二人暮らしを夢見ている人は多いことでしょう。しかし、常につきまとうのが老後のお金の不安です。少しは貯金しているけれど、実際に足りているのか分からず、今から不安を抱えている人は少なくありません。

そこでこの記事では、退職後に夫婦二人で暮らすためのお金がどれくらい必要なのか考えます。特に無職の高齢者世帯の生活費がどれくらいなのか、内訳も含めて統計データを紹介します。

2017年時点で高齢者世帯は赤字状態

老後のお金の不安を解消するためには、まず現状を理解する必要があります。現状の統計調査を見る限り、年金だけで家計収支を黒字にすることは困難と言えます。

退職後の収入の柱となる年金額は、年々減少する傾向にあります。厚生労働省が2017年1月に発表した「平成 29 年度の年金額改定についてお知らせします」という報道関係者向け資料によると、2017年度の67歳以下の夫婦二人分の厚生年金は、前年度比227円減の月額22万1,277円です。

一方で、退職後の高齢者世帯における支出額は収入額を上回っていることも判明しています。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)平成28年(2016年)II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」によると、2016年度の高齢無職世帯(世帯主が60歳以上で無職)の月間赤字額は平均で6万517円に達しています。特に60~64歳の世帯では11万1,739円、65~69歳の世帯では8万1,439円の赤字です。

毎月6万517円の赤字だとすると、年間で72万6,204円も貯金が消えていくことになります。同じ生活を、仮に30年間続けるとしましょう。累積赤字額は2,000万円を超えます。つまり、現在60歳の世帯主が90歳まで生きるとすると、それまでに少なくとも2,000万円の貯えがなければ破産する計算となります。

しかもこれは、夫婦のうちどちらも病気や怪我、介護などによる支出がないという仮定を置いた試算額です。実際には、不慮のトラブルで数百万円の支出を強いられる可能性も考えなければなりません。そうだとすると、退職までに3,000万円は貯蓄しておかないと、金銭的に安心して老後を生きることが難しいでしょう。

しかしながら、これは「3,000万円以上貯めれば、金銭的にはある程度安心して過ごせる」という目安にもなります。老後生活の資金に対する漠然とした不安が、具体的な目標に置き換わったのではないでしょうか。あとは、目標達成に向けて行動計画を設定するだけです。

生活費の内訳の中で切り詰められる部分は?

これから年金額が大きく増加する可能性は低いので、まずは老後の赤字幅の縮小を考えましょう。家計調査では、高齢夫婦無職世帯の平均的な家計収支の内訳を公表しています。

上述の家計調査年報の結果によると、消費支出の中で最も大きな割合を占めるのが食料費です。実に27.3%に達していて、金額は6万4,827円となっています。次に交際費(2万9,033円)、教養娯楽費(2万6,303円)、交通・通信費(2万5,256円)と続きます。これらを削れれば、支出額の切り詰めにつながります。特に、食料費をもう少し削減できるという世帯は少なくないでしょう。

実は、保健医療費は1万5,044円しかかかっていません。これは、光熱・水道費(1万8,851円)や社会保険費(1万7,171円)にも及ばない額です。しかし、場合によっては持病の治療のための通院や不慮の病気・怪我による入院によって、はるかに多額の医療費を支払わなければならない世帯も多いのではないでしょうか。その場合は、保健医療費以外の切り詰めを目指すか、より赤字幅が拡大する想定で行動計画を考える必要が出てきます。

家計調査年報のような統計データを踏まえた上で、次に現在の自分たちの家計簿を見直すようにしましょう。家計簿をつけていない場合は、早急に開始して収入と支出を可視化させましょう。そうすると、自分たちが知らず知らずのうちにどの部分にお金を使っているのか、どれくらい貯蓄できているのか把握できるようになります。

老後に備えた資産運用

老後の生活のためにどれくらい貯蓄する必要があるのか、そして支出傾向がどうなっているのか、自分たちの支出状況はどうなのかを把握したら、次はどれくらいの額をどのように貯めていくのか、行動計画を練ります。

仮定として「現在40歳で金融資産500万円、60歳までに3,000万貯蓄」としましょう。すると、20年間で2,500万円以上の貯金が必要となります。単純計算で毎年125万円、毎月10万円以上の貯金額です。

「月10万円以上の貯金」という言葉を見て、どのように思われたでしょうか。すでに支出の切り詰めができており、住宅ローンや奨学金返済などの借金もなく、平均月収が50万円以上であれば、月10万円の貯金はそれほど苦ではないかもしれません。しかしながら、月10万円の貯金は、あくまで老後に必要となる最低目安額の3,000万円を40歳から目指すための「最低ハードル」に過ぎません。

3,000万円が最低ハードルだとすると、貯金を地道に続けるだけでは達成が困難な世帯も少なくないでしょう。したがって、金融機関に預貯金するだけでなく、積極的に資産運用して「お金に働いてもらう」仕組み作りを目指す手があります。若いうちから、長期的な視野で資産運用を継続するわけです。

幸い、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなど、資産運用初心者でも続けやすい制度が国によって作られています。これらの制度を利用することで、比較的低いリスクで資産運用に励むことができます。ただし、市況の悪化による元本割れのリスクもあることを念頭に置く必要はあります。

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