老後に1億円必要って本当? 生活に必要な額をためる方法

(写真=PIXTA)

老後に必要な資金は1億円という説があります。夫婦2人がゆとりある老後を送ることを考えた場合、毎月35万円が必要だと言われています。老後を30年間と仮定すれば1億2,600万円になります。この計算を踏まえれば1億円程度のお金は必要になりますが、実際はどのくらいの資金が必要なのでしょうか。

大卒男性の生涯賃金は3億円?

労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2016」によれば、2014年の退職金を含まない60歳までの男性生涯賃金は、大卒(大学院修了を含む):2億6,630万円、高専・短卒:2億1,260万円、高卒:2億670万円、中卒1億8,810万円です。

企業規模別にみると大卒男性は、従業員1,000人以上:3億1,380万円、従業員100~999人:2億5,610万円、従業員10~99人:2億1,700円となっています。同様に高卒男性は、2億7,890万円、2億3,300万円、1億9,850万円でした。

これらの統計をみると大卒で大企業に勤めれば3億円程度の生涯賃金を得られると思われがちですが、現役世代の生涯賃金はさらに低くなると予想されます。

東洋経済が2017年4月30日に発表した「生涯給料『東京都トップ500社』ランキング」をみても東京本社大企業1,532社の生涯賃金の単純平均は2億1,807万円です。3億円以上は113社に過ぎません。

労働政策研究・研修機構と東洋経済では推計方法が異なるため単純比較はできませんが、現役世代はリタイア世代よりも大幅に低い生涯賃金に甘んじる覚悟が必要なようです。

平均寿命と老後生活に必要な資金

世界保健機関(WHO)「世界保健統計」によれば、2015年の日本人の平均寿命は男性80.5歳、女性86.8歳でした。平均寿命の算出に当たっては早世した人も含まれているため、60歳でリタイアした人はもう少し長生きします。

厚生労働省「平成27年簡易生命表」をみると60歳男性の平均余命は23.55年です。つまり83.55歳まで生きる計算となります。同様に女性は28.83年なので人生90年時代に入ったと考えるべきでしょう。夫婦2人のゆとりある老後に必要な生活費を年金、貯蓄、資産運用などにより賄う計画を立てる必要があります。

定年までに蓄えるべき資産額は1億円?

厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し-平成26年財政検証結果-」に示された最も悲観的なシナリオによれば、夫婦2人の月額年金受給額は2055年に17万8,000円まで減ります。

上述のゆとりある老後の生活費との差は約17万円です。国民年金の受給開始年齢となる65歳までの生活費は退職金や勤労所得で賄う仮定でも、90歳までの25年間で約5,100万円の赤字になります。

長期的に現状並みの年金を受給できるという甘い前提でも、2014年の月額年金受給額は21万8,000円なので、毎月13万円強足りません。25年間では約3,900万円の赤字が生じます。

生命保険文化センターの調査によれば、必要最低限の生活維持にも月額22万円程度のお金が必要になります。この前提でも毎月4万円強、25年間で1,260万円が不足します。

これらの試算を踏まえると65歳時点で少なくとも1,000万円の蓄えがなければ、生活破綻に直面する恐れがあると考えられます。病気・ケガなどのリスクも考慮すれば、1億円は無理でも5,000万円程度の貯蓄は確保したいところです。

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