相続登記の申請が義務化へ!法改正の内容や登記をしないリスク、手続きの流れを解説

(画像=琢也栂/stock.adobe.com)

相続登記は、不動産を相続した際に必要な手続きの1つです。これまでは、相続登記を行わなくても罰則はありませんでした。しかし、法改正によって相続登記の義務化が予定されています。相続登記をしないと、どんな問題があるのでしょうか。本記事では、相続登記が義務化される理由や登記をしないリスク、手続きの流れについて解説します。

相続登記とは

相続登記とは、相続によって取得した不動産の名義人を、被相続人(亡くなった方)から相続人(財産を相続した人)に変更する手続きです。例えば、親が亡くなって子どもが自宅を相続した際に、その自宅の名義を親から子に変更するケースが該当します。

相続登記は必要書類を準備した上で、対象不動産の所在地を管轄する法務局で申請手続きを行います。これまで相続登記は任意でしたが、不動産登記法の改正によって義務化されることになりました。

相続登記が義務化される理由

相続登記が義務化される背景には、「所有者不明土地問題」があります。所有者不明土地とは、次のいずれかに該当する土地のことです。

・不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
・所有者が判明しても、その所有者と連絡が付かない土地

2020年の国土交通省の調査によれば、全国における所有者不明土地の割合は24%で、九州本島の大きさに匹敵する規模に拡大しています。所有者不明土地の発生原因のうち、「相続登記の未了」が全体の63%を占めています。

土地の所有者がわからないと、公共事業や復興・復旧事業を円滑に進められません。民間取引や土地の利活用の阻害要因にもなります。また、土地が管理されずに放置されると、近隣土地への悪影響が発生する恐れもあります。

所有者不明土地の「発生予防」と「土地利用の円滑化」の観点から、相続登記が義務化されました。

相続登記の義務化の概要

次に、相続登記義務化の概要について見ていきましょう。

申請義務化はいつから?

相続登記の申請義務化は、2024年4月1日から施行されます。施行日以前に発生した相続についても、不動産の相続登記がされていないものは義務化の対象です。

申請義務のルール

不動産を相続した場合、相続人はその所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を行います。「被相続人の死亡を知った日」からではないため、不動産を取得したことを知らなければ3年の期間はスタートしません。

遺産分割協議を行う場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。

なお、正当な理由なく申請義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。

相続登記をしないリスク

相続で不動産を取得した場合、相続登記をしないと不利益が生じる可能性があります。申請義務化にかかわらず、不動産を相続したら速やかに相続登記を行うことが大切です。ここでは、相続登記をしないリスクを紹介します。

不動産の権利を第三者に主張できない

相続登記を行わないと、相続した不動産の権利を第三者に主張できません。例えば、相続登記を行わずに放置していた不動産を他人に登記されてしまうと、自分が所有者だと証明できなくなってしまいます。その結果、相続した不動産を失ってしまう恐れがあります。

不動産を売却できない

相続登記を行わず、名義を被相続人のままにしておくと、不動産を売却できません。売主と所有者の名義が一致しないため、売却手続きを進められなくなってしまいます。まとまったお金が必要になっても、相続登記を行わないと不動産を現金化できないので注意が必要です。

不動産を担保にした借入ができない

不動産を所有していると、その不動産を担保に金融機関からお金を借りることが可能です。しかし、相続登記を行わないと、借主と担保不動産の所有者が一致せず、抵当権の設定が難しくなります。相続した不動産を担保に借入をするには、不動産の名義を自分に変更しておくことが大切です。

賃貸経営に支障が出る

被相続人が賃貸経営をしており、相続によって収益不動産を引き継ぐケースです。通常は賃貸借契約も引き継がれるため、相続人は新たな大家として入居者から家賃を受け取れます。しかし、相続登記をしておかないと契約違反となり、家賃を受け取れなくなる恐れがあります。

申請義務を履行できない

上述したように、2024年1月から相続登記の申請が義務化されます。相続登記を行わないと申請義務を履行できないため、罰則が科される可能性があります。

相続登記のやり方

相続登記はどのように手続きをすればよいのでしょうか。ここでは、相続登記の手続きの流れや必要書類、費用について解説します。

申請手続きの流れ

相続登記の申請手続きの流れは以下の通りです。

1.相続した不動産の調査
2.必要書類の準備
3.法務局に申請書を提出

まずは相続した不動産の数や所在地、固定資産税評価額などを調査します。その後は、戸籍謄本や固定資産税評価証明書などの必要書類を準備した上で、法務局に申請書を提出します。申請内容に問題がなければ、通常は1週間程度で手続きは完了します。

自分で登記手続きをするのが難しい場合は、司法書士などに代行を依頼することも可能です。

主な必要書類

相続登記の主な必要書類をまとめました。

・登記申請書
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産税評価証明書
・被相続人の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本・住民票 など

登記申請書は法務局の窓口で受け取るか、法務局のホームページからダウンロードします。登記事項証明書とは、相続した不動産の名義人や権利関係などが記載されている書類です。法務局の窓口やオンライン請求で入手できます。

固定資産税評価証明書は、相続登記の登録免許税を計算するために必要な書類です。相続した不動産の所在地にある市区町村の窓口で取得できます。

相続関係を明らかにするため、被相続人と相続人全員の戸籍謄本なども必要です。戸籍謄本は、本籍地のある市区町村の窓口で取得します。また、状況に応じて以下の書類も準備しましょう。

・相続関係説明図(原本還付を希望する場合)
・委任状(相続人の1人が代表して相続登記を申請する場合)
・遺産分割協議書(遺産分割協議を行う場合)
・印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合)

相続登記にかかる費用

相続登記にかかる主な費用は以下の通りです。

・司法書士報酬
・登録免許税
・書類発行手数料 など

相続登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬が発生します。司法書士報酬は10万円程度が相場ですが、相続人や不動産の数などによって変動します。複数の司法書士事務所から見積もりをとり、報酬を確認してから依頼することが大切です。

相続登記の登録免許税額は、「課税標準(固定資産税評価額)×0.4%」で計算します。相続した不動産の固定資産税評価額が5,000万円の場合、登録免許税額は20万円(5,000万円×0.4%)です。

また、戸籍謄本や住民票などの書類を発行する際に、1枚につき数百円の手数料がかかります。

不動産を相続したら忘れずに相続登記をしよう

相続登記はこれまで任意でしたが、2024年1月からは申請が義務化され、違反すると過料の適用対象となります。また、相続登記をせずに放置すると、不動産の売却や融資、賃貸経営などに支障が出るリスクもあります。相続で土地や建物などの不動産を取得したら、忘れずに相続登記を行いましょう。

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