新手の闇金?「先払い買取」の仕組み解説と高額違約金被害への注意喚起

(画像=takashitamiya/stock.adobe.com)

お金を借りたいと思っている人と、お金を貸して利益を得たいと思う人がいる以上、貸金ビジネスがなくなることはありません。それがたとえ違法で高すぎる金利であっても、利用する人は後を絶ちません。

次々と新手の手口が登場しては規制、取り締まりによって下火になることが繰り返されているこの世界において、2022年に新手の闇金ではないかといわれる手口が登場しました。それは、「先払い買取」です。

実質的に闇金まがいの仕組みであるため、お金に困っている人が利用してしまうと、さらに経済的に窮乏するといった被害が続出しています。商品の買い取りを装った巧妙な仕組みなのでお金を借りているという意識になりにくく、気づけば1,000%を超えるような暴利を請求されるケースもあります。

本記事では国や警察、業界団体なども注意喚起をしている先払い買取について解説します。

「先払い買取」とは、その巧妙な仕組みを解説

先払い買取は、その名のとおり商品を買い取るサービスです。しかしそれは表向きで、商品の買い取りを装った実質的な貸金ビジネスであるというのが金融当局や警察の認識です。

最初に、業者は商品券、スマホなど換金性の高い商品を買い取るといった主旨の広告やホームページを出します。ここでポイントになるのは、代金を先払いすることです。先払いなので買い取ってもらう商品が利用者の手元になくても、商品の写真を送ることで先払いのお金を手にすることができます。

商品券やスマホなどの写真はネットオークションや通販サイトなどで簡単に拾うことができるため、利用者はネット上で手に入れた商品の写真画像を送り、銀行振り込みなどの方法で先払いを受けます。

先払いなので現金を受け取った後で商品を送る必要があるのですが、利用者の大半はお金に困っている人なので、手元に商品はありません。すると業者は違約金(業者によってはキャンセル料)を請求し、利用者は商品の代金に違約金を上乗せした金額を支払うことになります。

このスキームでは、業者、利用者ともに商品のやり取りをすることを前提にしていません。最初から商品が届かないことを前提に代金を支払い、それを違約金とともに後日回収するため、これは実質的な貸金業ではないかと指摘されています。しかも違約金を金利に換算すると数百%、1,000%を超えるようなこともあるため、貸金の中でも闇金に近い手口といえます。

その一方で本当に商品の買い取りを行っている業者も存在します。先払い買取が広がりを見せることで正規の事業を営む買い取り業者が迷惑を被っている部分があり、その区別をしづらいところに手口の巧妙さがあります。

問題の本質は高額な違約金(キャンセル料)

すでに指摘しているように、先払い買取の一番の問題は、そもそも商品のやり取りを前提にしておらず、実質的に現金の貸し付けをして高い「金利」を請求する点です。あくまでも買い取り業者であると強弁する業者もいますが、利用者が新規に申し込みをした時には年収や勤続年数など支払い能力に関連する情報の提供を求め、それをもとに審査をしている業者もいるため、やはり貸金を目的としていると指摘されても仕方ないでしょう。

商品を送らないと違約金(キャンセル料)という名目で法外な金額を請求され、それを金利に換算すると1,000%を超えるような負担になるため、利用者は闇金に苦しめられるのと同じ状態に陥ってしまいます。

こちらは、金融庁や警察庁、日本貸金業協会などが連名で発行している注意喚起のチラシです。

出典:金融庁「商品の買取りをうたって高額な違約金を請求する悪質な業者にご注意ください!」

このチラシにも「ヤミ金融からの借金かもしれません」とあるように、金融当局や業界団体は先払い買取を実質的な闇金であると認識しています。しかしながらチラシの下部分にあるように、「貸金業に該当するおそれ」と指摘するのにとどまっており、明確に違法性を立証できていない現実があります。

いずれ法改正などによって明確に違法であると位置づけられる可能性はありますが、少なくとも2022年11月時点では違法である可能性があると指摘しているだけで、取り締まりをするための法的根拠はない状態です。つまり、現段階では「利用しない」という自衛手段しかないということです。

違約金(キャンセル料)を支払わないとどうなる?

ところで、先払い買取の業者から請求された法外な違約金を支払わないと、どうなるのでしょうか。貸金業ではないため特に法律の制約がなく、執拗な督促や嫌がらせ、脅迫など闇金まがいの取り立てが報告されています。こうした取り立ては闇金の「専売特許」のような部分があるため、新手の手口として闇金業者が先払い買取を手がけているのではないかともいわれています。

違約金の支払いを滞りなく行ったとしても、業者の手にわたった個人情報が同様の業者間で流通してしまうこともあり、そこからの勧誘などさまざまな形で利用者に不利益がもたらされる恐れがあります。

利用してしまったらどうする?

すでに利用してしまった場合は、どうするべきなのでしょうか。強引な取り立てなどが悪質な場合は先払い買取業者が摘発され、代表者が逮捕されるなどの事態に発展する可能性はありますが、その業者を利用したからといって利用者が罪に問われることはありません。あくまでも商品の買い取りサービスを利用したのであり、いわば闇金の被害者とも解釈できるからです。

ただし、罪に問われることはなくても限りなく違法業者に近い業者間で個人情報が出回ってしまう可能性は十分あります。異なる先払い業者やそもそも偽装すらしていない闇金業者から勧誘が来ることも考えられますが、絶対に利用せず無視するようにしましょう。

勧誘されているだけであれば支払いが滞ったわけではないので、無視したとしても嫌がらせをされるようなことはありません。こういった業者との関わりをもたないことが重要です。

自分を守ることができるのは自分自身

お金に困っている人がいる限りこうした手口がなくなることはありませんし、先払い買取ができなくなったとしても新手の手口が登場することでしょう。こうした業者はお金を荒稼ぎするために新しい手口を考えてでもお金を貸し付けようとしているため、その場しのぎで実質的な借金をしたとしても支払いの負担が大きくなるだけで問題の解決にはなりません。むしろ問題はさらに深刻化してしまうでしょう。

お金に困った場合、今は法的な制度が整備されています。法的な整理をすることで返済の負担を軽くしたり、借金自体をなくしたりすることもできます。法的な制度を利用した借金問題の解決では、執拗な取り立てに苦しめられることもありません。

お金に困ることは決して恥ずかしいことではないので、法律の専門家や以下に紹介する借金問題の相談窓口などを利用して、根本的な解決を目指しましょう。

日本司法支援センター 法テラス
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会

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