国民年金基金とは?iDeCoとの違いやメリット・デメリット、始め方を解説

(画像=AndreyPopov/stock.adobe.com)

国民年金基金は、フリーランスなどの自営業者が加入できる年金制度です。将来の年金額を増やせる一方で、特有のデメリットも存在します。加入する前に仕組みや特徴を理解しておくことが大切です。
本記事では、国民年金基金のメリット・デメリット、iDeCoとの違いについて詳しく解説します。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、個人事業主やフリーランスが加入できる公的な年金制度です。厚生年金に加入している会社員と国民年金のみの自営業者では、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。この年金の差額を解消するため、自営業者が国民年金に上乗せできる制度として1991年5月に創設されました。

国民年金基金は強制ではなく、加入条件を満たす場合に任意加入できます。

国民年金基金に加入できる人

国民年金基金の加入条件は以下の通りです。

・国民年金保険料を納めている国民年金の第1号被保険者(20歳以上60歳未満)
・国民年金の任意加入被保険者(60歳以上65歳未満または海外居住者)

自営業者であっても、国民年金を納めていない場合(滞納、免除、納税猶予など)は加入できません。また、厚生年金に加入している会社員(第2号保険者)や会社員に扶養されている人(第3号被保険者)も加入対象外となります。

掛金の限度額

国民年金基金の掛金限度額は月額6万8,000円です。1口単位で加入し、性別や加入時年齢、加入口数に応じて掛金月額は変動する仕組みになっています。

途中で掛金を増やしたり減らしたりすることも可能です。ただし、1口目の加入が基本となるため、掛金をゼロにすることはできません。口数の増加・減少がなければ、払込期間終了まで加入時の掛金月額は変わりません。

iDeCoとの違い

自営業者が年金を上乗せできる制度は、国民年金基金のほかにiDeCo(イデコ)もあります。

iDeCoとは、自分で掛金を拠出し、自分で運用する私的年金(個人型確定拠出年金)です。自分で投資信託などの商品を選んで運用するため、運用成績が良ければ年金をたくさん受け取れますが、悪いと少なくなります。「掛金は全額所得控除」「運用益は非課税」といった税制優遇があるのがメリットです。

国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金であるのに対し、iDeCoは一括または有期年金(5年以上20年以下)として受け取ります。終身年金に魅力を感じるなら国民年金基金、資産運用で年金を増やしたい場合はiDeCoを選ぶといいでしょう。

なお、国民年金基金とiDeCoは併用可能ですが、掛金は両方を合計して月額6万8,000円が上限となります。

国民年金基金のプランは全部で7種類

国民年金基金のプランは「終身年金A型・B型」「確定年金I~V型」の7種類です。1口目は終身年金A型またはB型から選び、2口目以降は7種類から自由に組み合わせられます。プランによって年金額や掛金額、保証期間などが変わってくるので、それぞれの内容を理解しておくことが大切です。

終身年金A型

終身年金A型は、65歳から一生涯年金を受け取れます。基本年金月額は1~2万円で、性別や加入時年齢によって掛金月額は変わります。15年間の保証期間があり、年金受給前または保証期間中に亡くなった場合は遺族に一時金が支給されます。

終身年金B型

終身年金B型も、A型と同じく65歳から一生涯年金を受け取れます。基本年金月額や掛金月額の仕組みはA型と同じですが、B型には保証期間がありません。年金受給前や受給開始から早期に亡くなっても遺族一時金は支給されませんが、その分A型より掛金月額は低く設定されています。

確定年金I~V型

確定年金は受け取り期間が決まっている年金で、I~V型の5種類があります。基本年金月額は5,000~1万円で、支給開始年齢や保証期間はそれぞれ以下の通りです。

給付の種類 支給開始年齢 保証期間
Ⅰ型 65歳 15年間
Ⅱ型 65歳 10年間
Ⅲ型 60歳 15年間
Ⅳ型 60歳 10年間
Ⅴ型 60歳 5年間

確定年金Ⅰ型の場合、65歳から80歳までの15年間年金が支給され、年金受給前または保証期間中に亡くなった場合は遺族一時金が支給されます。確定年金は2口目以降から選択可能です。

国民年金基金のメリット

国民年金基金には以下のようなメリットがあります。

一生涯年金を受け取れる

国民年金基金は、一生涯年金を受け取れる「終身年金」であることが最大の魅力です。国民年金に上乗せした年金を亡くなるまで受け取れるので、老後を安心して過ごせるでしょう。高齢化により老後の生活期間が延びており、長生きによる老後資金不足への備えに有効といえます。

年金額・掛金額が確定している

国民年金基金は、加入時に将来受け取る年金額が確定します。また、途中で口数を変更しなければ掛金月額も払込期間終了まで変わりません。ライフプランに合わせて、無理なく計画的に掛金を払い続けることが可能です。

税制優遇がある

国民年金基金の掛金は、全額が「社会保険料控除」の対象です。確定申告の際に課税所得が減少するので、所得税や住民税の負担が軽減されます。また、将来年金を受け取る際も「公的年金等控除」が適用されます。

万が一のときは家族に遺族一時金が支給される

終身年金B型を除き、国民年金基金の加入プランには保証期間が設けられています。年金受給前または保証期間中に亡くなった場合は、家族に遺族一時金が支給されます。万が一のときには、家族にまとまったお金を残すことが可能です。

国民年金基金のデメリット

国民年金基金には以下のようなデメリットもあります。

任意脱退ができない

国民年金基金への加入は任意ですが、自己都合による任意脱退はできません。会社員になるなど加入資格を喪失した場合は、その時点まで納めた掛金に基づいて将来年金が給付されます。

途中で掛金を払うのが難しくなった場合は、「加入口数を減らす」「掛金の払込を一時中断する」という選択肢もあります。ただし、中断すると未納期間に応じて年金が減額される点に注意が必要です。自由に脱退できないので、国民年金基金への加入は慎重に判断しましょう。

インフレに弱い

国民年金基金は加入時に将来の年金額が決まるため、インフレに弱い特徴があります。インフレによって物価が上昇すると、お金の価値は実質的に目減りしてしまいます。将来のインフレに備えたい場合は、インフレに強いといわれる株式や不動産などへの投資を検討しましょう。

付加年金と併用できない

付加年金とは、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めると将来受け取る年金額を増やせる制度です。国民年金基金の1口目の給付には、付加年金相当が含まれています。そのため、国民年金基金と付加年金は併用できません。

予定利率が低い

予定利率とは、加入者に約束する利回りのことです。国民年金基金の予定利率は現在1.5%で、株式や不動産などに比べると高いとはいえない水準にあります。より多くの老後資金を準備したい場合は、iDeCoなどを活用して自分で運用することを検討しましょう。

国民年金基金の始め方

国民年金基金の加入手続きの流れは以下の通りです。

1. 国民年金基金のホームページから資料請求
2. 加入申込書の提出
3. 申込書の受付・加入登録
4. 加入員証の郵送
5. 手続き完了・掛金の引き落とし開始

資料請求をせず、Webで加入申出を行うことも可能です。その場合はあらかじめ加入プランを検討し、年金手帳や銀行通帳などを用意したうえで、申し込みフォームに入力して送信しましょう。

まとめ

国民年金基金は一生涯年金を受け取れるため、国民年金のみの自営業者は年金対策として活用できます。ただし、一度加入すると任意脱退はできず、インフレに弱いといったデメリットもあります。国民年金基金に加入する前に、制度概要やiDeCoとの違いを十分に理解しておきましょう。

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